【コラム】大阪の地下鉄に標準軌を採用した理由は?




Twitterを何気なく見ていると、標準軌・狭軌をそれぞれ採用した理由は何故…?という話題があがっていました。

Osaka Metro(大阪メトロ)は広い1,435mmの標準軌を採用しています。関西には標準軌を採用している路線が多く、狭軌なのは南海電鉄・泉北高速鉄道と近鉄南大阪線ぐらいです。

 

狭軌は国の買収が前提

明治33年に制定された私設鉄道法第40条に「軌間ハ特許ヲ得タルモノヲ除クノ外三呎六吋トス(軌間は特例を除き三尺六寸に限る」という記載があります。

これは将来的に国が買い取り、ゆくゆくは国鉄線として組み込むことを考えてのことでありました。早期に開業した事業者ほどこのルールを忠実に守り、狭軌が多かったのです。

この最たる例はJR阪和線でしょう。元々は阪和電気鉄道という別の私鉄会社でした。

しかしながら阪神電鉄を始めとした関西の私鉄はそれをよく思わず、軌間指定のなかった軌道法を拡大解釈することで標準軌での路線網を広げています。

 

標準軌採用の理由は?

さて、Osaka Metroでは狭軌ではなく標準軌を採用することとなったのですが、それはいったいなぜでしょうか

当時の地下鉄計画における調査報告書であった文献を見ると、次のように記載されています。

高速鐵道ニハ如何ナル軌間ヲ採用スヘキ乎廣軌式四呎八吋半ノ狭軌式三呎六寸ニ比シ大體ニ於テ優レルコト明カナルヲ以テ特種ノ事情ノ存セサル限リハ廣軌式ヲ採用スルヲ可トセム

出典:『大阪市内外高速鐵道調査会報告書』(帝国鉄道協会 土木学会編,大正13年)

 

…このままだとわかりにくいので、私が現代語訳になおしてみました。こんな感じでしょうか

 

高速鉄道(地下鉄のこと)にはどういった軌間を採用すべきでしょうか。

広軌(今でいう標準軌のこと)の4フィート8.5インチ(1,435mm)は、狭軌の3フィート6インチ(1,067mm)に比べて、(車体や乗車人員数などにおいて大きな規格が採用出来)、だいたいにおいて狭軌よりも優秀なことは明らかです。

これらのことから、何か特別な事情がない限りは広軌(標準軌)を採用すべきであります。

出典:『大阪市内外高速鐵道調査会報告書』(帝国鉄道協会 土木学会編,大正13年) より作者が訳・作成

 

総評

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将来的な大阪の乗客増を見越して、大きな車体を実現するために標準軌を採用する計画であったことが伺えます。

当時から既に百年先の大阪を見据えて10両編成化を見越した建設を行っていたぐらいですから、車体の大型化は必須案件と思われていたのでしょう。

このあたりは比較的堅実な需要を見越して建設された名古屋市営地下鉄の東山線が現在多客で苦しんでいる姿を見ても、先見の明があったといえますね。

 

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文章中の写真の著作権は著作者に帰属します。無断転載は固くお断りします。

Photo,Writer : Osaka-Subway.com  2018/07/08

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