大阪市交通局の2015年度における決算概要が発表され、その中で毎年公示される営業係数についての記載があったのでまとめてみました。尚、参考に経常収益・費用も掲載しております。
交通局からの総評
平成27年度の経営収支は、収益が1,680億800万円、費用が1,305億5,200万円で、差引374億5,600万円と過去最高益となっており、前年度に比べ960億9,900万円の収支改善となっています。
これは、乗車人員の増に伴う運輸収益の増加に加え、職員数の削減等に伴う人件費の減少や減価償却費の減少及び、特別損失において会計制度の見直しに伴う損失等が皆減したことなどによるものです。http://www.city.osaka.lg.jp/hodoshiryo/kotsu/0000375671.html
地下鉄利用者数/収入推移
2011年度…250万767人/4億2588万円[ref]http://www.city.osaka.lg.jp/hodoshiryo/kotsu/0000233668.html[/ref]
2012年度…252万3549人/4億2934万円[ref]http://www.city.osaka.lg.jp/hodoshiryo/kotsu/0000280047.html[/ref]
2013年度…256万64人/4億3638万円[ref]http://www.city.osaka.lg.jp/hodoshiryo/kotsu/0000325187.html[/ref]
2014年度…257万6203人/4億3044万円[ref]http://www.city.osaka.lg.jp/hodoshiryo/kotsu/0000375671.html[/ref]
2015年度…263万人2593人/4億3496万円[ref]http://www.city.osaka.lg.jp/hodoshiryo/kotsu/0000375671.html[/ref]
利用者数は直近5年で過去最高の263万人!
営業係数とは
その路線が100円を稼ぎだすのに必要な費用のことで、費用÷収益x100で表されます。
大阪市営地下鉄では収益の内訳として、「運輸収益・営業外収益・補助金・特別利益」が、費用の内訳として「人件費、減価償却費、支払利息」などが含まれます。[ref]http://www.city.osaka.lg.jp/hodoshiryo/kotsu/0000375671.html[/ref]
ちなみに仙台市交通局の説明によれば、隧道の耐用年数は60年[ref]https://www.city.saga.lg.jp/site_files/file/usefiles/downloads/s22160_20101227114935.pdf 6ページ目[/ref]、車両は13年として定められています。資産の取得金額を使用可能な期間(=耐用年数)で割り振ることで算出。つまり、隧道建設費を最長60年で返済する計算です。
経常収支とは
売上から原価と営業に関する諸経費を差し引き、更に本業以外での収支を加えたものを表します。
路線別営業係数
それでは路線ごとに発表していきます!まずは御堂筋線!
御堂筋線 44.8
圧倒的なドル箱路線である御堂筋線は、中国人観光客激増での爆買いの影響か収益が伸び、数値としては2年ぶりに44代に戻りました。
10系の寿命が近づいてきているので、今後30000系の投入がしばらく続くことが予想されます。それに加えて21系のリニューアル工事が比較的ハイスピード(2015年度は3編成)で進み、更には各駅へのホームドア整備も視野に入りそうで、投資が進み一時的に今後営業係数が悪化するものと思われます。
2015年度 | 2014年度 | |
収益 | 683億4800万円 | 675億2900万円 |
費用 | 322億6700万円 | 327億9500万円 |
収支差引 | +360億8100万円 | +347億3400万円 |
営業係数 | 44.8 | 45.5 |
谷町線 76.9
2013年度で30000系の投入が落ち着いた谷町線では、再び70代へ。
近年は22系のリニューアル工事ぐらいしか目立ったイベントはなく、その22系も年間1~2本ベースとかなりゆるやかであることから、今後もこの程度の数字が予想されます。
2015年度 | 2014年度 | |
収益 | 298億5800万円 | 294億6500万円 |
費用 | 240億5300万円 | 250億6100万円 |
収支差引 | +58億500万円 | +44億400万円 |
営業係数 | 76.9 | 80.8 |
