先日お伝えした、北大阪急行の箕面萱野延伸区間。
実は、途中の箕面船場阪大前付近を境目に、この区間は「鉄道事業法」と「軌道法」とで分かれているのをご存知でしょうか。
この理由は、いったい何故でしょうか。
答えは…
ずばり、その答えはお金の負担方法にあります。
今回の箕面延伸工事では、主に利益を得るのは北大阪急行と箕面市です。
ですので、箕面船場阪大前から北の部分では北大阪急行と箕面市(と大阪府と国)がお金を出し、橋脚や駅舎部分などに出資・整備を行います。
北大阪急行からすれば、全てを自前で作らずに済むことで、費用負担の軽減を図ることが出来ます。
実際、この費用負担の割合が大きいことで、なかなか実現に至っていませんでした。
2014年に大阪府・箕面市・北大阪急行と、親会社の阪急電鉄で話し合いが持たれ。北大阪急行は110億円を、残り540億円を国・大阪府・箕面市が負担する基本合意を締結。
2016年に軌道法・鉄道事業法の認可を受けて工事が始まりました。
つまり、箕面市の都市整備事業(街づくり)として鉄道を作るという意義から、箕面船場阪大前~箕面萱野間は軌道法での設置となったのです。
この兼ね合いで箕面船場阪大前駅・箕面萱野駅の2箇所では、駅前周辺で鉄道とは関係のない工事が、街づくりの一環として行われています。
大阪では他にも…
同様の事例はニュートラムでも見られます。
・トレードセンター前~コスモスクエア:鉄道事業法
・中ふ頭~トレードセンター前:軌道法
・フェリーターミナル~中ふ頭:鉄道事業法
・住之江公園~フェリーターミナル:軌道法
詳細は別記事にて解説していますが、ご覧のように鉄道事業法と軌道法が入れ替わる路線となっています。
こういった軌道法・鉄道事業法が混在するのは、歴史的に軌道法で地下鉄の整備が進められてきた、大阪特有の路線形態かもしれません。
関連リンク
参考文献
- JREA 2019年 Vol62.『「大阪の南北軸強化」と「コンパクト・プラス・ネットワーク」によるまちづくりの一翼を担う新たな鉄道整備−北大阪急行延伸線−』木村 哲也(北大阪急行電鉄株式会社延伸事業部調査役)