谷町線の直上を走る、阪神高速14号松原線。谷町線と同時施工された高速道路で歴史的に切っても切れない関係です。
そんな松原線ですが、なんと喜連瓜破駅周辺において3年間もの修繕工事に入り、完全に通行止めになるという驚きの工事がスタートしようとしています。
谷町線と近しい関係ということもあって今回はこちらのサイトで取り上げることにしました。
橋が沈下する…
今回工事の対象となるのは、瓜破交差点直上の部分。
ここは主要道の長居公園通を渡る部分を跨ぐ為に、154mの橋梁を採用することになりました。
ディビダーク工法によるPC3径間有ヒンジラーメン箱桁橋という工法だそうです。
同様の事例は東北自動車道「八幡半橋」や国道9号線「矢井原橋」などでも見られます。
この当時はまだコンピュータがあまり普及してない時代で、設計が容易だったこともあって数多く採用された形式です。
同様の橋は全国的に垂れ下がりはあるものの、喜連瓜破のものは24cmも垂れ下がるなどかなり大きく沈下しています。
この橋の中央付近にはヒンジ式の継ぎ目があるのですが、当初想定よりも大幅に沈下していることが判明してさあ大変。
応急措置的に橋梁の下側左右にケーブルを設置し、中央部を引っ張る補強工事が行われました。
ひとまずはこれで通行出来てはいますが、長期的に見るとこの部分をなんとかしないといけなくなっています。
他のプランでは迂回用の高速道路を新しく作る案や、上下線を分割して片側づつ作っていく案も出されました。
但しどちらも12年・10年もの期間がかかることや、他高速道路の渋滞が増大する懸念があり断念。
そこで今回、思い切って3年もの時間をとって「橋そのものの架替工事」を実施する大掛かりな工事が行われることになりました。
谷町線への影響は?
喜連瓜破駅自体は阪神高速から離れたところにあり、谷町線と並走するのは喜連瓜破~平野の途中地点から阿倍野~文の里の途中地点までです。
このことから、駅や谷町線へ直接的に影響はありません。
【阪神高速と被る駅】
・平野
・駒川中野
・田辺
・文の里
【ギリギリ被っていない駅】
・喜連瓜破
・阿倍野
もし今回の工事が駅や路線と被っていたら、少なからず地下鉄にも何らかの影響が出たのでしょうねぇ…。
現地の様子
現地を訪れてみました。喜連西池前交差点から阪神高速を見てみます。
長居公園通は片側3車線の大きな道路で、これを跨ぐ為に今回の構造が採用されました。
もう少し近づいてみましょう。工事の前段階といった雰囲気ですね。
南側には工事用の車両がスタンバイできる敷地が準備されており、ずらっと並んでいました。
工事の案内看板。
「喜連瓜破橋大規模更新工事」と銘打たれ、令和7年(2025年)6月9日まで昼夜を問わず工事が行われるようです。これは大変だ…
交差点にある信号は、工事にあわせて移動出来るようになっていました。
喜連瓜破IC。ここは橋の手前なので影響がなく、迂回道路として使われます。
一方、橋が奥に位置する三宅ICについては3年間閉鎖されます。この姿を見ることが出来るのもあと少しです。
関連リンク
参考文献
阪神高速「14 号松原線喜連瓜破付近の橋梁架替え工事を実施します」、2021年12月10日
建築の施工企画「老朽化した有ヒンジラーメン橋補強工事の計画と施工(国道 9 号矢井原橋)」、2008年10月