大阪の地下鉄になくてはならない、この行先案内機。
発車標・行先案内機など表記揺れがありますが、大阪市交通局内では「旅客案内表示装置」と呼んでいるようです。
実際に大阪市交通局内Webサイトでも「旅客案内表示装置」との表記が見られ、また、大手メーカーである京三製作所も同様に旅客案内装置と掲載しています。
ここでは、そんな個性豊かで大阪市営地下鉄の風景を作り上げる、旅客案内表示装置を細かく種類別に、マニアックに紹介していきます。
今回ご紹介するのはLED式。
LED式は大阪市営地下鉄のメイン形式ですが、駅構造によって様々な派生バリエーションがあるのをご存知でしょうか
関連記事
大阪の地下鉄、行先案内機(発車標・旅客案内表示装置)の歴史① 行灯・LCD式編
大阪の地下鉄、行先案内機(発車標・旅客案内表示装置)の歴史③
LED式旅客案内表示装置
御堂筋線・谷町線・四つ橋線向けタイプ
現在千日前線・中央線を除く各路線で活躍しているのがこのLED式タイプ。京三製作所製。
画像のものは標準的な大きさのタイプ(京三製作所の資料では「中間駅型」と記載があります)で、ややイレギュラーな大きさのものが御堂筋線天王寺・淀屋橋・本町駅(一段型)、谷町線阿倍野駅、四つ橋線玉出駅などで見受けられます。
筐体はアルミ製、視野角は120度となっています。
表示性能
表示素子
和文表示用:96mm角、3色 24×48ドットLED
英文表示用:40x80mm角、3色 16×32ドットLED
行先表示部分:和文:6文字・一段/ 英文:14文字、一段
接近表示部分:和文:6文字・一段/ 英文:14文字、一段
メッセージ表示部分:和文:10文字・一段
多様な表示も可能
30系の車両故障でダイヤが乱れ、行先が把握できない場合に使われる「調整中」の表示。ほとんど見かけませんね。
2013年10月11日、西中島南方~中津間で車がぶつかり、破片が線路上に飛び散ったことから運行がストップしました。
折り返し施設は中津にあったものの、第三軌条に破片がぶつかりショートの可能性があったからか、電源系統が分離されるなんばを北限とした折り返し運転が行われた際に撮影したものです。
非常停止ボタンが押された際にはこのような表示に。
さまざまな特注の派生タイプ
阿倍野駅にある横長タイプ。天井が低いが故の特注タイプです。
啓発案内がないコンパクトタイプ。御堂筋線本町、谷町線阿倍野、四つ橋線玉出駅で見受けられます。
筐体がグレータイプの「一段型」と呼ばれるもの。こちらは御堂筋線天王寺駅にある行先だけを表示するものです。
表示性能
和文:6文字・一段
英文:14文字、一段
やや大型な初期ロットタイプ。ここからスリム化が図られ、現在の大きさになっています。
四つ橋線全駅と谷町線谷町四丁目駅に設置されています。
表示性能
表示素子
和文表示用:96mm角、3色 24×24ドットLED
英文表示用:40x80mm角、3色 16×16ドットLED
撮影日:2019年6月13日
四つ橋線玉出駅に設置されている、大型筐体+啓発放送部分がない小型タイプ。
この区部だけ天井が低いことが理由です。平成8年(1996年)6月製造とあり、メーカー型番はF05904、京三製作所製です。
当時を知る方によると1996年9月頃に設置がはじまり、両数表示がなされていたとのツイートがあります。
OTSタイプ
かつてコスモスクエア駅に設置されていたタイプ。行灯式が主流であった中央線の中で、一駅だけがこのタイプでした。
OTSが大阪市交通局に吸収されてからもしばらくはそのままでしたが、中央線全線のLCD式換装に伴い、この駅のものも交換されています。
業務用端末(なんば駅)
こちらは、なんば駅にのみある簡易タイプ。乗客案内をする駅員向け(業務用)と思われます。
1999年10月頃から設置されているようで、京三製作所製です。
まとめ
いかがでしたか。
このLED式は1999年頃に登場し、後から登場したLCD式に淘汰されると思いきや、堺筋線でまた継続採用されるなどまだまだ主流の時代は続きそうです。
関連記事
大阪の地下鉄、行先案内機(発車標・旅客案内表示装置)の歴史① 行灯・LCD式編
大阪の地下鉄、行先案内機(発車標・旅客案内表示装置)の歴史③
参考文献
『大阪市交通局御堂筋線行先接近表示器更新』(京三サーキュラー Vol.50 No.3、1999年)
Photo,Writer: Series207 2014/09/21