普段平然と走っている地下鉄ですが、思いのほかアップダウンがキツいのをご存知でしょうか。
下水管やビルの基礎の他、電話線や他の鉄道路線等を避けて走る為、地下鉄は随所でアップダウンを繰り返しています。
各地下鉄ではデータをよく見るものの、大阪メトロのデータがあまり無いようなので、参考に調べてみました。
2路線
結論から言うと、大阪メトロで最もキツい勾配は50パーミルで、リニア地下鉄の長堀鶴見緑地線と今里筋線に存在しています。
普通鉄道で急勾配を駆け上がるのは至難の業ですが、リニア地下鉄ではそれを平然とこなせます。
【パーミルとは】
勾配を上がる際の単位。1000m進んだときに1m坂道を上がったら1パーミル。
つまり、50パーミルは50m上がることになります。
Case1:長堀鶴見緑地線
初のリニアメトロである長堀鶴見緑地線では、以下の区間で50パーミルが存在します。
・ドーム前千代崎~西長堀 下に50パーミル、上に50パーミル
・西長堀~西大橋 50パーミル
・鶴見緑地~門真南 50パーミル
ちなみに最も深い駅として有名(?)な大阪ビジネスパーク駅前後は、森ノ宮方が35パーミル、京橋方が41パーミルでした。
Case2:今里筋線
今里筋線も、兄貴分の長堀鶴見緑地線に負けず劣らず急勾配を走っています。
最もきついのはこちらも50パーミルで、以下の区間になります。
・だいどう豊里→太子橋今市 50パーミル
・蒲生四丁目~鴫野 50パーミル
・鴫野~緑橋 50パーミル
勾配対策
リニア地下鉄では「リアクションプレート」と呼ばれる、磁力が入ったアルミの板が線路の間に敷き詰められています。
40パーミル以上の急勾配区間では、このリアクションプレートを銅製にすることで磁力を高め、よりパワーを引き出させているようです。
地下鉄勾配ランキング
理論上は60パーミルまで可能なリニア地下鉄ですが、大阪では余裕を持たせる為か、50パーミルがMAX値となっています。
他の都市ではより勾配がキツい路線もあり、横浜市営地下鉄や仙台市営地下鉄では57パーミル近くの数値もあります。
【地下鉄 急勾配ランキング】
1位…横浜市営地下鉄グリーンライン 中山〜川和町間(58パーミル)
2位…仙台市営地下鉄東西線 川内~青葉山間(57パーミル)
3位…長堀鶴見緑地線 西長堀~ドーム前千代崎間(50パーミル)、今里筋線 蒲生四丁目~鴫野間等(50パーミル)
3位…東京都営地下鉄大江戸線 都庁前駅~西新宿五丁目駅間(50パーミル)
かつて国土交通省より訓示のあった「普通鉄道構造規則(2002年まで)」では、リニアプレートを用いた地下鉄の最大勾配は60パーミルと定められているそうなので、この法改正がない限りはどこも60パーミルまでになるものとみられます。
ちなみに
他路線では、以下の区間が急勾配となっています。
御堂筋線…中津~西中島南方間:33パーミル
あびこ~北花田間:31パーミル
谷町線…谷町四丁目~谷町六丁目、千林大宮~関目高殿間:33パーミル
喜連瓜破~出戸間:32.5パーミル
四つ橋線…北加賀屋~住之江公園間:30パーミル
中央線…朝潮橋~弁天町(弁天町付近)、九条~阿波座…35パーミル
千日前線…日本橋~谷町九丁目…33パーミル
玉川~阿波座…30パーミル
堺筋本町~長堀橋…33パーミル
関連リンク
参考文献
- 高雄智巳(大阪市交通局車両課)「大阪市交通局長堀鶴見緑地線のリニアメトロ」,日本鉄道技術協会『JREA 41(11)』,1998年11月
- 大阪市交通局『大阪市高速電気軌道第8号線井高野~今里間 地下鉄建設記録」,平成21年3月
- TDK『第160回 大規模に本格化してきた、リニアモーターカーをみてみよう!』