2020年12月1日、Osaka Metroを運営する大阪市高速電気軌道株式会社は、2020年の中間決算(2020年4月1日~2020年9月30日の営業成績)を発表しました。
昨年発表時(11月中頃発表)と比べて、かなり遅い発表となりました。
グループ全体
売上高(営業収益):632億円(▲33.2%)
営業利益:▲53億円
純利益:▲35億円
売上高は前年度比33.2%減の632億円、当期純利益は35億円の赤字となりました。コロナウイルスの影響をモロに受けた格好です。
コロナウイルスの影響がやや収まった第二四半期[7月1日~9月30日]単体では黒字を出しているものの、1Qの影響が響いて現在のところは赤字決算です。
2020年度の決算予想は売上高1,401億円、70億円の赤字を見込んでいます。
在阪私鉄との比較
今回の決算では唯一南海電鉄が黒字を出し踏みとどまったものの、他3社と大阪メトロは赤字決算となっています。
事業別の決算概要
セグメント別に見ると地下鉄・バス部門が赤字、広告・流通・都市開発部門が黒字となっています。
ただ、地下鉄部門の赤字額(59億円)が大きく、黒字の3部門(16億円)ではカバーしきれていません。
第1四半期(4-6月)にのしかかった地下鉄部門の赤字(56億円)が大きく、第2四半期(7-9月)の赤字額3億円もあわさり、合計赤字額は59億円となっています。
大阪市高速電気軌道株式会社は本業である鉄道の他、バスを運行する大阪シティバスに加え、梅田地下街・なんばWALKなどを運営する大阪地下街株式会社を傘下に組み込んだ流通事業や、広告事業・都市開発事業が収益の5つの柱となっています。
尚、今期からリテール事業が「流通事業」に名前を変えているようです。
Osaka Metro(大阪市高速電気軌道株式会社)の代表的な事業
・【鉄道事業】…地下鉄などの運営(直轄)。いまざとライナーはこちらに所属
第二四半期(2Q)は59億円の赤字(前年度は169億円の黒字)
・【バス事業】…バスの運営(子会社の大阪シティバス株式会社)
第二四半期(2Q)は10億円の赤字(前年度は10億円の黒字)
・【広告事業】…直轄運営。デジタルサイネージシステム「Umeda Vision」等を担当
第二四半期(2Q)は3億円の黒字(前年度は5億円の黒字)
・【流通事業】…地下街の運営(子会社の大阪地下街株式会社)。今期は泉の広場リニューアル完成。
第二四半期(2Q)は4億円の黒字(前年度は14億円の黒字)
・【都市開発事業】…不動産関係の運営(直轄)。マンション事業「Metrosa」や商業ビル「MTビル」の運営など。現在天神橋筋六丁目に商業ビル建設中。
第二四半期(2Q)は9億円の黒字(前年度は2億円の黒字)
その他、光ファイバー設置空間の開放・公共活動支援などがあります。
バス会社を運行専門へ
また、今期の発表を受けて中期経営計画が改訂されています。
大きなポイントとしては、大阪シティバスの管理業務をOsaka Metro本体へ集約、運行専門化を行っている点です。
大阪シティバスでは、これまで「運輸管理」「安全管理」「経営企画」「総務人事」の4業務を行ってきましたが、このうちバス運行に直接関係しない「経営企画」と「総務人事」をOsaka Metroがサポートするようです。
大阪シティバスでは「自立経営の実現」が経営方針として掲げられてきましたが、今回の施策でその方針を一旦撤回することになります。
自立経営の実現
・民間の経営能力、営業能力を取り入れ、持続的な自立経営を実現する。出典:Osaka Metro「3 大阪シティバス株式会社の経営方針と事業計画」
関連リンク
参考文献
大阪市交研究会「2020/12/1(Tue) 新型コロナウイルス感染症 メトログループ中経が感染症の影響を受け再改訂」