「大手私鉄」という名前を聞いたことがある方も多いと思います。
この定義は
・日本民営鉄道協会に入っていて
・一定以上の経営規模がある
というもの。
国土交通省でも用いられるこの分類方法は、元々労働組合における賃上げ交渉の分け方として生まれ、現在でも幅広く用いられています。
しかしながら、大阪メトロもこれら大手私鉄に匹敵する経営規模を持っているにも関わらず、何故か「中小私鉄」として扱われています。何故でしょうか
経営規模は申し分ない
そもそも大手私鉄は先述したように、経営規模の他「日本民鉄協会に入っている」ことが条件です。
元々公営であった大阪メトロは、現在もこの機構に加入していません。
つまり、相応の経営規模を持つ民営鉄道ながら「民鉄協会に入っていない」という理由だけで大手私鉄になっていないという制度の欠陥バグ状態になっているのです。
大阪メトロの経営規模(2023年3月時点)はというと
・資本金は日本の第一種鉄道事業者で1位の2,500億円
・売上高は1,614億円(参考:南海電鉄で2,212億円)
・純利益は151億円(参考:京阪HDで176億円)
と、どう見ても大手私鉄です。本当にありがとうございました。
ちなみに、この協会に加入するにはお金を出している元(資本)も見られることになっていますが、成り立ちが特殊な東京メトロは、出資者が東京都と国と公営寄りにも関わらず特例で加入していることから、あまり重要な要件ではなさそうです。
2つの協会
ちなみに、類似の組織として「公営交通事業協会」というものがあり、大阪メトロは公営でもないのに関わらず、こちらに加入しています。
これは、歴史的経緯が公営であったことから特例的に参加を認められているものです。
この両者に入っている事業者はないことから、おそらくは「日本民営鉄道協会」か「公営交通事業協会」のどちらか、二者択一なのでしょう。
仮に大阪メトロが公営交通事業協会から抜けて日本民営鉄道協会に入れば、晴れて大手私鉄の仲間入り…ということになるのでしょうが……、「民鉄協に入らずんば大手私鉄にあらず」という、なんともモヤモヤした感じですねこれ。
追記
この記事を公開して以降、「大阪メトロの従業員が加入する労働組合の兼ね合いでは?」というご意見をいただきましたので参考に追記しておきます。
大阪メトロの労働組合は「自治労」という立憲民主党系の労働組合になっており、もし民鉄協に移動した場合に労働組合もその影響を受けて別組織傘下になるのを嫌がっているのでは…という話もあるようです。
関連リンク
参考文献
一般財団法人「公営交通事業協会 特別会員」