大阪市交通局の2016年度における決算概要が発表され、その中で毎年公示される営業係数についての記載があったのでまとめてみました。尚、参考に経常収益・費用も掲載しております。
交通局からの総評
平成28年度の経常損益は、収益が130億1,700万円、費用が123億5,300万円、差引6億6,400万円の4年連続の黒字となりましたが、前年度に比べ5億6,400万円の収支悪化となっています。
これは、乗車人員の増に伴う運輸収益の増加や、職員数の削減等に伴う人件費の減少がありましたものの、料金収納機の更新に伴う除却費など経費の増加などによるものです。出典:http://www.city.osaka.lg.jp/hodoshiryo/kotsu/0000410474.html
利用客数は過去5年ベースで過去最高なものの、機器の更新費用が嵩んだことから経費が増大し、微細ではありますが収支悪化となっています。
地下鉄(年間平均)利用者数/収入推移
2012年度…252万3549人/4億2934万円[ref]http://www.city.osaka.lg.jp/hodoshiryo/kotsu/0000280047.html[/ref]
2013年度…256万64人/4億3638万円[ref]http://www.city.osaka.lg.jp/hodoshiryo/kotsu/0000325187.html[/ref]
2014年度…257万6203人/4億3044万円[ref]http://www.city.osaka.lg.jp/hodoshiryo/kotsu/0000375671.html[/ref]
2015年度…263万人2593人/4億3496万円[ref]http://www.city.osaka.lg.jp/hodoshiryo/kotsu/0000375671.html[/ref]
2016年度…266万人4895人/4億4269万円[ref]http://www.city.osaka.lg.jp/hodoshiryo/kotsu/0000375671.html[/ref]
利用者数は直近5年で過去最高レコードを更新する266万人!
インバウンド効果が凄まじいですねぇ…一過性かと思っていましたが、結構長期的なものになりつつあります。
営業係数とは
その路線が100円を稼ぎだすのに必要な費用のことで、費用÷収益x100で表されます。
大阪市営地下鉄では収益の内訳として、「運輸収益・営業外収益・補助金・特別利益」が、費用の内訳として「人件費、減価償却費、支払利息」などが含まれます。[ref]http://www.city.osaka.lg.jp/hodoshiryo/kotsu/0000375671.html[/ref]
ちなみに仙台市交通局の説明によれば、隧道の耐用年数は60年[ref]https://www.city.saga.lg.jp/site_files/file/usefiles/downloads/s22160_20101227114935.pdf 6ページ目[/ref]、車両は13年として定められています。資産の取得金額を使用可能な期間(=耐用年数)で割り振ることで算出。つまり、隧道建設費を最長60年で返済する計算です。
経常収支とは
売上から原価と営業に関する諸経費を差し引き、更に本業以外での収支を加えたものを表します。
路線別営業係数
それでは路線ごとに発表していきます!まずは御堂筋線から!
