「PCCカー」というものをご存知でしょうか。昭和30年代に、アメリカで流行していた高性能な路面電車のことを指します。
今でいう「超低床電車・LRT」などと同じく、路面電車の技術がグッと進化した瞬間の名称なのです。
静かすぎて「無音電車」とまで称された保存車が、北加賀屋にあるので見てきました。
謎のロンドンバス
3001形は、空き地のような場所に保存されています。
隣には何故かロンドンの2階建てバス(ルートマスター)が鎮座していました。ほんまに何で…
元々は富田林の大谷幼稚園で保存されていたものですが、2019年7月に幼稚園が大阪狭山市へ移転する時に3001形だけはこの地へやってきたのだそう。
移転後、すぐにわざわざ再塗装までなされたようです。
3001形は敷地内のすみっこの方に置かれているようでした。「これはあまり見えないかな~…」と反対側に回ってみると…
「え、見える。全然バリバリ見える。むしろここだけ敢えて開けて配慮してくれている…」
先述した再塗装といい、この持ち主さんは神か…??
ということで、ありがたく隅々まで見て回ることにしました。
あれこれ見てみる
保存されているのは3012号車。ナニワ工機(現在のアルナ車両)で製造されました。
小窓2つに挟まれた大きい窓、アール(円弧)がつけられたデザイン、真ん中上の一灯ライトなど、どことなく阪堺501形と顔つきが似ていますね。
運転台の様子。これまでの路面電車とは異なる最新型モデルだったこともあり、運転の仕方が従来車と異なったことから、ベテランは敬遠しがちでした
一方で、新人運転士は従来車より高加速・高減速なこの電車を見事に乗りこなし、スムーズな運行が出来たのだそうです。
例えば、これまでの路面電車はマスコンを入れるとすぐに加速するシンプルな仕組みでしたが、3001形では若干のラグがあった他、ブレーキの扱い方も異なり、焼き付かせてしまう事案がよくあったそうです。
台車は住友金属製のFS252。
車両銘板部分は外されており、株式会社のロゴ?が入れられています。
方向幕は何か入れられたまま?のように見えますが、湿気ていてよく見えませんでした。
実は緑木にも
3001形は、大阪市電最後の華形電車として記念碑的存在ということもあるのか、比較的多くの保存車が残っています。
緑木検車場には、ラストナンバーである3050号車が保存されています。
車内はこんな感じ。阪堺501形とよく似たデザインですね。
保存場所
四つ橋線北加賀屋駅から徒歩10分程度と、至便な距離にあります。