首をつっているみたい…と揶揄された、大阪市営地下鉄の新デザイン、通称「ようおこしトイレ」ですが、意外な所で好反応のようです。
ピクトグラムはデザイン的に変?
特にその大きなピクトグラムはデザイン面から見ると不評を買っているようです。こんな記事がありましたのでご紹介します
あまりに大きいピクトグラムの人物ですよ。トイレのマークがパーテーションいっぱいに、ここまで主張するなんて、おかしくないですか?そりゃあ、お年寄りや海外の観光客には目立ってわかりやすいかもしれませんけど、美観ってものがありますよねー?
改札入ったら、ホームへ降りるエスカレーターと階段の両側に、自分の身長より大きいトイレのマークが、金剛力士像のようにあるんですよ。変でしょ??駅の風景の中でトイレの存在感が大きすぎるんです。
ずっと地下鉄のトイレに不満を持たれていた方のようで、リニューアル自体には諸手を挙げて歓迎されているようですが、どうもデザインには違和感を感じていらっしゃいます。
大阪市営地下鉄のトイレ リニューアルは大歓迎だけど・・・このデザインは何か違和感が・・・。 http://t.co/IVbQ9DiJI1
そう「でかいねん!」(笑)。周りと調和していませんしね。
— 一阪人 (@ourosaka) October 14, 2015
しかしながらこれは、バリアフリーまでを考えた、公共交通ならではのデザインであることをご存知でしょうか。
ロービジョンの方には高評価
大阪市営地下鉄をご利用の方はご存知かもしれませんが、市が改修に取り組んでいる清潔で使いやすいトイレ、入り口にはこの巨大なサインが記されています。巷ではデザインの否定もあるようですが、視覚障害のあるロービジョンの方からは「トイレを見つけやすくなり助かっている」とのお話が伺いました。 pic.twitter.com/3ABkdKJ5xl
— 株式会社石井マーク (@ishiimark_sign) November 18, 2016
「公共サインのデザイン性」を論ずるにおいても確かにこの点は軽視すべきではないと存じます。(サイズに対する線の太さや肩の曲線などは調整する余地は感じますが)
「トイレ」という存在を控えめに隠す性質の商業施設では、尚更に判り難くなる傾向もありましょう。— 株式会社石井マーク (@ishiimark_sign) November 18, 2016
ご覧になったものがまさに「JIS Z 8210:案内用図記号」のそれでございます。昭和からの典型的なトイレサインの進化系でもあり、体格の区別も強調されています。
ここでは色の規定は無いのですが青・赤の組み合わせは視力の弱い人でもトイレと判りやすいかと存じます。 pic.twitter.com/loTmWlV6O8— 株式会社石井マーク (@ishiimark_sign) November 20, 2016
もっとも、「女性はスカートを履くものと決め付けるのか!」という“お叱り”は昔から存在するようなのですけれども。とはいえ私はスカートを売っている紳士服売り場を何故か存じませんし、ある文化的背景を抜きにして「医学的特徴」で表現すれば文化的な人に怒られてしまいます。
— 株式会社石井マーク (@ishiimark_sign) November 20, 2016
ロービジョンというのは、所謂「弱視者」のこと。通常視力が低い人はメガネ・コンタクトレンズを用いると矯正することが出来ますが、ロービジョンの方はこれらの器具を用いてもほとんど見えず、日常生活において不自由な状態での生活を送られている方のことを指します。
世界保健機関 (WHO) では、矯正眼鏡を使用しても「視力が0.05以上、0.3未満」の状態をロービジョンと定義している、とのことです。
サイン、特に大阪市営地下鉄のような公共交通機関においては、単なる見た目だけでなく、こういった方々が利用することも忘れてはいけませんね。
余談ですが、「ようおこしトイレ」があるのは大阪市営地下鉄だけにも関わらず、JR新今宮駅も「ようおこしトイレ」になるのか!?と喜ばれている方がいらっしゃいます笑
一般の方から見ると、「ようおこしトイレ」=「きれいな駅のトイレ」という認識になっているのが面白いですね笑
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Photo,Writer :Series207 2016/12/25