【特集】OTS、大阪港トランスポートシステムの”今”を見てきました

【特集】OTS、大阪港トランスポートシステムの”今”を見てきました

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かつて大阪港~コスモスクエア~トレードセンター前~中ふ頭を運行していた、大阪港トランスポートシステム(OTS)という会社をご存知でしょうか。

現在は施設のみ保有して運行は大阪市交通局に任せることによって、営業係数が26.1と日本一低い鉄道会社として一部で有名です笑。

2005年7月に大阪市交通局に鉄道路線部門を委譲して以来、あまり名前を聞かなくなりましたが、会社自体は南港に存続しているので見てきました。

 

基本データ

設立:1974年7月10日

大阪市出資率:69.6%(平成26年度)

所在地:〒559-0031 大阪市住之江区南港東4-10-108

取締役社長 横山 隆文(平成25年度役員報酬:900万円)

無題

出典:http://www.opts.co.jp/gaiyou_kessan_2013_03.html

 

ここの会社の若干変なところは、代表取締役社長よりも常務取締役の方が役員報酬が多いところ。

社長は900万円なのに常務は1140万円の役員報酬があります…笑

 

大阪港トランスポートシステム:株主構成(平成26年度)

保有団体 保有率  保有団体 保有率
大阪市 69.6% 日本トラスティ・サービス信託銀行  3.0%
三井住友銀行 3.3% 三井住友信託銀行  1.7%
三菱東京UFJ銀行 3.3% 大阪ガス  1.7%
みずほ銀行 3.0% 関西電力  1.7%
りそな銀行 3.0% その他12社  9.9%

出典:http://www.city.osaka.lg.jp/somu/cmsfiles/contents/0000196/196112/413_OTS.pdf 

 

株式の69.6%を大阪市が、三井住友銀行と三菱東京UFJ銀行が3.3%を保有する第三セクターです。

主要銀行・信託銀行の他に大阪ガスや関電も株を持っているのには驚きでした。

 

 

鉄道事業は8100万円の収入だが…

平成24年度:1614万円の事業費用/8100万円の営業収入(大阪市交通局より)

平成25年度:2769万円の事業費用/8100万円の営業収入(大阪市交通局より)

平成26年度:2807万円の事業費用/8100万円の営業収入(大阪市交通局より)

 

鉄道の収入元としては大阪市交通局からの施設利用料があり、これが一定額の8100万円ありますが、事業費用は反対に増え続けています。経年劣化で保全額が必要になっているのでしょうか。

尚、鉄道事業の収入は微々たる物(4.6%)で、本業はトラックターミナルの運営です。

 

 

実際に行ってみた

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会社所在地は大阪市住之江区南港東。そもそもの本業はトラックターミナルの運営です。

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なつかしのこの「OTS」のロゴ…!!

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案内看板の後ろ手にはOTSの本社ビルが見えます

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もう少し近づいてみましょう。1階部分にはファミリーマートが入居しています。

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北側から

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このロゴが本当に懐かしいです…笑

 

鉄道保有時代の写真

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かつてOTSが所有していたOTS系。カラーは鮮やかなツートンの青色で、直通先の大阪市交通局と仕様を合わせる為に24系に準拠した車両が導入されていました。現在は見ることが出来ません

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OTSはコスモスクエア~中ふ頭間でニュートラムも運営していました。保有車両はOTS100系です。

こちらもベースの100A系に窓枠が青く塗られて差別化されていました。こちらは今でも見ることが出来ます

OTS ゴマちゃん

01編成にはゴマちゃんのラッピングがなされていたのも懐かしいですね。 撮影:七鶴様

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左上には大きくOTSのロゴがありました。こちらは01編成

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こちらは02編成。どちらも日立製作所で製造されています。

 

谷町線へ転属

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OTSが鉄道運営をやめるということで、大阪市交通局に譲渡されます。新たな運用先は中央線ではなく谷町線でした。写真は谷町線へ転属すべく回送されている時の一コマ。

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八尾車庫にて塗装の塗り替え、帯の張り替えが行われている貴重な一枚。

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この時点では車内に手をつけられていませんでした。 両扉上にあった車内のLED案内機が片方外されていました

後にブルーの座席部分だけ交換されます。

まとめ

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かつて南港地域へはニュートラムしかなく、南港・咲州部分を開発したは良いものの、不便過ぎて誰も人が来ない…という悪循環に見舞われていました。

中央線を延伸しようとするも、公共交通ではないという理由から大阪市交通局が直接建設できずにいたのですが、そこに来て比較的資本的に自由な第三セクターに鉄道を作らせよう、という白羽の矢が立ちます。

それがOTSでした。

 

しかしながら、別会社が運営するということは運賃が2社分取られるということ。

現在梅田~コスモスクエアは280円ですが、当時は大阪市交通局梅田~大阪港で270円、それに併せてOTSの運賃が230円と、実に500円もの運賃を取られていました。

それが仇となり、OTSはおろか咲州エリアのATC/WTCにも人が入らず、WTCにいたっては破綻を迎えてしまうことになったのでした…。

 

関連リンク

ニュートラム投入計画における車両デザイン案がスゴい」- Osaka-Subway.com

100円稼ぐのに、916円かかる鉄道会社は? – 週刊東洋経済

OTS(大阪港トランスポートシステム)発行のきっぷ(普通乗車券・連絡乗車券・乗継精算券)」 – 阪和線の沿線から

 

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Photo,Writer : Series207  2015/09/13

 




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