
今日は、阪神・淡路大震災の発生から30年の記念日ですね。1995年1月17日の明朝5時46分、震度7の揺れが神戸・淡路島地域を襲いました。
大阪も、神戸ほどではないものの震災の影響を受けており、大阪市営地下鉄も例外ではありません。
当時の記録があるので、大阪市営地下鉄における阪神大震災はどうだったのか…をここでまとめました。
被災内容
大阪市営地下鉄で最も被害が大きかったのは、御堂筋線の江坂~東三国間とニュートラムです。
具体的には、以下の内容で各種設備に故障・破損が起こりました。
【御堂筋線】
江坂~中津間:電車線(サードレール)が4km近く落下、碍子220個の破損
江坂~東三国間:軌道の狂い、桁ズレによる中央排水溝蓋の落下、排水樋破損、道床砕石の落下
江坂駅:窓ガラス破損、壁に亀裂【ニュートラム】
案内レール継目板ボルト折れ留置車両との衝撃による電車線破損(車両パンタグラフ破損共)同衝撃による駅ホームドア破損
101-01Fの廃車
地震発生後、全線においてただちに一旦運転を休止。その後安全点検を行い、11時頃から各線で順次運転が再開されていきました。
写真提供:丸に木瓜様
ニュートラムの被害は深刻で、走行中であった101-01Fがガイドレール・ホームドアに接触しながら走行した為に破損。
105-01・102-01・100-01の3両において、外板・扉・窓が引き裂かれる甚大な被害が出ました。写真でも割れたガラスをビニールテープで覆っているのがおわかりになるかと思います。
この影響や、元々100A系の投入が1994年から始まっていたこともあり、105-01Fは1995年3月末をもって廃車となりました。
おそらく阪神大震災の被害で、唯一廃車となった大阪市交通局の電車が101-01Fです。
この情報はあまり出回っておらず、当サイトが初めて発信したものとみられます。
提供して頂いた方の写真の裏書きと、文末に記載している参考文献での記載が一致します。
100系の保存車は101-06号車となっていますが、トップナンバーでなく06号車が対象となったのは、このあたりにも理由があるものと思われます。
一方、最も復旧が早かったのは、長堀鶴見緑地線と堺筋線でした。
これは、どちらも架線集電式で地下式構造であることから、第三軌条式と比べて点検が容易であることが理由にあると思われます。
復帰までのスケジュール
1/17
5:46…震災発生。全列車の運転停止。
その後…各線において安全点検を実施
11:15…堺筋線、長堀鶴見緑地線で運転再開。堺筋線は阪急直通を取りやめて線内運行
12:25…千日前線で運転再開
13:00…中央線で運転再開。近鉄との直通取りやめ
13:20…四つ橋線で運転再開
14:00…谷町線で運転再開
14:40…御堂筋線 中津~なかもず間で運転再開
14:45…堺筋線、阪急との直通再開
16:43…中央線、近鉄との直通再開
19:20…御堂筋線、新大阪~中津間で運転再開
23:10…御堂筋線、江坂~新大阪間で運転再開。北急との直通再開。江坂~東三国間は徐行運転
1/18
始発…ニュートラムで運転再開
復旧後も江坂~東三国間では徐行運転が続けられ、2月25日までは25km/h制限での運行となりました。
その後段階的に速度が引き上げられていき、3月には50km/h制限、8月に制限解除となったようです。
2018年を振り返って
阪神大震災ほど甚大ではないものの、2018年6月18日の7時58分にも大阪北部で地震が発生し、地下鉄全線で影響を受けましたね。
この時との比較を表にしてみました。
1995年 「阪神大震災」 |
2018年 「大阪北部地震」 |
|
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御堂筋線 | なかもず~中津:14:40(8時間54分) 全線:23:10(17時間24分) |
なかもず~中津:13:50(5時間52分) 全線:21:40(13時間42分) |
谷町線 | 14:00(8時間14分) | 10:10(2時間12分) |
四つ橋線 | 13:20(7時間34分) | 10:20(2時間22分) |
中央線 | 13:00(7時間14分) | 14:30(6時間32分) |
千日前線 | 12:25(6時間39分) | 12:00(4時間2分) |
堺筋線 | 11:15(5時間29分) | 11:50(3時間52分) |
長堀鶴見緑地線 | 11:15(5時間29分) | 10:10(2時間12分) |
今里筋線 | 未開通 | 10:10(2時間12分) |
ニュートラム | 翌日始発(23時間14分) | 10:40(2時間42分) |
震源地が異なるので一概には言えませんが、全体的に見ると「地下線は復旧が早く、高架線は時間がかかる」傾向があります。
地震の際は、原則的に作業員の方が地下トンネルを一つ一つ全線点検して回る為、1時間程度では復旧しません。
関連リンク
参考文献
大阪市交通局工務課、大阪市交通事業振興公社『兵庫県南部地震発生に伴う土木構造物の地震対策について』、1995年
レイルロード『大阪市交通局30系 Vol.2』、76p