近鉄グループホールディングスは、2025年に開催される大阪万博に乗り入れるOsaka Metroの中央線(夢洲駅)に、近鉄奈良線から直通できる車両を海外メーカーと開発することを発表、産経新聞が報じています。
当サイトをご覧の鉄道ファンの皆さんなら周知の事実とは思いますが、中央線(けいはんな線)は第三軌条式(750V)、奈良線は架線式(1500V)で集電方法が異なります。
近鉄グループホールディングス(HD)は14日、2025年に大阪・関西万博が開催される大阪湾の人工島・夢洲(ゆめしま)=大阪市此花区=と奈良方面を直通運転する新型車両の開発に着手したと発表した。カジノを含む統合型リゾート施設(IR)の開業が夢洲で計画されている2024年ごろの運行開始を目指す。(中略)
近鉄奈良駅(奈良市)を始点とする奈良線と、夢洲まで延伸予定の大阪メトロ中央線に乗り入れている近鉄けいはんな線を接続する。奈良のほか、名古屋や伊勢志摩方面からも乗り換えなしで夢洲に乗り入れることができる。
計画では、奈良線とけいはんな線が乗り入れる生駒駅(奈良県生駒市)付近に、両線をつなぐ「渡り線」を新設。両線は集電方式が異なるため、2つの方式に対応した新車両を開発する。
同日、大阪市内で会見した吉田昌功社長は、海外メーカーに車両の開発を依頼したことを明らかにした
出典:近鉄HD 万博会場と奈良・名古屋を結ぶ新車両開発
http://www.sankeibiz.jp/business/news/190514/bsc1905142306023-n1.htm
出典:「新「近鉄グループ経営計画」~長期目標(2033年度)および中期計画(2019-2023年度)~ 資料編」
この「海外メーカー」というところがミソ。イギリスでは第三軌条と架線とを直通できる車両「ユーロスター」などがありますが、日本ではまだ実現していません。
メインの開発はおそらく近畿車輛が担当すると思われ、海外メーカーからはライセンスを受ける形になるのでしょうか。
連絡線は生駒に
この第三軌条線と架線を結ぶ連絡線は、予想通り両線が接近する生駒駅付近に新設するとのこと。
現在検査用車両としては既に東生駒駅周辺に連絡線がありますが、こちらを使うとなるとスイッチバックが必要となる上に、おそらく両数もそこまで入らないことから新たに作られるものと思われます。
これが出来れば、日本史上初の「第三軌条・架線併用式」車両になるのでしょうか。
追記
厳密には、日本初の「第三軌条・架線併用式」車両は、鉄道院が1912年に導入したEC40形機関車になります。
ただ、この車両はかなり特殊なもので、ラックレールと呼ばれるロープウェイのような歯に車輪を噛ませながら、15km.g程度でのゆっくりと走行するタイプの鉄道になり、今回のような普通鉄道とはまた異なったかなり限定的で特殊な規格になります。
また、今回の記事中では海外での採用例にユーロスターを取り上げましたが、その他川崎重工業が製造しアメリカ向けに納入しているメトロノースM8形という車両でも採用事例があるようです。