御堂筋線 44.9
圧倒的なドル箱路線である御堂筋線は、昨年度より続くインバウンド観光客の影響なのか、引き続き44代の良好な成績を残しています。昨年度よりも若干ではありますが収益も向上しています。
車両面では30000系の大幅な投入が発表されている他、21系車両のリニューアル工事も順調に進んでいる(2016年度は2編成)など、順風満帆といったところでしょうか。
2016年度 | 2015年度 | |
収益 | 688億2400万円 | 683億4800万円 |
費用 | 326億6400万円 | 322億6700万円 |
収支差引 | +361億6000万円 | +360億8100万円 |
営業係数 | 44.9 | 44.8 |
谷町線 75.8
谷町線も同じく70代をキープ。
30系の更新も一段落し、22系のリニューアルも緩やかなペース(年間1本)で進んでいることから、今後もこの程度の数字が予想されます。
2016年度 | 2015年度 | |
収益 | 304億7800万円 | 298億5800万円 |
費用 | 241億5300万円 | 240億5300万円 |
収支差引 | +63億2500万円 | +58億500万円 |
営業係数 | 75.8 | 76.9 |
四つ橋線 93.6
四つ橋線は今年度も均衡しております。2016年度では23系リニューアル工事がなかったものの、昨年度よりもやや悪化した93.6でした。
2016年度 | 2015年度 | |
収益 | 112億7600万円 | 111億4800万円 |
費用 | 111億8800万円 | 109億円 |
収支差引 | +8800万円 | +2億4800万円 |
営業係数 | 93.6 | 91.5 |
中央線 67.4
黒字化後は東西方向の幹線として存在感を見せる中央線。今季はやや悪化した67.4でした。
2016年度 | 2015年度 | |
収益 | 176億8000万円 | 173億2900万円 |
費用 | 125億5900万円 | 120億5200万円 |
収支差引 | +51億2100万円 | +52億7700万円 |
営業係数 | 67.4 | 66.0 |
千日前線 133.5
中央線の妹分である千日前線は前年度比で2ほど下がり、133.5になりました。費用は昨年度と変わりませんが、やや収益が向上している影響で、微妙にですが徐々に改善されつつあります。
なんば~日本橋を通ることから観光客がよく利用するのと、野田阪神のハロウィンイベント効果でしょうか…?
2016年度 | 2015年度 | |
収益 | 72億3900万円 | 71億6400万円 |
費用 | 100億5200万円 | 100億1900万円 |
収支差引 | -28億1300万円 | -28億5500万円 |
営業係数 | 133.5 | 135.4 |
堺筋線 77.4
堺筋線は昨年度と同じく70代をキープ。天下茶屋延伸分の隧道建設費を償却して黒字化を果たした後は、着々と黒字を積み上げていっています。2016年度は66系のリニューアル工事が1本行われました。
2016年度 | 2015年度 | |
収益 | 132億4000万円 | 129億6200万円 |
費用 | 108億2300万円 | 108億3600万円 |
収支差引 | +24億1700万円 | +21億2600万円 |
営業係数 | 77.4 | 79.0 |
長堀鶴見緑地線 159.8
こちらもやや改善した159.8という結果に。収益は減少したものの、費用を抑えた形となっています。
2016年度予算では70系のリニューアル工事を2本行いました。しばらくはリニューアル工事が続く影響で、出費が続きます。
2016年度 | 2015年度 | |
収益 | 99億8800万円 | 100億7500万円 |
費用 | 141億200万円 | 142億1700万円 |
収支差引 | -41億1400万円 | -41億4200万円 |
営業係数 | 159.8 | 161.1 |
今里筋線 243.3
今里筋線は今季も順調に営業係数を改善していっています。開業当初の営業係数が513.3であった事を考えると、良好な数字といえるのではないでしょうか
ダイヤ改正で運用車両を1本減らし休車扱いにしたからなのか、営業費用が100億円を切っています。今里筋線の休車になっている1車両は、長堀鶴見緑地線への転属が発表されています。
2016年度 | 2015年度 | |
収益 | 59億2000万円 | 61億1100万円 |
費用 | 99億9300万円 | 103億6100万円 |
収支差引 | -40億7300万円 | -42億5000万円 |
営業係数 | 243.3 | 255.6 |
ニュートラム 134.4
ニュートラムは134.4と大幅に増加。
2016年度は200系を一挙に6編成投入したことから、一時的にではありますが費用が大幅に増加しています。今後も200系の投入が続くことから、しばらくはこの数字が続くことが予想されます。
2016年度 | 2015年度 | |
収益 | 32億300万円 | 31億4600万円 |
費用 | 46億5100万円 | 40億4800万円 |
収支差引 | -14億480万円 | -9億200万円 |
営業係数 | 134.4 | 117.2 |
参考資料
『平成28年度自動車運送事業会計・高速鉄道事業会計の決算概要を公表します』- 大阪市
『路線別経常収支、平成28年度 路線別営業係数[PDFファイル]』- 大阪市
昨年度はこちら
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Writer : Series207 2017/09/13