四つ橋線 91.5
四つ橋線はいつもながら均衡しております。とはいえ、御堂筋線と梅田~大国町で並走しているのにも関わらず、これだけの数字を出すのはある意味すごいのかも。
近年の動きとしては23系のリニューアル工事がありますが、22系と同じくあまり活発ではありません。
経常収支も2億4800万円の黒字。昨年度はなんと200万円の黒字でした。笑
2015年度 | 2014年度 | |
収益 | 111億4800万円 | 110億7600万円 |
費用 | 109億円 | 110億7400万円 |
収支差引 | +2億4800万円 | +200万円 |
営業係数 | 91.5 | 93.0 |
中央線 66.0
黒字化後は東西方向の幹線として存在感を見せる中央線。今季も66と優秀な数字で横ばいです。2016年度で24系のリニューアル工事を完了した為、今後しばらくは動きがありません。
一方、経常収支を見ると微減という結果に。
2015年度 | 2014年度 | |
収益 | 173億2900万円 | 183億9900万円 |
費用 | 120億5200万円 | 120億5400万円 |
収支差引 | +52億7700万円 | +63億4500万円 |
営業係数 | 66.0 | 66.8 |
千日前線 135.4
中央線の妹分である千日前線は前年度比で8ほど下がり、135になりました。最後の区間(新深江~南巽)の開業から30年が経過しますが、未だ黒字化を果たせていません。
25系のワンマン運転&リニューアル工事完了で、今後100を切ることが出来るのでしょうか…?
ワンマン化の影響からか、経常収支の費用面を見ると、前年度比5億円の削減を達成しています。
2015年度 | 2014年度 | |
収益 | 71億6400万円 | 70億9300万円 |
費用 | 100億1900万円 | 105億1700万円 |
収支差引 | -28億5500万円 | -34億2400万円 |
営業係数 | 135.4 | 143.8 |
堺筋線 79.0
堺筋線は80を切り70代へ。天下茶屋延伸分の隧道建設費を償却して黒字化を果たした後は、着々と積み上げていっている印象です。近年の動きとしては66系のリニューアル工事がゆっくりと進んでいます。
2015年度 | 2014年度 | |
収益 | 129億6200万円 | 126億2100万円 |
費用 | 108億3600万円 | 109億6000万円 |
収支差引 | +21億2600万円 | +16億6100万円 |
営業係数 | 79.0 | 81.2 |
長堀鶴見緑地線 161.1
建設から25周年を迎えた長堀鶴見緑地線。2015年度予算では2本の70系リニューアル工事を行いました。しばらくはリニューアル工事が続く影響で、出費が続きます。
2015年度 | 2014年度 | |
収益 | 100億7500万円 | 99億7500万円 |
費用 | 142億1700万円 | 146億2600万円 |
収支差引 | -41億4200万円 | -46億5100万円 |
営業係数 | 161.1 | 167.4 |
今里筋線 255.6
開業から10年を迎えた今里筋線。実は、今季最も営業係数の改善伸び率が大きかったのが今里筋線です。こちらも開業当初の営業係数である513.3の約半分ほどにまで落ち着き始めています。笑
利用客も当初の12万人には届かないながら、開業初年度より+2万人で着々と伸びている印象。駅構造の統一でのコスト削減効果が意外と効いているようですね。
2015年度 | 2014年度 | |
収益 | 61億1100万円 | 61億8900万円 |
費用 | 103億6100万円 | 107億8800万円 |
収支差引 | -42億5000万円 | -45億9900万円 |
営業係数 | 255.6 | 269.6 |
ニュートラム 117.2
ニュートラムは117.2と微減。
昨年度黒字化を果たしたニュートラムですが、今年度は利用者数が少なかった影響か、9億2百万円の赤字になっています。
2015年度 | 2014年度 | |
収益 | 31億4600万円 | 43億2900万円 |
費用 | 40億4800万円 | 39億9600万円 |
収支差引 | -9億200万円 | +3億3300万円 |
営業係数 | 117.2 | 119.9 |
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Photo,Writer :Series207 2016/10/09