【参考資料】第6号線相互直通運転に関する基本協定

【参考資料】第6号線相互直通運転に関する基本協定

大阪市高速電気軌道第6号線と京阪神急行電鉄株式会社京都線との列車の相互直通運転に関する協定書

大阪市(以下甲という)と京阪神急行電鉄株式会社 (以下乙という)は、甲が新設する高速電気 軌道第6号線と乙の京都線とを通じて、 列車の相互直通運転をおこなうため、 必要な事項の大綱について次の通り協定する。

(用語の定義)
第1条 この協定及びこれに基ずく覚書その他の協定において、次の各号に掲げる用語の意義は当該各号に定めるところによる。

(1) 第6号線 甲の高速電気軌道第6号線をいう。
(2) 京都線 乙の京都本線、 千里山線及び嵐山線をいう。
(3) 既設線 この協定により第6号線に接続するための建設または改良を行なう以前の京都線をいう。
(4)3線部 第6号線のうち天六線(仮称。 以下同じ) 北部に設ける折り返し線及びその両側に並行して設ける本線を含む3線路の区間をいう。
(5) 接続線 3線部のうちの本線で3線部北端において京都線と接続する路線をいう。
(6)所属営業線 運賃の収得、 運輸責任、その他運輸営業上の区分となる甲及び乙の路線をいう。

(実施の時期)
第2条 甲と乙とは、 昭和44年10月1日から相互直通運転を実施することを目途として、これに必要な建設または改良工事を完了するものとする。

(路線の接続方法)
第3条 乙は既設線淀川橋梁南方において既設線を変更し、 既設高架より地下に入り、第6号線の3線 部北端に接続するものとする。 前項の接続経路その他細目は別に協議して定める。

(建設区分)
第4条 甲と乙との建設区分は3線部北端を分界点とし、 甲は第6号線の建設を、 乙は前条の定める路 線の建設、及び相互直通運転実施のため必要な既設線の改良を行なう。

(車庫及び工場)
第5条 甲は京都線に第6号線の車庫及び工場を建設するものとし、乙は正雀駅付近にその用地を確 保するものとする。

(申請手続)
第6条 建設に必要な工事施行の認可申請その他の諸手続きは、第4条の建設区分によって行ない、 甲乙相互に関連する事項もしくは建設区分により難い事項については、別に協議して定める。

(工事の施工)
第7条 工事は主務官庁の認可または許可を得たのち直ちに着手するものとし、甲、乙協議のうえ、 それぞれの工事の一部を相手方に委託するなど工事の円滑な進行をはかるものとする。

(財産の帰属区分)
第8条 財産の帰属は第4条に定める建設区分によるものとする。 ただし、 第5条の車庫及び工場の施設ならびにその用地と3線部の用地(道路部分を除く)については別に定める。

(所属営業線の区分)
第9条 甲及び乙の所属営業線は前条の定めにかかわらず、天六駅の中心 (乗降場の中心)をもって分界点とする。

(建設費の分担)
第10条 建設費は第8条に定める財産の帰属区分に従って、甲乙それぞれ分担するものとする。ただし、3線部、天六駅、車庫及び工場その他これにより難い建設費の分担については別に定める。 前項の費用の支払い方法、清算、その他細目は別に協議して定める。

(規格の統一)
第11条 第6号線の規格は次のとおりとする。
(1) 軌間 1,435ミリメートル
(2)電気鉄道方式 直流架空単線式
(3) 電圧 1,500ボルト
(4) 車両 高さ(パンタ折りたたみ限界) 4,160ミリメートル
車体最大幅 2,850ミリメートル
車体長 18,200ミリメートル
(5) 建築定規 高さ (軌条面上) 4,910ミリメートル、幅 3,250ミリメートル
(6) 信号保安設備 自動列車制御装置を設備する。
(7)通信設備 誘導無線電話を設備する。

(設計協議)
第12条 直通列車の車両設計及び相互直通運転に関連する施設については、運輸営業に支障のないものとし、別に協議して定める。

(直通運転区間および運輸責任)
第13条 直通運転区間は第6号線と京都線の相互間において別に協議して定める。

(列車運転計画)
第14条 甲及び乙の列車運転計画は次のとおりとする。
(1) 甲の所属営業線内の列車運転は、列車の編成を開業時5両連結、最終目標8両連結とし、運転時 隔を最多混雑時2分30秒均等時隔とする。
(2)直通運転区間を運行する甲及び乙の列車の系統その他運転計画は別に協議して定める。
(3) 直通列車は開業後当分の間各駅停車とする。 なお将来相互直通運転に支障のない限り所属営業線内の列車種別は変更し得るものとし、その運転計画については、別に協議して定める。
(4) 直通列車の運行図表は甲の所属営業線内の均等時隔運転を確保し、かつ、乙の所属営業線内の 列車運転に支障のないよう別に協議して定める。
(5) 相手線への乗り入れ車両走行キロは、所属営業線の分界点を計算の起点とし、甲乙相互間の均 衡を保持するよう努める。
(6) 甲及びこの車両保有数は別に協議して定める。
(7) 列車の運転整理、事故処理、 運転指令その他の細目は別に協議して定める。

(乗務員)
第15条 甲及び乙の乗務員はそれぞれの所属営業線内の業務に服し、 天六駅において乗務の引き継ぎ交代を行なう。 前項の乗務の引き継ぎの責任分界はその列車の出発時とする。

(異常時の取り扱い)
第16条 甲または乙の所属営業線内において運転休止その他異常な事態が生じた場合は、相手線の列車の運行に支障のないよう相手方所属の車両の回送、折り返し、従事員の確保その他必要な処置を講じるものとする。

(線路使用料)
第17条 甲または乙は相手方所有の線路へ車両を乗り入れた場合は、線路使用料を相手方に支払う ものとする。ただし、 相手方がその車両を使用する場合、その他別に定める場合はこの限りでない。

(車両使用料)
第18条 甲または乙において相手方所属の車両を使用した場合は、 車両使用料を相手方に支払うも のとする。 ただし、 別に協議して定める車両はこの限りでない。 前項の車両使用料の精算 は第14条第5号に定める甲及び乙の車両走行キロの均衡によって相殺するよう努める。

(運転経費)
第19条 甲または乙において相手方の必要に応じて車両を運転した場合は、運転に要した経費の支 払いを受けるものとする。

(損害負担)
第20条 直通運転及びこれに付随する業務に関して生じた損害その責めに帰しべき者において負担するものとする。

(天六駅)
第21条 天六駅は甲及び乙の共同使用駅とし、別に定める場合を除き、駅の管理は甲が行なう。前項の天六の共同使用について、 駅務の区分、共同使用経費の分担、将来の増改築その他必要な細目は別に協議して定める。

(運賃及び運輸に関する料金)
第22条 運賃は第九条に定める所属営業線の区分に従って、甲、乙それぞれ設定するものとし、所属営業線内の認可運賃を取得するものとする。
(2) 甲及び乙の所属営業線にまたがる連絡運賃は併算とする。
(3) 運輸に関する料金、 前二項の運賃の精算その他連絡運輸についての細目は別に協議して定める。

(変更その他)
第24条 この協定に定める事項について変更の必要または疑義を生じた場合、もしくはこの協定に 定めのない事項を追加しようとする場合は、その都度協議して定める。 この協定の施行に ついて必要な細目は別に協議して定める。

(付則)
この協定は調印の日から施行する。
この協定の各条項を確認した証として、本書二通を作成し、 甲乙記名押印のうえ、おのおのその 一通を保有する。

昭和42年3月22日




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