2021年8月10日、特許庁は近畿車輛が出願した第三軌条用「集電靴収納装置」の特許申請の仕様を公開しました。
近畿日本鉄道は、中央線と直通するけいはんな線・奈良線の直通運転を実現するため、第三軌条と架線のハイブリッド車両を開発。
2025年の万博以後に運行する意向があることを公表していますが、今回の特許で技術的な仕様が明らかになった格好です。
これまで「海外メーカーに開発を依頼する」という情報が出ていましたが、結果的には近鉄と縁が深い近畿車輛へ依頼することとなったようですね。
跳ね上げ式に
特許の説明欄内には課題として「第三軌条用集電装置を架線集電方式の車両限界に納める」とあり、架線というよりかは第三軌条の収納部分について問題があったことが伺える内容です。
特許の内容を見ると、第三軌条の集電部分が「てこ」のように、上へ跳ね上がる仕組みの他、様々な方式が挙げられています。
今回の説明には、けいはんな線で使用されている7000系のイラストが使われていることから、けいはんな線での使用を想定したものと考えられます。
当サイトをご覧の地下鉄・近鉄ファンの皆さんなら周知の事実だとは思いますが、中央線(けいはんな線)は第三軌条式(750V)、奈良線は架線式(1500V)で集電方法が異なります。
今回の特許はその問題を解決するものであり、将来的な直通特急運行へ一歩前進した形です。
第三軌条の収納部品については、既に英国のユーロスターなどで実現していますが、国内では近畿車輛と近鉄の事例が初となりそうです。
関連リンク
参考文献
特許情報プラットフォーム「特開2021-118656」