2017年(平成29年)度の路線別営業係数が発表されていたのでまとめてみました




大阪市交通局最後の年度である2017年度の決算が大阪市都市交通局にて発表された…と、なにわの地下鉄管理人様のツイートで知りました。

その中でも、鉄道路線の利益率を端的に示す営業係数についての記載があったのでまとめてみました。尚、参考に経常収益・費用も掲載・一部解説しております。

 

各種解説

営業係数とは

その路線が100円を稼ぎだすのに必要な費用のことで、費用÷収益x100で表されます。

大阪市営地下鉄では収益の内訳として「運輸収益・営業外収益・補助金・特別利益」が、費用の内訳として「人件費、減価償却費、支払利息」などが含まれます。

ちなみに佐賀市の説明によると、隧道(トンネル)の耐用年数は60年、車両のうち電車は13年と定められています。資産の取得金額を使用可能とされる期間(=耐用年数)で割り振ることで算出します。

また、国土交通省の新線建設構想では必ず30年・40年で収支がどうなるか…という説明書きがなされるので、おおまかに40~60年程度で全て返済し終えた時にどうなるか…がポイントになってきます。

 

そういった意味では建設から11年程度の今里筋線が赤字運営なのは、現時点では当然のことなのです。

それらも踏まえた上で、この営業係数を見ていってくださいね。

 

経常収支とは

売上から原価と営業に関する諸経費を差し引き、更に本業以外での収支を加えたものを表します。

 

 

大阪市からの総評

市営交通事業の平成29年度決算見込の経常損益は、自動車運送事業で10億円の黒字、高速鉄道事業で433億円の黒字、あわせて443億円の黒字となり、前年度に比べ60億円の収支改善となっています。
これは、運輸収益の増加(20億円)や人件費の減少(30億円)などによるものです。
また、特別損益を含めた当年度損益では、自動車運送事業の民営化に伴う高速鉄道事業会計からの借入金返済免除(206億円)を特別利益へ計上したことなどにより、452億円の収支改善となっております。

出典:http://www.city.osaka.lg.jp/hodoshiryo/toshikotsu/0000444578.html

 

主な理由として収益増加と人件費の削減を挙げています。

また、市営時代は地下鉄とバスが一体で運営するという考え方のもと、赤字部分を地下鉄(高速鉄道)の黒字で埋めていましたが、2018年度よりそれぞれが大阪メトロ・大阪シティバスへと分離されることから、会計上では地下鉄への返済分を帳消しにする操作を行っています。

さて、毎年恒例のこの記事ですが、今年も見ていきましょう。

 

御堂筋線

我らが誇る御堂筋線は昨年と変わらず44.9と圧倒的数字を記録

10系の経年劣化取替用の30000系の投入を4編成、21系のリニューアル工事を2編成行うなどの投資が昨年に引き続いて行われています。

 2017年度 2016年度
収益  696億7400万円 688億2400万円
費用  324億9900万円 326億6400万円
収支差引 +371億7500万円 +361億6000万円
営業係数  44.9 44.9

 

 

谷町線

谷町線は過去10年で最高の73.1を記録。30000系の投入が終わり、現在は22系のリニューアル工事が年一ペースで進んでいます。

来年度は東梅田駅でホームドア設置工事が行われる予定で、営業係数にどの程度影響がかかってくるのか注目です。

 2017年度 2016年度
収益  309億9400万円 304億7800万円
費用  235億800万円 241億5300万円
収支差引 +74億8600万円 +63億2500万円
営業係数  73.1 75.8

 

 

四つ橋線

四つ橋線は90.4を記録。2017年度は23系のリニューアル工事がなかったこともあってかやや改善していますが、経年対策のリフレッシュ工事対象編成はまだまだいる為、しばらくはこのあたりをウロウロするものと思われます。

おととしが91.5→去年が93.6→今年が90.4と均衡しています。

 2017年度 2016年度
収益  115億6500万円 112億7600万円
費用  108億7600万円 111億8800万円
収支差引 +6億8900万円 +8800万円
営業係数  90.4 93.6

 

 

中央線

中央線は63.3と過去最高記録を更新。トンネル建設費の借金返済後は東西路線のボスとして大阪に君臨する、御堂筋線に次ぐドル箱路線となりつつあります。

中期経営計画で御堂筋線と共に重点的に投資されることが発表されていることからも、それが伺えます。

 2017年度 2016年度
収益  180億7500万円 176億8000万円
費用  119億5500万円 125億5900万円
収支差引 +61億2000万円 +51億2100万円
営業係数  63.3 67.4

 

 

千日前線

中央線の妹分である千日前線は前年度比で5ほど下がり、128.2になりました。この数字は25系リニューアル工事開始前(2010年)以来の数値になります。

最後の建設区間である新深江~南巽間の工事から未だ35年程度で赤字経営が続きますが、ワンマン化が功を奏しているのか徐々に数字は100へと近づいています。

 2017年度 2016年度
収益  74億5200万円  72億3900万円
費用  98億100万円 100億5200万円
収支差引 -23億4900万円 -28億1300万円
営業係数 128.2 133.5

 

堺筋線

堺筋線は昨年度と同じく70代をキープした73.0。平成5年延長の天下茶屋延伸分の隧道建設費を償却して黒字化を果たした後は、着々と黒字を積み上げていっています。

2017年度も、昨年度に引き続いて66系のリニューアル工事が1本行われました。

 2017年度 2016年度
収益  135億7000万円 132億4000万円
費用  103億1000万円 108億2300万円
収支差引 +32億6000万円 +24億1700万円
営業係数 73.0 77.4

 

 

長堀鶴見緑地線

平成組の長堀鶴見緑地線は昨年より6改善した153.2。今年度は70系2編成がリフレッシュ更新を行いました。

長堀鶴見緑地線は最後の開業区間が1997年ということもあり、トンネル建設費の負担があることから早くて2037年、遅くとも2057年頃までは赤字経営が続くと思われます。

 2017年度 2016年度
収益  101億3000万円 99億8800万円
費用  136億4900万円 141億200万円
収支差引 -35億1900万円 -41億1400万円
営業係数 153.2 159.8

 

 

今里筋線

開業から11年を迎えた今里筋線は今季も順調に営業係数を改善していっています。ちなみに開業当初の営業係数が513.3でした。

昨年に続いて運用車両を1本減らした全16編成体制で運行されています。収益は低下したものの、それを上回るコスト削減を実現したこともあって11マイナスの231.0でした。

 2017年度 2016年度
収益 57億3700万円 59億2000万円
費用 95億3400万円 99億9300万円
収支差引 -37億9700万円 -40億7300万円
営業係数 231.0 243.3

 

 

ニュートラム

新車投入が続くニュートラムは昨年に引き続き大幅に増加した143.7で着地。

2017年度も引き続き6編成24両を増備したことから、収益はほぼ変わらずに一時的な出費だけが4億円近く増えた結果、営業係数も増大しているものと思われます。

 2017年度  2016年度
収益 32億7800万円 32億300万円
費用 50億2000万円 46億5100万円
収支差引 -17億4200万円 -14億480万円
営業係数 143.7 134.4

 

参考資料

平成29年度自動車運送事業会計・高速鉄道事業会計の決算概要を公表します』- 大阪市

路線別経常収支、平成29年度 路線別営業係数[PDFファイル]』- 大阪市

 

これまでの路線別営業係数

2016年(平成28年)度の路線別営業係数が発表されていたのでまとめてみました

2015年(平成27年)度の路線別営業係数が発表されていたのでまとめてみました





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