路面電車の前例があったからなのだそうです。
地下鐵道ノ準據法ニ付イテハ既ニ省議決定ノ次第モアリ地方鐵道法ヲ適用スヘキナルモ本件ハ出願線ノ過半高架式ニシテ然モ道路面二永久的支持物ヲ設置シ道路上ニ高架式線路ヲ築造セントスルモノニ係リ道路トノ関係特ニ密接ナルニ付本件ニ限リ軌道法適用ノ已ムヲ得サルモノト認メタリ
鐡道省 監督局
『大阪市營軌道(高速度)敷設特許ノ件』昭和2年3月3日
現代語訳
地下鉄道の準拠法については、既に閣議決定された次第もあり地方鉄道法を適用すべきところであるが、本件は出願線の大半を高架式としていて、しかも道路に永久的支持物を設置して道路上に高架式線路を築造することに関わり、道路との関係が密接であることから本件に限り軌道法の適用はやむを得ないものと認定する。
名古屋市営地下鉄も一時は軌道法での建設を試みたそうですが、「(軌道法は大阪の)本件に限り」としてこの件を覚えていた省庁(運輸省と建設省)が喧嘩して、結局地方鉄道法になった…という逸話があるそうです。
第034回国会 運輸委員会都市交通に関する小委員会 第3号 昭和三十五年三月二日(水曜日
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/034/0054/03403020054003a.html
大阪市が1927年に軌道法で高速鉄道(地下鉄)の敷設特許をとった時の公文書では、その理由として、都市計画法や都市計画道路との関連を言及してました。
大阪市電と同様、地下鉄と道路を一体整備するなら、内務省も関係してくる。市電事業の利益で道路整備をしてきた大阪市独自の方針が根底にある訳です https://t.co/ejK8QIOGxm
— katamachi とれいん工房 (@katamachi) January 10, 2020
(大阪高速電気軌道がいまだ軌道法管轄なのは、あまりにも独自基準の部分が多すぎて、もはや鉄道事業法下に移行するのが物理的に不可能だから、という電波を受信した。)<RT
(だから誰も中古車を買いたがらない、とも) #やめなさい #個人の妄想です— 彩葉 (@iloha_train) January 10, 2020
運輸省においては西梅田ー大国町間の申請は地方鉄道によるのが適当と認めるので、書類を出し直したらとすすめられた。なぜこの一区間だけ地方鉄道法にしなければならないか、その理由は説明されない。(中略)
地下鉄建設をいそぐあまり、路面電車の運行をやめて地下鉄建設をしようとするもので、路面電車の廃止申請と、地下鉄路線の特許申請を同時にしているのである。(略)
運輸省でこの申請書を受付けるかどうかで随分ともめたが、私達は軌道法が適当である旨いろんな観点から説明して、やっと申請書を受理してもらった。
出典:岩村 潔「大阪市地下鉄のあゆみ」、316p、市政新聞社