おそらく、この記事に来られた方はまさに今「人身事故や信号故障で大阪メトロが止まっている!」という状態の方だと思います。
ケースによってまちまちなのではっきりと運転再開時間はわかりませんが、大阪メトロの過去データを振り返ると、運転再開までの時間はおおよそこれぐらいかかります。
1.人身事故での停止の場合は1時間~1時間半程度
2.信号故障での停止の場合は1時間程度
3.設備故障の場合は2~4時間(最も重症)
4.車両点検・設備点検の場合は15分~1時間半とかなり差がある
5.線路内立ち入りの場合は5~10分程度
また事故区間とは無関係の場所にいらっしゃり、「ここだけでも運転してくれないかな…」と考えておられる方に書いておくと、
そういった区間運転は③の「設備故障」時、かつ復旧が長時間に渡りそうな際にのみ実施し、あとのケースでは原則運転されません。
ここまでは、急いでおられる方のために結論だけを簡単にまとめましたが、ここからはアクシデントのケース別に過去のデータを引っ張りながら、事故対応時の復旧までの時間や詳しい内容を見ていきましょう。
近年の傾向
先程設備故障時以外は区間運転をしないと書きましたが、それでも民営化以前では何かあるとすぐに全線ストップさせ、しばらく動かないというケースが多く見受けられました。
民営化後(準備段階を含む)からは積極的に区間運転を行うなど、柔軟性が見られるようになっています。
1.人身事故で止まった場合
ここからは、アクシデントのケースごとに復旧までおおよそどの程度かかったのかを見ていきます。
尚、今回使用する過去データはTwitterでの報告時間がベースなので、実際の事故発生時からは5分程度の誤差があります。その点はご了承下さい。
人身事故で停止した場合、おおよそ1時間~1時間半程度の運行停止が見込まれます。
また、原則的に大阪メトロに責任がないものなので、臨時区間運転などの運用変更はなく、他路線やバス・タクシーなどへ迂回するのが最も早いと思われます。
駅で発生した際は約1時間の停止ですが、駅間で発生した場合は駅から現場まで駅員さんやレスキュー隊が徒歩で赴くため、やや伸びる傾向にあります。
そもそも地下鉄には踏切がないので駅間で事故が起きることは殆どないのですが、2020年9月9日には西田辺~長居間で13歳の少年が駅からトンネル内に入っていって事故が起きるなど、そういった事例も稀にあります…。
9日午後9時15分ごろ、大阪メトロ御堂筋線の長居(大阪市住吉区)―西田辺(同市阿倍野区)間で、なかもず発千里中央行きの電車に男性がはねられ、搬送先の病院で死亡が確認された。大阪メトロによると13歳の少年とみられる(中略)
長居駅から約500メートル離れた地下のトンネル線路上にいるのを運転士が発見。非常ブレーキをかけたが間に合わなかった。長居駅の防犯カメラには、1人でホームから線路に立ち入る姿が写っていた。
出典:https://news.yahoo.co.jp/articles/685a8ab424989f4510f07cf9f56c16692e981232
当該列車に乗り合わせた場合
30分経過 pic.twitter.com/NAgfjCCee3
— Mies@Titan (@mies1314) September 9, 2020
運悪く人身事故の当該列車に乗り合わせてしまった場合、その地下鉄車両の電気が落とされます。
これは750Vの電気が流れている電線(第三軌条といいます)とレールとが近く、救助作業を行う方が感電しないようにする為の措置です。すなわち救助が完了するまで電車はその場で動きません。
2020年9月に駅間であった事故の際は、暗い地下トンネルで1時間半待たされたケースもあります。
夏場だと暑く、冬場だと寒くなりますが、こればかりはどうしようもありません。どうしてもトイレに行きたくなった場合は、車掌さんに申告して指示を仰ぎましょう。
過去のデータから
解消まで:1時間(駅での場合)、1時間半(駅間での場合)
運用変更:原則なし
過去データ:
2021年4月9日 谷町線谷町九丁目駅 16時45分~17時30分(45分)
2020年9月9日 御堂筋線西田辺~長居駅 21時13分~22時48分(1時間35分・駅間)
