南海電鉄は激怒した。必ず、かの大阪地下鉄を除かなければならぬと決意した

 

南海電鉄は激怒した。必ず、かの大阪地下鉄を除かなければならぬと決意した。
南海は大阪市への延伸がかなわぬ。南海は、南大阪の王である。線路を敷き、堺と和泉の発展を願って暮して来た。それゆえ大阪市地下鉄の市外延伸に対しては、人一倍に敏感であった。

…太宰治っぽく書くと、今回の記事はこんな感じでしょうか。笑

実はつい最近の2004年まで、四つ橋線は現在の住之江公園から堺市大浜への延長する特許を持っていたことをご存知でしょうか。

無題

以前ご紹介した、昭和22年の大阪市営地下鉄の建設図。左下の青色(四つ橋線)を見ていると、既にこの頃から大浜への延伸を画策していたことがわかりますね。

しかしながら南海電鉄がこの計画を知ると激怒し、こんな申入書を大阪市と運輸省に提出していたのです。

 

激怒したその内容とは

貴市御計画の高速軌道線(地下鉄)三号線中、玉出堺大浜間の延長線については、本年二月二十三日付特許を得られた由拝聞いたしますが本区間は都市交通審議会の答申においても第一次的建設路線でなく、殊に同区間は弊社南海線と極めて接近併行しており且つ未開発のため、当然貴市に置かれてもその建設時期については、緊急を要しないものと思考されていることと存ずるのであります。(中略)

弊社は南海線の複々線化により、周辺的輸送と市街的輸送の両立を早くより実施し、これら地域の市民への利便には多大の貢献を果して参つたものと自負いたしておるのであります。

然も弊社は、将来堺までの複々線延長計画により、これらの地域の如何なる輸送需要をも十分充足し得られるものと思考いたしておるのでありまして、かかる地域への貴市三号線の延長こそは、全く不当競争の惹起と二重投資の弊害を生ずるのみで、既に玉出への延長により、莫大な減収を見ている弊社にとつては、更に甚大な影響を被ることは明白であり、極めて重大な関心を有するものであります。

出典:『大阪市地下鉄三号線に関する申入書』(昭和34年3月5日,南海電気鉄道)

…このように、公式な申入書としてはかなりキツめな表現としっかりとしたロジックで怒りを示しているのが伝わってきます。

この文章の背景には、大阪市が私鉄の延伸を拒んできた背景があることを頭に入れると理解しやすいと思います。

すなわち「かつてウチが大阪市内に乗り入れようとした時に大阪市は拒否してきたのに、その大阪市が市の範囲を出て、ウチの営業エリアへ出てきてあろうことか営業妨害してくるとは何事か」と言っているのです。

この南海電鉄の主張は、そりゃ当然ですよね。普段大阪市営地下鉄びいきの私ですら、この件に関しては南海電鉄の主張に同意できます。

 

結局、大阪市交通局は1947年より計画していたこの大浜延伸を果たすことなく、あくまで大阪市内の住之江公園駅までの延伸に留め、2004年に特許を失効させています。

 

現在

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2009年に堺市長である竹山市長は、四つ橋線の堺市延伸を歓迎する意向を発表しています。四つ橋線の延伸に堺市が前向きになり、これが具体的に動き出すのであれば、怒っていた南海電鉄も融和に転じ、再び陽の目を見る可能性もありますね。

 

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Photo,Writer :Series207   2017/02/27