2014年5月に行われた「大阪市交通局80周年記念イベント」の目玉として、開業間もない御堂筋線を走った100形が大阪市役所前に展示されることになりました。
その為に、緑木検車場(北加賀屋)から淀屋橋の市役所まで、100型を陸送する一大プロジェクトが実行されました。
「大大阪」と呼ばれた昭和7年。
国鉄大阪駅に姿を現した100型は、そこから当時の車庫があった平野町3丁目(本町付近)まで、牛に曳かれてゆっくりと御堂筋を走りました。大阪駅からの所要時間はなんと4時間で、午前8時に南御堂前に到着。
ぽっかり開けられた搬入口へ吊り下げられたそうですが、思うように作業がはかどらず、全ての編成を搬入するまでに翌日までかかったとの逸話が伝えられています。[ref]「SUBWAY」- 日本地下鉄協会報 第204号 [/ref]
80年が経った現在は、牛ではなくトレーラーで牽引されます。今回の輸送担当は兼六商事運輸さんです。今回は、その一部始終を捉えることができましたのでご紹介しましょう。
ちなみに朝日新聞社もこの取材に訪れていました。こちらもあわせてどうぞ。
緑木検車場から搬出される105形。
牽引のトレーラーがゆっくりと進むと、顔が姿を現しました!
緑木周辺で一時停止する100形。
国道26号線(岸里周辺)を颯爽と駆け抜け、北上していきます。
広い道路に出て一旦小休止。異常がないか点検しています。
国道2号線に入り福島を抜け、目的地の大阪市役所まではあと少し…
淀屋橋の日本銀行大阪支店前に停車する100形。
日銀は明治36年の建築なので、昭和8年の搬入時に一度だけ姿を見せているので、約80年ぶりの再会ということになります。まさに歴史的瞬間です。
大きく曲がって大阪市役所に進入する100形。夜間といえど御堂筋は交通量が多く、緊張の瞬間です。
80年前に通った風景を再び見ることが出来た100形は、何を思うのでしょう
無事に搬入されました。これも作業に当たられたプロフェッショナルの方々のおかげですね。
兼六商事運輸さんのトレーラーに載り、あざやかな運転で大阪市内を走行する姿は、かつて昭和8年に大阪駅から牛に曳かれ、ゆっくり4時間かけて御堂筋を走った姿そのものでありました。
皆様、お疲れ様でした。
参考リンク
「大阪市営地下鉄」 – 戌亥の雑記帳
「SUBWAY」- 日本地下鉄協会報 第204号
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Photo/Writer:Series207 2015/4/07