2020年9月2日 御堂筋線なんば駅 15時44分~16時17分(1時間3分) [始][終]
2020年8月16日 御堂筋線なんば駅 7時56分~9時08分(1時間12分) [始][終]
2020年8月7日 四つ橋線肥後橋駅 8時42分~9時46分(1時間4分) [始][終]
2020年7月27日 御堂筋線本町駅 9時46分~10時47分(1時間1分)
2020年6月9日 御堂筋線本町駅 12時12分~12時18分(6分)[始][終]
2020年6月6日 四つ橋線なんば駅 17時4分~17時55分(51分)[始][終]
2020年7 月27日(月曜日)9時46分頃、Osaka Metro 御堂筋線本町駅において発生しました人身事故の影響により
9時46分から10時47分までの間御堂筋線全線で運転を見合わせておりました。お客さまにはご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。
— Osaka Metro 運行情報 (@osakatransport) July 27, 2020
堺筋線の場合
阪急と乗り入れている堺筋線の場合、事故発生場所が阪急線内で堺筋線に問題がない場合では、天神橋筋六丁目~天下茶屋間でスムーズに運転再開するようになりました。
大阪市交通局時代では、阪急線の事故の場合でもとりあえず阪急と一緒に全線を運休させて、阪急と一緒に運転再開という怠慢なケースがよく見られました。
過去データ:
2021年4月8日 阪急京都線茨木市駅~南茨木駅 13時3分~14時12分(堺筋線運転再開までは17分)
2020年6月18日 阪急京都線富田駅 19時47分~(堺筋線運転再開まで1時間1分)
2020年5月7日 阪急京都線富田駅 19時31分~19時50分(堺筋線運転再開までは19分)
2020年6月18日19時47分現在の運行状況です。阪急京都線富田駅での
人身事故のため、堺筋線の運転を停止しています。— Osaka Metro 運行情報 (@osakatransport) June 18, 2020
2020年6月18日20時18現在の運行状況です。運転を見合わせておりました堺筋線は、現在、天神橋筋六丁目駅~天下茶屋駅間での折り返し運転を実施しています。
— Osaka Metro 運行情報 (@osakatransport) June 18, 2020
2.信号故障で止まった場合
この場合は修理にかかる時間によりけりなので、復旧時間が読めません。
また、原則的に区間運転などの運用の変更もありませんが、あまりに長期に渡る(2時間以上)場合は運用変更をするケースもあります。
そもそも一口に「信号故障」と言っても、その駅の信号がダメになったのか、路線全体がダメになったのかで復旧時間はかなり変わってきます。
過去のデータから
解消まで:15分~3時間
運用変更:長期に渡る場合はあり
過去データ:
2020年6月22日 長堀鶴見緑地線大正駅 15時2分~15時50分 [始][終]
2020年6月9日 長堀鶴見緑地線大正駅 9時22分~9時35分 [始][終]
2020年11月27日 谷町線大日駅 7時43分~11時43分(守口行きを運行) [始][終]
3.設備故障で止まった場合
線路の故障や碍子の破損、ホームドア部品の接触など、鉄道設備側の故障で電車が止まった場合。
これは全線復旧まで、最も時間がかかるパターンです。
すなわち、大阪メトロ側に100%責任がある事故で、復旧まで時間がかかりそうな場合は、運用を変更して動かせるところを動かす事例が多く見受けられます。
過去のデータから
・御堂筋線 梅田駅 [2021年6月10日 5時57分~11時15分]
御堂筋線梅田駅へ、当日未明に設置されたホームドアのゴム部分が電車と接触。
梅田駅2番線が通れなくなったことから、運転可能な千里中央~新大阪、およびなかもず~なんば間において区間運転を実施しました。
本日5時57分頃、御堂筋線梅田駅の千里中央方面行ホームにおいて、ホーム側に設置している列車とホームの隙間を解消するための櫛状ゴムに列車が接触する事象が発生したため、御堂筋線の全列車の運転を見合わせました
