【大阪万博】55年前の「子供専用列車」を振り返る

【大阪万博】55年前の「子供専用列車」を振り返る

当サイトでも以前記事にした、「子供専用列車」が大きく話題になっていますね。

これ自体は1970年の千里万博でも設定されていた…というのは何度かご紹介してきました。

もう少し深く掘り下げて、今日はこの話を取り上げてみたいと思います。

 

当時のダイヤ

万博会場への臨時列車は、我孫子駅から万国博中央口駅まで設定されていました。

当時の資料によると

近畿圏の小中学生の万博輸送として、団体列車を平日(月~金)に朝3列車25分間隔で会期中40万人1日6,000人を輸送し、帰路は一般客扱としている(中略)

1.運行方針
下記停車場で1列車当り1300人~1900人程度の乗車が見込まれる場合に専用列車として運行する。(日別、駅別乗車団体予定表は別紙のとおり)

2.運行列車
我孫子発
9:23、9:48、10:12の3列車とする。
(ただし乗車団体がない場合は一般列車として運行する)

3.停車駅
梅田 淀屋橋 本町 難波 大国町 天王寺 昭和町以南の各駅

4.その他
列車の方向幕
駅の案内標示及び乗客案内

出典:大阪市交通局 1)

 

列車のダイヤについては以下の通り。最長で50分程度の運行時間だったようです。

第一便:我孫子 9:23発 > 新大阪 9:55> 万国博中央口 10:15
第二便:我孫子 9:48発 > 新大阪 10:20> 万国博中央口 10:35
第三便:我孫子 10:12発 > 新大阪 10:45 > 万国博中央口 11:00
停車駅:我孫子~天王寺の各駅、大国町、難波、本町、淀屋橋、梅田、万国博中央口

(団体列車がない場合は一般車両として運行)

毎日どこかの小中学校から予約が抑えられ、このどれかの電車に乗って万博会場まで行っていたようです。

また、臨時運用時には通過駅が設定され、梅田を出ると万博会場までノンストップとなっていました。

児童の数が少ない場合もありましたが、その場合は一般車両として運行されました。

 

日付別の乗り入れ小学校

遠足時と同じように、日付別に各小中学校が臨時列車の予定を前もって抑え、それに応じて交通局側が対応していたものとみられます。

後述する人数からするに、かなりギュウギュウ詰めでの乗車となったようですね。

1970年4月20日

【第一便】
我孫子9:23発

天王寺9:32 五条小学校 283名
大国町9:37 住吉小学校 250名
難波9:40 安立小学校332名、尾崎小学校136名
本町9:44 九条小学校 75名
淀屋橋9:46 橋波小学校 250名
梅田 春日小学校 400名

万国博中央口

【第二便】
我孫子9:48発

長居 9:50 三稜小学校 425名
天王寺9:57 港南小学校 450名
難波10:05 岸城小学校 200名
淀屋橋10:11 橋波小学校 270名
梅田 10:14 春日学校 335名

万国博中央口

【第三便】
我孫子10:12発

長居10:14 三稜小学校 380名
天王寺10:22 海南小学校 500名
淀屋橋10:36 金田小学校 270名
梅田10:39 春日小学校 400名

万国博中央口

 

1970年4月21日

【第一便】
我孫子9:23発

西田辺9:27 長吉小学校465名
天王寺9:32 丸山小学校509名
大国町9:37 天下茶屋小学校510名
難波9:40 忠岡小学校500名

万国博中央口

【第二便】
我孫子9:48発

西田辺9:52 長吉小学校200名、瓜破北小学校260名
天王寺9:57 丸山小学校100名、信太山小学校228名、信太山中学校196名
大国町10:02 天下茶屋小学校260名、住吉小学校260名
難波10:05 忠岡小学校280名
梅田 10:14 福小学校300名

万国博中央口

【第三便】
我孫子10:12発

長居10:14 鷹合小学校235名
西田辺10:16 瓜破北小学校430名
天王寺10:22 林寺小学校347名
大国町10:27 天下茶屋小学校510名
難波10:29 中央小学校120名、大宮小学校136名

万国博中央口

この予定表を見ると、1列車あたり2000名程度の乗車があったようです。

当時運行されていた30系は、1車両あたりの定員がおおよそ120名前後、御堂筋線は8両編成で定員960名程度なので、子供とはいえ乗車率は200%程度にもなります。

 

 

2025万博では…

そして、時は経て2025年。

夢洲で開催される万博でも、同じように子供専用列車の運行が計画されています。

構想案では、上記に書いた1970年の臨時列車と同じダイヤをなぞるかのように、9時30分~10時40分頃を想定。

森ノ宮1番線を出発後に一旦長田で折り返し、再び森ノ宮駅(3番線)を経て夢洲へたどり着くというものです。

所要時間は50分で、これまた1970年の万博と同じですね。

但し長居からの話で、天王寺や難波など途中駅から乗車した場合は乗車時間が短くなります。

今回の万博輸送を受け持つのは30000A系と400系ですが、何か専用の表示などは用意されるのでしょうか。

 

関連リンク

【万博】中央線の「子ども専用列車」は変則ルートを運行か

大阪市交通局が1970年万博で行った特別輸送体制とは【コラム】

参考文献

  1. 大阪市交通局「学生団体専用列車の運行について」



書いた本



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