Osaka Metro(大阪メトロ) 9号線は、住之江公園~喜連瓜破間を結ぶ地下鉄の構想路線です。
仮称としては地上を走行する道路である「敷津長吉線(長居公園通)」からそのまま名前をとった、敷津長吉線とも言われます。
新線建設構想
出典:「大阪市交通事業の設置等に関する条例」に位置づけられた未着手の地下鉄計画路線の整備のあり方について
おそらく大阪メトロ最後の新規路線となる「9号線(敷津長吉線)」は、住之江公園から喜連瓜破までの7.0kmを結ぶ路線です。
この路線は、長堀鶴見緑地線や今里筋線と同様に全線地下式のリニア式地下鉄として建設される予定です。
9号線新駅の予想図
需要予測の段階で検討されている駅数は全7駅。
そのうち2駅は、始発・終点となる住之江公園駅と喜連瓜破駅で確定、乗換予定駅である長居と湯里六丁目もほぼ確定しています。
ただし、湯里六丁目で接続予定の今里筋線は、まだ未開業です。
残りの3駅については、大阪の地下鉄が概ね1kmごとに駅を設置する傾向を考慮すると、上図のように配置されると予想されます。
新設部建設計画
9号線の新規路線開業にあたっては、全11編成の車両が準備されます。
車庫は長居公園地下に新設とあり、ラッシュ時には長居行きが設定されることが想定されます。
最大編成数は6両を想定していますが、開業にあたっては他リニア地下鉄と同様に4両で運用開始となる見込みです。
延伸区間 | 住之江公園~喜連瓜破 |
---|---|
駅数 | 7駅 |
建設延長/営業延長 | 7.0km/6.9km |
必要列車数 | 11列車 (コスト削減プランでは10列車) |
計画最大編成数 | 6両 |
車庫計画 | 長居公園地下に新設 |
構造 | 全線地下式 |
車両規格 | リニアモーター式(既存の長堀鶴見緑地線と同様) |
新設部運転計画
・朝ラッシュ時:4分~5分間隔
・データイム時:10分間隔
・夕ラッシュ時:5分間隔
ニュートラムの延伸案は?
「9号線はニュートラムを延伸させてはどうか」「ニュートラムが担うのでは?」という話があります。
確かに、ニュートラムの終点である住之江公園駅は、9号線と向きも同じ東西方向ですし、そのまま延長するのが自然なようにも思えてきます。
ただ、この案は大阪市の資料できっぱりと否定されています。その理由の中に、「高高架で東西方向の路線
のため、影響が大きい」ことが挙げられています。
9号線(敷津長吉線)は、途中で以下の4つの南北方向に縦貫する他社線を越える必要があります。
・南海本線
・高野線(現在は地平)
・JR阪和線
・近鉄南大阪線
これらの路線を跨ぐには、さらに高い高架線を建設する必要があり、その結果、特に日照権の侵害や景観への影響が深刻化する可能性があります。
さらに、湯里六丁目~住之江公園間は道路幅員がわずか25mしかないため、新たに用地買収が必要になる課題も浮上します。
これらの理由から、ニュートラムの高架線による延伸案は否定されており、現実的な選択肢としては他の方式が検討されています。
ほぼ凍結された現在
2025年現在、このルートには大阪シティバスの4号系統がそっくりそのまま走っている他、BRT「いまざとライナー」も一部区間を走行しています。
9号は、1989年5月31日の運輸政策審議会答申第10号に「今後の整備を検討する路線」として盛り込まれましたが、2004年10月8日に開かれた近畿地方交通審議会答申第8号には盛り込ませんでした。
また、2014年時点の試算では人口減も考慮したところ黒字転換がなされず、極めて厳しいとの評価が得られたことから、現在は一切の建設の目処が立っていません。
計画路線の地上走行動画
敷津長吉線の地上を住之江公園→喜連瓜破間で走ってきました!
地上の雰囲気をご覧になりたい方は是非ご覧になってみて下さいね。
他の延伸構想データベース
参考資料
『「大阪市交通事業の設置等に関する条例」に位置づけられた未着手の地下鉄計画路線の整備のあり方について 』平成26年8月28日 大阪市鉄道ネットワーク審議会
『「大阪市交通事業の設置等に関する条例」に位置づけられた未着手の地下鉄計画路線の整備のあり方について(答申)内、資料1-2 「大阪市交通事業の設置等に関する条例」に位置づけられた未着手の地下鉄計画路線の整備のあり方について(答申)(その2)』- 2014年8月30日