大阪メトロ、交通機器メーカーの「交通電業社」を買収へ

大阪メトロ、交通機器メーカーの「交通電業社」を買収へ

大阪メトロは、大阪市平野区に本社を置く「交通電業社」の株式を100%買収し、子会社化すると発表しました。

日時は2024年2月29日付け、買収金額は非開示のようです。

大阪メトロ(大阪市高速電気軌道株式会社)としては、初めてのM&A案件となります。

情報提供:宮川 友仁様)

 

長く深い関係

交通電業社は1949年に大阪市西成区で創業。

長らく大阪市交通局との取引があり、以前から様々な機器を製造・納入してきたメーカーです。

わかりやすいところでいえば…

・電車の方向幕、LED行先表示器(30000系や66系など)
・30000系の車内LCDディスプレイ
・70系の車内案内表示機
・新20系のLED式車内表示機
・大阪シティバスのLED式車内表示機

などなど、現在の大阪メトロを構成する上でも非常に重要な部品製造を担当しているメーカーです。

(創業者の今田敏夫氏は、大阪市電気局[現在の交通局]の車両課出身という話もあります)

 

彩visionのハイスペさがすごい

大阪メトロ以外にも、京阪電鉄や東武鉄道・神戸電鉄・神奈川中央交通へ製品を納入しており、特に京阪3000系プレミアムカーや東武スペーシアXに採用された「彩 Vision」の技術力には目を見張る物がありました。

彩 Vision」は交通電業社が開発した、非常に高性能なLCD式のディスプレイです。

2021年に京阪3000系のプレミアムカーで初めて採用され、非常に解像度の高い精密な液晶画面と、外部光を反射しにくく屋外でも見えやすい液晶です。
いわゆる「ヌルヌル動く」このディスプレイは、価格もそこそこするモノだそうで、まだ京阪(3000系プレミアムカー)と東武(スペーシアX)の2事業者しかありません。

 

交通電業社は独立系のメーカーだったものの、2020年1月に投資ファンドの「アント・キャピタル・パートナーズ」が買収。その後4年で親会社が変わることになりました。

ゆくゆくは大阪メトロ車両にも「彩 vision」が採用されたりするのでしょうか…?

 

交通電業社の歴史

・1947年…今田敏夫氏が奈良県五條市で創業
・1949年…「交通電業社」として法人化。本社を大阪市阿倍野区昭和町に設置
・1968年…半自動式電動方向幕を販売開始。シェアを拡大
・1974年…菰口弘彦氏が代表取締役社長に就任、大阪市西成区北開1丁目へ本社を移転
・1987年…大阪市交通局70系車両のLED表示装置(車内・車外)を納入。
・1996年…大阪市交通局21系にLED表示装置を納入。以後新20系全車・560両に拡大。
・2010年…聲高 博道氏が代表取締役社長に就任
・2010年…菰口伸二氏が代表取締役社長に就任
・2020年…東京事業所を開設、相薗岳生氏が代表取締役社長に就任
・2021年…本社を大阪市平野区西脇に移転

 

関連リンク

大阪メトロの方向幕やディスプレイを作る「交通電業社」が投資ファンドに買収される

大阪市営地下鉄の方向幕を製造する交通電業社のWebサイトがリニューアルされ、過去の製品情報が見えなくなる

参考文献

Osaka Metro「株式会社交通電業社の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

アント・キャピタル・パートナーズ株式会社「株式会社交通電業社の株式譲渡契約締結のお知らせ




書いた本



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