接近副示灯とは【設備解説】

接近副示灯とは【設備解説】

駅改札の近くに必ずある、田の字で電灯がつく機械。

あれは駅員さん向けに次の列車がどこにいるのかを表示する装置で、現地機器や参考文献等から、正式名を「接近副示灯」ということは判明しています。

この記事でも完全解説…といきたかったのですが、あまりに資料がなさすぎて無理だったので、今回は外観から読み取れる情報のみを記載しています。

 

基本モデル

装置全景。概ね「田の字、4灯の行灯」というスタイルで、前駅着・前駅出…が表示されています。

製造を手掛けたのは、岸和田に本社がある「アサヒ機工株式会社」です。

2000年の業界紙に掲載された内容によると、本社・工場共に大阪府岸和田市上松町837-1に位置していました。同紙には「鉄道信号保安設備用品の設計・製造を行っていた」とあります。

現在は阪和電設株式会社傘下にあるようで、同社サイト内で簡単に紹介されています。

阪和電設は、大阪メトロではホームドアの設置を手掛けている企業で、鉄道系の電設工事会社のようです。

 

御堂筋線天王寺駅に設置されているものは、昭和63年9月に製造された結構年代物です。

 

淀屋橋(平成製造タイプ)

続いてこちらは淀屋橋駅。淀屋橋は、書体が近代的なゴナ?っぽい文字になっていました。

メーカーは同じアサヒ機工ですが製造年は新しく、平成15年5月製となっています。型番は「03-5-512」です。

 

堺筋本町駅(令和製造タイプ)

堺筋本町などでは、丸ゴシック系書体を用いたものも登場しています。

こちらはなんと2023年11月製…つまり令和5年製で、令和になっても全く同じデザイン・スタイルで製造されているのが特徴です。

業務用機器ということもあり、既に完成されているデザインなのかもしれませんねぇ…。

 

西梅田(終端駅タイプ)

る西梅田駅のもの。こちらは終端駅で列車が片方からしか来ないことから、四枠のうち二枠を1列車あたりで占有しています。

「出」が別の表示領域で表されていますね。

こちらもアサヒ機工製。平成4年(1992年)4月製造となっています。型番は「82-2-582-1」です。

 

動物園前(カラー分け)

堺筋線と御堂筋線が交差する動物園前駅では、路線別に色分けがなされています。

こちらは平成2年2月製造とあります。

 

夢洲追加後のコスモスクエア

元々終点だったコスモスクエア駅では、「大港着」「大港出」の左2灯のみが使用されてきました。

しかし将来的延伸を見据えてか枠自体は用意されており、2025年の延伸で晴れて「夢洲着」「夢洲出」の表示が登場しています。

 

 

万博ダイヤでの「フル点灯」

2025年に行われている大阪・関西万博では、中央線がずっと2分半間隔で運行するというすさまじいダイヤが組まれています。

副示灯もそれに合わせて全区間が点灯するなど、この時だけしか見れないレアな光景が登場しています。

フル点灯自体は御堂筋線ではあると思いますが、中央線ではかなり難易度が高そうです…、

 

 

長堀鶴見緑地線

基本的にはどの駅でも「田の字」タイプが用いられていますが、長堀鶴見緑地線だけは独自のLEDモデルが採用されていました。

こちらは日本信号製で、品名は「LED表示器」となっています。

しかし、近年機器の更新が行われており、各駅で新しいモデルが登場しています。

新しくはあるのですが、表示の仕組みとしては「行灯式に先祖返りする」という事態が起きています。LEDは素子劣化が早いのでしょうか…。

こちらは森ノ宮駅のもの。中央線も一体的な表示になっています。

2018年8月の製造。アサヒ機工ではなくなり、株式会社星光が担当しています。

長堀橋駅のもの。堺筋線との共用となっています。

松屋町駅のもの。かなりこのタイプへと変わっていますね…。

もしかしたら既にLED式は消滅しているのかもしれません。

 

 

 

もう少し探ってみますがあまり有名ではない機器の為、加筆の期待は出来なさそうです。

また何かわかれば追記します。

 

関連リンク

大阪メトロの「発車標・電光掲示板」まとめ【2025年最新版】

参考文献

  1. yoshi223のブログ『Osaka Metro長堀鶴見緑地線 改札口の駅係員向け接近位置表示(接近副示灯)
  2. 大阪市交通局建設技術本部技術部電気管理事務所大国町保安情報区『直営工事が行った工事費用削減の効果について』,鶴田友宏、中村徹,2005年
  3. 大阪市交通局鉄道事業本部電気部電気管理事務所 中量保安管区『南港ポートタウン線旅客案内表示装置修繕



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