【形式紹介】中央線20系

【形式紹介】中央線20系

大阪市交通局20系車両は、1984年12月より営業運転を開始した中央線・谷町線用の車両です。

編成表はこちら

 

初のVVVFインバータ

20系は、日本で初めてのGTOサイリスタ素子を用いたVVVFインバータ車両として登場しました。従来と比べて大きく省エネを果たし、また保守の手間も少ないなど鉄道技術者にとっては未来の電車でした。

大阪市交通局は1100形を実験車として改造し、地道に試験を行ってきました。その集大成ともいえるのが、この20系なのです。

こうして1984年に登場した20系01編成は、10ヶ月に渡って試験が実施され投入されました。VVVF装置を東芝・三菱・日立と3社が分け合って製造する特異な編成として落成したのです。

 

外装は10系をベースにしながらも、前面窓枠のFRPブラックフェイス化、ヘッドライトを角型にするなど近代的な風貌にイメージチェンジしています。

中央線用には合計7本(01~07編成まで)が竣工しています。

 

 

谷町線20系の誕生

続く谷町線用には30番台として、31~39編成の9本が落成。谷町線の50系を置き換えました。

谷町線用と中央線用の差異は、生駒トンネル対策の抑速ブレーキがついているかどうかがポイント。

しかし20系の本格的な量産には至らず、これ以後は機器的なベースをそのままに内装をグレードアップした新20系へと移行しています。

この車両は2005年まで谷町線で使用されていましたが、後述する改造工事のため中央線へと転属しました。

 

中間更新・高速化改造

近鉄けいはんな線の開業により、最高速度が95km/hへ引き上げられることや、20系の中間更新タイミングが迫っていたこともあり、高速化改造と中間更新を同じタイミングで施工すべく、中央線へ20系が集約されることとなりました。

 

そのため、谷町線の20系30番台と中央線24系の9本をそれぞれトレード。カラーが緑色へと塗り替えられると共に、IGBT素子を用いたVVVFインバータへと換装されました。

また、非常扉にもワイパーが増設されています。

 

 

車内インテリア

技術面では革新的であった20系ですが、車内インテリアは基本的に先代である10系(後期車タイプ)を踏襲したオーソドックスなものとなっています。

 

 

 

ラッピング

・海遊館ラッピング
・目玉編成

 

 

廃車

2014年8月21日をもって、01編成が運用から離脱。

朝ラッシュのみの運行で、森ノ宮9:50に入庫したのでした。

同年9月11日から13日にかけて、森之宮検車場から陸送搬出。

01編成の引退は2009年からの決定事項だったそうで、その補填をどの編成で行うのかは廃車の前年に決まったのだそう。

その後30000A系・400系の導入に伴い、20系の廃車が進行しています。

2022年12月現在では6編成が廃車となっています。

 

編成表

【大阪メトロ】20系編成表

 

主要諸元表

←コスモスクエア(6号車) 長田(1号車)→
 形 式 2600 2100 2800 2300 2200 2900
 車体構造 アルミ
 自 重 31.0t 35.0t 23.5t 35.0t 35.0t 31.0t
 定 員 130 140 140 140 140 140
 車体長 先頭車18,900mm、中間車18,700mm
 車体幅 先頭車2,890mm、中間車2,880mm
 車高 3,745mm
 制御方式 VVVFインバータ制御装置(回生ブレーキ応荷重装置付)
主電動機(3M3T)
脈流直巻補極付、定格電圧375V 定格出力140kw(4台/両)
 歯車比 7.36≒103:14
運転台 ツーハンドル(P4、N1)・(B6、EB1)
 営業最高速度 95km/h
 加速度 3.0km/h/s
 減速度 3.5km/h/s(常用最大)  4.5km/h/s(非常時)
 集電方式/電圧 第三軌条集電/直流750V
 集電装置 第3軌条上面接触式
 (設置台車)
 所属 緑木検車場

 

 

参考文献

鉄道ピクトリアル No.963「【特集】大阪市高速電気軌道(Osaka Metro)」電気車研究会

 




書いた本



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