結論としては、「陳情した(ゴネた)ことは事実だが、それによってあびこ行き・あびこ始発が作られた訳ではない」ということでした。
市会議員の議事記録が残っていた
まず陳情したのかどうかですが、田中義一という地元選出の議員が実際にいらっしゃったようです。会派は自民党。
ちなみにこの議員さんは、2009年1月21日にお亡くなりになられています。
田中義一委員:
次に、御堂筋線の始発は、現在は我孫子駅なんです。私の地元で大変恐縮ですけれども、今は、我孫子とか長居から乗車をするお客さんはほとんどが座って楽々と行けるんです。
これが来年4月から中百舌鳥発となれば、席についている人はすべて市外のお客様ばかり。肝心の大阪市民はつり皮にぶら下がっておる。つり皮さえない市民も--つり皮もないぐらい乗ってくれたら結構ですけれども、我孫子の駅から、あるいは長居から乗るお客さんは、ほとんど全部が住吉区民であります。これも住吉区民にとって、高齢化社会に向けてのおじいちゃん、おばあちゃんも深刻な問題ではないかと思うんです。
そこで、新しい中百舌鳥開業時の運転計画をちょっと教えていただきたいと思います。
◎橋本交通局高速運輸部長:
我孫子・中百舌鳥間開業後の御堂筋線の運転計画についてのお尋ねでございますが、運転系統につきましては、輸送需要との関係から、基本的には、現行の千里中央・我孫子間の大運転系統につきましては千里中央から中百舌鳥間ということにいたしますが、中津・天王寺間の小運転系統につきましては現行どおりといたしたい、こういうふうに考えております。
しかし、この際、先ほどから答弁の中で申し上げておりますように、編成車両数を8両から9両に増結いたしますこととあわせて、朝のラッシュ時にピークで2分間隔の運転をやっておりますが、この2分運転間隔でやっております時間帯を若干広げることによりまして、全体として輸送力の増強を図りたい、こういうふうに考えております。
それで、ただいまご指摘ございました我孫子、あるいは長居から乗車されるお客さんに対する対応策でございますけれども、ラッシュ時に中百舌鳥車庫から出庫させます車両というのが若干ございます。また、我孫子駅で留置しておる車両というものがございますので、こういった列車を活用いたしまして、可能な限りきめの細かい配慮をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
実際に乗降客数のデータも見比べる
昭和60年のあびこ駅利用者は、乗降客あわせて46,133名だったのに対し、現在の利用者は34,311名と1割強下がっています。
このことから、おそらくは乗車率の多さに悩まされていた御堂筋線が、あびこ~昭和町間の乗客を分離することを目的としてあびこ行き・あびこ始発列車が設定されているものと推測されます。
それを裏付けるかのように2015年のダイヤ改正では、あびこ行き・あびこ始発の列車は相当削減されています。
2013年ダイヤ改正(平日) | 2015年ダイヤ改正(平日) | |
あびこ行き | 7本 | 3本 |
あびこ始発列車 | 15本 | 4本 |
出典:なにわの地下鉄
参考ツイート
住吉選出の議員があびこ始発の存続を嘆願した答弁は実在した模様(1986年の市会会議録より)。ただ、なかもず始発便に乗客が集中しないように、朝ラッシュのあびこ始発をある程度残すのは既定路線だった感じ。https://t.co/MQhgls3xX1
— スーパー加越 (@sodenji) March 28, 2016
なかもず延伸前後の御堂筋線は朝の混雑率が200%近辺だったため、あびこ始発を用意してあびこ~昭和町間の客を誘導しないと輸送が立ち行かなかった雰囲気。30年も前になると今の輸送事情とは大きく異なっていたようで…
— スーパー加越 (@sodenji) March 28, 2016
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Special Thanks:スーパー加越
Writer:Series207 2016/08/01