現在千里中央駅~新大阪駅間、なんば駅~なかもず駅間での折り返し運転を行っています— Osaka Metro 運行情報 (@osakatransport) June 10, 2021
現在、御堂筋線は千里中央駅~新大阪駅、なんば駅~なかもず駅間での折り返し運転を実施しています。
— Osaka Metro 運行情報 (@osakatransport) June 9, 2021
・長堀鶴見緑地線 ドーム前千代崎駅 [2020年7月25日 13時26分~16時3分]
ドーム前千代崎駅での碍子破損で、京橋~門真南間で折り返し運転を実施。
折り返せる駅は心斎橋もありますが、電源系統の故障で一旦電気を落とさなければならず、その区間に心斎橋も入っていたことから運転できず。
2020年7 月25日(土曜日)13時26分頃に発生したOsaka Metro 長堀鶴見緑地線の運行障害につきましては、架線を支持する碍子の損傷が原因であったため、碍子を交換し安全を確認いたしました。
お客さまにはご迷惑とご不安をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。— Osaka Metro 運行情報 (@osakatransport) July 25, 2020
2020年7月25日16時03分現在の運行状況です。運転を見合わせておりました長堀鶴見緑地線は、列車の運転を再開しました。なお、ダイヤが乱れている場合があります。
— Osaka Metro 運行情報 (@osakatransport) July 25, 2020
・四つ橋線 北加賀屋駅 [2019年5月30日16時~]
北加賀屋駅での軌道(線路)設備不具合の影響で、玉出~西梅田で折り返し運転を実施。
・谷町線 阿倍野駅南側 [2010年3月29日 始発(事故発生は1時45分)~9時10分]
阿倍野駅南側のトンネル内で、誤って光ケーブルを切断してしまい、文の里以南の駅においてポイント転換や列車制御が一切行えず、大日~谷町九丁目で折り返し運転を実施。
4.発煙事故・車両点検・設備点検で止まった場合
発煙やブレーキ動作の不具合など、電車や線路の機器に異常が起きた際、用いられる表現です。
比較的早期に復旧する場合が多いですが、2月18日の御堂筋線など稀に重症化・長期化するケースも見られます。
長引いた場合は2021年4月の今里筋線のように、突発的な運用変更が行われます。
過去のデータから
解消まで:15分~1時間半程度
運用変更:長引きそうな場合はあり
過去データ:
2021年4月9日 今里筋線太子橋今市駅エレベーターにて発煙 14時37分~16時37分[始][終]
2020年9月6日 四つ橋線西梅田駅 20時25分~20時41分[始][終]
2020年6月4日 四つ橋線四ツ橋~なんば駅 14時23分~14時49分[始][終]
2020年5月14日 四つ橋線花園町駅 8時35分~8時36分[始][終]
2020年3月25日 ニュートラムフェリーターミナル~ポートタウン東駅 10時43分~11時47分[始][終]
2020年2月18日 御堂筋線心斎橋駅 8時27分~10時15分[始][終]
2020年1月25日中央線大阪港~コスモスクエア駅 12時38分~12時58分[始][終]
5.線路内立ち入りで止まった場合
人身事故と違って単に「線路内立ち入り」という表現だと、事故になっておらず線路に立ち入った乗客をホームに戻せば済む話なので、比較的早期に復旧するケースが多いです。
過去のデータから
解消まで:5分~10分程度
運用変更:なし
過去データ:
2020年6月8日 谷町線長原~八尾南駅 9時51分~9時58分[始][終]
2020年6月3日 千日前線北巽~南巽駅 5時45分~5時53分[始][終]
2020年6月1日 御堂筋線なかもず~新金岡 6時59分~7時5分[始][終]
6:線路支障、飛来物で止まった場合
地上線を持つ御堂筋線・中央線・堺筋線・ニュートラムの4路線のみに起こることがあります。
その中でも御堂筋線は両側に道路が走っていることもあり、その頻度が高くなっています。
過去のデータから
アクシデントが起きた際の参考になると幸いです。