皆さんは、かつて御堂筋線の10系に全面ラッピングされていた「マルハン号」をご存知ですか?
運行期間は2005年~2013年の8年間。2代にわたって行われ、年間広告収入は2500万円だったそうです。
大阪市交通局時代には、公営交通としてふさわしいとは言えないギャンブル系企業の広告を、でかでかと全面広告列車として運行していた時代もありました。
今回はそんな黒歴史に目を向け、マルハン号をご紹介しましょう。
マルハン1
最初にラッピングされたのは、リニューアルを受ける前の1123Fです。期間は2005年4月6日~2006年7月下旬頃まででした。
ラインカラー要素がなくなるからなのか、通常は白に塗り分けられている部分が赤色になっているのが印象的です。
側面部分。御堂筋線とマルハンの赤色を目立たせる為か、水色がメインカラーでした。
マルハン2
先述の1123Fがリニューアル(VVVF化)工事を行うことに伴い、2代目マルハン号が引き続き運行されました。
ラッピングされたのはリニューアルを受けた後の1112Fです。
期間は2007年2月19日~2013年5月中旬頃までで、マルハン号としてはこちらの方が期間が長くなっています。
訴訟
このラッピングは「地下鉄の公共性に反する」というある意味当たり前の理由から、2012年10月に市民団体が広告差止を求める訴状を大阪市に提出します。
これは「4月に(パチンコ広告列車を)廃止した」と大阪市側が回答していたにも関わらず、運行を継続していたことに端を発したものです。
大阪市営地下鉄の車両全体を覆うパチンコのラッピング広告について、「射幸心をあおる」と市民が苦情を寄せたところ、市交通局は「昨年4月に廃止した」と回答した。ところが広告列車は今も走っている。広告主側が打ち切らないかぎり自動更新される契約のためで、まだ数年間は走り続けるという(中略)
御堂筋線のパチンコ業者のラッピング広告は05年4月スタート。広告料年約2500万円は貴重な収入だった。しかし、「パチンコによる借金苦の自殺も多い」などの複数の苦情を受け、広告審査基準を改定。11年4月から、パチンコや公営ギャンブルのラッピング広告は新規契約を取りやめた。
ただ、現在の業者との契約は、車体の廃車など「当局の業務上の支障」がない限り、毎年自動更新されるため、「今後数年、掲載される可能性がある」(市交通局)。業者側も「広告を続ける方針」と話す。
出典:朝日新聞「パチンコの地下鉄ラッピング広告 廃止のはずが運行継続」、2012年10月4日
平成24年(ワ)第11346号
大阪市地下鉄パチンコボディ広告差止等請求事件
結果的には裁判にまで至らず、大阪市側が広告を2013年5月までに中止するとする書面を大阪地裁に提出することで、原告側も訴訟を取り下げることになりました。
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関連リンク
参考文献
なにわの地下鉄「10系」
p-factory「市営地下鉄のパチンコ広告取り止めへ/大阪市」