Osaka Metro(大阪市高速電気軌道)66系車両は、1990年8月1日より営業運転を開始した堺筋線用の車両です。
2025年2月現在、17編成が運用中です。
<編成表はこちら>
車両概要
従来堺筋線で用いられていた60系車両は、その斬新なデザインから大阪市交通局では初のローレル賞を受賞するなど、評価されてきました。
しかし冷房がないことで市議会からの強い要請があったことや、1993年に控えた動物園前~天下茶屋間の延伸で新造車が必要であったことから、新たに新規設計の車両が製造されることになりました。
そこで、1990年に登場したのが66系車両です。
いわば、同時期に他線へ投入された新20系(22系・23系)の堺筋線版として登場しており、予算としても平成元年に一括計上されています。
前期モデル
トップナンバーである第1編成(66601F)は、1990年に落成。当時はまだ6両編成でした。
60系では上部にあった種別灯/尾灯を腰部へ下げ、非常用貫通扉を右側へオフセットさせることで、近代的な顔つきとなりました。
阪急車両の貫通扉は正面に統一されていることから、66系のみが存在感をアピールしている格好です。
ヘッドライトは先代60系と同じスタイルで横2灯・上部に設置されています。これは、阪急線内の内規に合わせる為です。
阪急線は線路と道路の並走が多いことから、運転士・保線員の誤認防止、安全確保の為に、ヘッドライトは必ず「正面の上に掲げる」という内規があります。
後期モデル
2002年から、マイナーチェンジを行った後期モデルである13編成(66613F)が登場。
これは交通バリアフリー法の施行によって最後まで残存していた60系冷房車を置き換えることを目的としています。
製造年次が異なることもあり、いくつかの部分で前期車と若干仕様が変更されています。
例えば技術的な進歩でVVVFインバーターはIGBT素子が用いられるようになった他、大阪市営地下鉄では初となる扉予告灯を採用。以後、80系や30000系にも普及していきました。
外観上の違いとしては、前面上部のガラス化、および側面上部帯へのホワイトの追加などがあります。
変更点をまとめると、以下の通りになります。
【外観】
・前面上部のガラス化
・側面上部帯にホワイトを追加
【機器・内装】
・VVVFのGTO→IGBT化
・座席のバケットシート化+定員の減少(10→9)
・全高を3670mm→3630mmへ40mm落とし、ホームの段差縮小
・扉予告灯の設置
リニューアル工事
2012年から、中間更新リニューアル工事が行われました。
登場から20年が経ち、経年劣化による電子機器への影響、および車体シールの劣化による腐食など各種劣化が目立ち始めていたことから、機器更新・車体改修・リフレッシュ改造を一括して行うことになりました。
デザインの改造
今回のリフレッシュ更新で最も大きく印象が変わったのが、”顔”こと前面デザインです。
従来使用していた、ブラックフェイスのFRP素材における劣化が著しかったことから、洗浄を行った後、全面を曲面ガラスで覆うスタイルとなりました。
また、地上線である阪急線内走行時において、事故時に床下機器を守るため、新たにスカートが設置されています。
種別灯(運行標識灯)/尾灯のユニットはLED式へ変更。種別灯は黄色から白へ変化しています。
行先表示機は方向幕からフルカラーLED式へ変更されており、今後の行先設定へ柔軟に対応できるようになりました。
側面は30000系で初採用した、号線カラーのラダーデザインを導入。両数表記も備えられており、デザインと実用性が両立しています。
車体はシール材の劣化や塗装の色あせなどを補修した上で、ステンレス車体の外板の洗浄を行い、新車並みの輝きを取り戻しました。
66系は4両づつでユニットを組んでおり、A編成とB編成に分かれています。
この関係で、66700号車・66800号車には車庫内移動用の簡易運転台が取り付けられており、貫通扉上に尾灯が備えられています。
車内
車内は以下の変更点が見られます。
・座席のバケットシート化
・座席1人あたりの幅を2人掛けで470mm、4人掛けで458mm、9人掛けで488mmに拡張
・つり革は162cmと152cmの2種類を組み合わせ
・出入り口に吊り革増設
・座席端部の仕切りに保護板を増設
内装変更
局内におけるCS向上の一環として、66系車内のアコモデーションが変更されました。
動物柄編成
2015年から登場したのが、沿線の動物園を意識した「動物柄」車両です。
扉がヒョウ柄になった他、ガラス部分に動物が描かれています。
戎柄編成
民営化直前の2018年より、沿線にある今宮戎をイメージした戎柄へと切り替わりました。
動物編成と同じく、貫通扉が戎大黒仕様となっています。
また、座席のモケット柄についても変更が行われました。
その他
VVVFインバータの素子はGTO式を採用していましたが、リニューアルに伴いIGBT素子への変更が行われ、小型軽量化が行われました。
前期車 | 三菱GTO(01、02、09、10) 東芝GTO(06、07、08) 日立GTO(03~05、11、12) |
---|---|
後期車 | 三菱IGBT |
リニューアル者 | 三菱IGBT・日立IGBT・東芝IGBT |
走行映像
主要諸元表
前期車
形 式 | 66600 | 66000 | 66100 | 66700 | 66800 | 66300 | 66200 | 66900 |
形 式 | A編成 | B編成 | ||||||
車体構造 | ステンレス | |||||||
自 重 | 32.0t | 36.0t | 36.0t | 26.0t | 24.5t | 36.0t | 36.0t | 32.0t |
定 員 | 131 | 141 | 141 | 141 | 141 | 141 | 141 | 131 |
定 員 (中間更新後) |
127 | 137 | 137 | 137 | 137 | 137 | 137 | 127 |
車体長 | 18,900mm | |||||||
車体幅 | 先頭車2,840mm、中間車2,820mm | |||||||
車高 | 4,150mm | |||||||
制御方式 | IGBT-VVVFインバータ制御装置(回生ブレーキ応荷重装置付) | |||||||
主電動機(4M4T)定格電圧1,100V 3相かご形誘導電動機 定格出力180kw(4台/両) |
○ | ● | ● | ○ | ○ | ● | ● | ○ |
歯車比 | 5.76≒98:17 | |||||||
運転台 | ワンハンドル(P4、N1、B6、EB1) | |||||||
営業最高速度 | 110km/h | |||||||
台 車 | ボルスタレス空気ばね台車 車輪径860㎜、固定軸距2,200㎜ |
|||||||
加速度 | 2.8km/h/s | |||||||
減速度 | 3.5km/h/s(常用最大) 4.0km/h/s(非常時) | |||||||
集電方式/電圧 | 架線集電式/直流1500V | |||||||
集電装置 | ばね上昇空気下降式 下枠交差型パンタグラフ | |||||||
(設置車両) | ○ | ● | ○ | ○ | ○ | ○ | ● | ○ |
所属 | 東吹田検車場 |