Osaka Metroが導入しているサインシステムには、梅田エリアにだけ適用される特別なサインシステム「大阪・梅田駅周辺サイン整備事業(梅田サイン)」があります。
これは梅田地区が
・「ダンジョン・迷宮」と言われるほど複雑でややこしく
・その割にサインシステムの設置が各社でバラバラで
・情報が断絶したり、内容・デザインが違うことでわかりにくい
ことから、梅田地区においての共通サイン仕様として、2018年に制定されたものです。
デザインルールや設置基準を厳格に定めることで、上記に起因する旅行者の混乱を取り除くことが出来ます。
梅田サインが適用されるのはOsaka Metroだけではないのでここで書くか迷いましたが、関連するものとも言えるので、当サイトでまとめました。
基本仕様
梅田サインでは、以下の6つの形状を定めています。
設置形式 | 定義 |
---|---|
矢羽根型 | 柱から突出して目的の方向を指し示す形式 |
吊下げ型 | 天井や梁などから吊り下げる形式 |
突出し型 | 壁や柱などから突出して設置する形式 |
ボーダー型 | 開口上部や垂れ壁などに、横に設置する形式 |
壁付型・柱付型 | 壁や柱に平付ける形式 |
自立型 | 床や地面にアンカーを打って自立させる設置形式 |
これらのサインには、以下の掲載基準が適用されます。
・日本語と英語を併記することを基本とする。
・利便施設情報は可能な限り「4ヵ国語表記(日本語・英語・韓国語・中国語簡体字)」とする。
・広告と同化しないよう、区切って配置する。(独立させることを推奨する。)
・ピクトグラムは 「案内用図記号 JISZ8210」を基本としつつ、地下鉄などは独自のピクトグラムを採用する
誘導サイン
● 分岐点に配置する。
● 直線であっても、距離が長いなど、不安になるような場合は配置する。
● 誘導サインは歩きながら視認するため、動線上に配置する。
吊下げ型や突出し型は動線上の正面に見える位置に情報を表示する。
● 矢羽根型サインは歩道など見通しの良い交差点(分岐点)に設置し、表示面は目的
地方向を指す。表示面が自然に視界に入る見やすい高さに情報を掲出する、ユニバ
ーサルな視点も配慮する。
※ ただし、物理的に制限がある場合は、その限りではないこととする。
案内サイン
● 改札口を出た正面に配置する。
● 分岐点に配置する。
● 階層間を移動する際は始終点に配置する。
● 実際の地形と地図の表示方向を合わせる。
現地での使われ方
この関係で、梅田・東梅田・西梅田のラッチ(改札)外に限り、この内規に則った「梅田サイン」が設置されています。
Osaka Metro標準のサインとは異なるため、大阪メトロのロゴではなく、長年使用された「地下鉄マーク」が再び用いられています。すっかり大阪民に馴染みましたねぇ
ちなみにあくまでラッチ外での施策の為、ラッチ内では通常のOsaka Metro標準サインが用いられています。
フォント
「梅田サイン」で用いられている書体は以下の通りです。
・和文「モリサワ新ゴ UD」
・英語「Frutiger」
・韓国語「SD(Sandoll) Gothic Neo1」
・中国語(簡体字)「HY DaHeiTi (漢儀大黒体)」
各言語においてそれぞれ指定されていますが、同系統の書体であれば各事業者のサインシステムを優先するとしています。
それ以外の指定については以下の通り。
・書体は正体を原則とするが、80%までは長体(縦長)の使用も認める
・日本語にアルファベット(例:JR)が含まれる場合、日本語書体と英語書体を混合して表記する
サイン基準に長体を認める関係で、場所によってはややアンバランスなサインも見られます。
路線色
路線を示す色は、大阪メトロでは各路線の色を、私鉄では独自に制定したカラーが用いられています。
・御堂筋線…赤(C8 M95 Y100、#E11F15)
・谷町線…紫(C37 M95、#B41591)
・四つ橋線…青(C91 M44、#0077CB)
・阪神電車…群青色(C88 M25 K32、#2C7EB3)
・阪急電車…濃ピンク色(C30 M100 Y70、#B51843)
基本的には上記のカラーで定められていますが、JR線内においては阪神電車が「オレンジ」になっている場所もあるなど、微妙にブレも見られます。
壁付型サインでは、Osaka Metroと同じく目的地までの残距離数が表記されています。
旅慣れないユーザーにとってはこれ、ありがたいんですよねぇ。
関連リンク
参考文献
大阪府『大阪・梅田駅周辺サイン整備事業<補助金>』,2018年6月29日
大阪・梅田駅周辺サイン整備検討協議会『大阪・梅田駅周辺サイン整備 標準仕様(共通ルール)Ver.1.1 』,2020 年 2 月一部改訂