大阪メトロは、これまで販売していた回数カードの取り扱いを、2024年3月22日をもって終了すると発表しました。
あわせて北大阪急行への連絡回数券も販売終了し、代替措置としてICOCAのポイントサービスをスタートさせるとの発表もありました。
しかし……
改悪かも…
今回代わりとして始まる、ICOCAのポイントサービス。
一見前と同じ条件に見えますが、よく読んでみるとどうも改悪に思えてきます。というのも…
Osaka Point と紐づけしたICOCAのプリペイド利用で、対象路線の同一運賃区間を1か月に11回以上ご乗車いただくと、11回目以降のご利用から、乗車運賃の10%のOsaka Point を付与します。
本サービスで付与されたポイントは、現行のOsaka Point と同様、店舗でのお支払いにご利用いただけるほか、ICOCAへのチャージ利用も可能となります。出典:Osaka Metro 1)
そう、「同一運賃区間を11回以上利用する時」という条件が含まれているのです。
例えば
190円区間を11回利用する場合
であれば、これまでの回数カードと同じ恩恵(10%引き)が受けられます。しかし、
190円区間を5回、240円区間を6回利用する場合
であれば、全く恩恵を受けられないことになります。
回数カードと比較
また、回数カードであれば
「3000円分を先に購入することで10%(300円)分のプレミアムがある」状態
でしたが、ICOCAでは
「11回以上の利用から、乗車運賃の10%がポイントになる」
という仕様変更になっています。
例えば290円を11回利用すると3,190円になりますが、11回目以降の運賃が290円でその10%がポイント(割引)になりますから、プレミアムは29円です。
この他、Osaka Pointは月額利用料の0.5%分ポイントが貯まる制度があります。
1ヶ月に290円を11回利用したと仮定すると、
3,190円x0.5%=15.95円
になります。
以上から回数カード時代と比較すると…
回数カード…3000円で300円のプレミアムがつく(3300円分利用できる)
ICOCAでのOsaka Point…3190円で44.95円のプレミアムがつく(3234円分利用できる)
ということになり、すなわち回数カードよりも還元率が大幅に低くなってしまっています…。結構な制度改悪ですねこれ…
PiTaPaだと、回数カードと同等の割引サービスが今後も受けられるので、大阪メトロとしてはそちらに促したい意向だとは思うのですが、PiTaPaはクレジットカードが前提のサービスなので万人に届かないのがネックですね。
回数制度の歴史
回数カードは1989年10月1日からスタート。1998年から現行の「3,000円を先に購入することで1回分のプレミアムがつく」という制度になっています。
ただその元となる回数券制度は、1933年の御堂筋線開業時には既に設定されていました。
時代によって媒体が変わりつつも存続してきた回数制度ですが、民営化して具合が悪くなった例の一つとなりそうですね。
関連リンク
参考文献
- Osaka Metro「ICOCAでの新ポイントサービス開始と回数カード及び北急連絡回数券の発売終了について」