大阪の地下鉄、行先案内機(発車標・旅客案内表示装置)の歴史① 行灯・LCD・プラズマ式編

大阪の地下鉄、行先案内機(発車標・旅客案内表示装置)の歴史① 行灯・LCD・プラズマ式編

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大阪メトロになくてはならない行先案内機。これだけを取っても様々な形態が見られます。

発車標・行先案内機など呼び方は様々ありますが、大阪市交通局内では「旅客案内表示装置」と呼んでいたようです。

実際に大阪市交通局内Webサイトでも「旅客案内表示装置」との表記が見られ、また、大手メーカーである京三製作所も同様に旅客案内装置と表記しています。

ここでは、そんな個性豊かでOsaka Metroの風景を作り上げる旅客案内表示装置を、細かく種類別に、マニアックに紹介していきます!

 

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行灯式 旅客案内表示装置

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現在は消滅している、行灯(あんどん)式の標示機です。交通電業社製。

確認できるところでは戦後すぐ、1951年の御堂筋線昭和町延伸時からその姿を見ることが出来ます。何度かデザインは変わっていながらも、基本的な仕組みは50年間変わりませんでした。

2005年1月から千日前線ではLCD式案内機への取換が始まり、最後は中央線に残っていました。けいはんな線延伸時も残されましたが、2007年1月についに役目を終えて引退しました。

 

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取換時の新旧装置並び。

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地下鉄以外では、出戸バスターミナルにこのタイプの発車標が取り付けられていました。

2013年頃の出戸バスターミナルのリニューアル工事の際に消滅しており、大阪市交通局内ではこれが最後の行灯式発車標となりました。これも含めると、実に60年あまりこのタイプのものが残っていたことになります。

 

ちなみに、かつて御堂筋線に存在したタイプはリレー式で、次の列車が前駅~前々駅の間まで来ないと、行先が表示されなかったようです。1987年のプラズマ式設置によってようやく解消されています。

 

プラズマ式  旅客案内表示装置

撮影:えぃばる様

こちらも、現在は消滅しているプラズマ式の旅客案内表示機。昭和62年の御堂筋線中百舌鳥延伸にあたって登場したタイプです。

他路線には波及せず、御堂筋線専用のものでした。

所蔵:新御堂筋様  出典:大阪市交通局「駅舎冷房30年のあゆみ」13p

四つ橋線(大国町駅)でも一時期採用されていたようです。

LED式と似ているところはありますが、よく見ると列車在線表示が「→前駅→当駅」で和文のみ(LED式は→大国町→当駅、英字表記あり)となっています。

 

 

LCD式旅客案内表示装置

中央線

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撮影日:2006-8-12

 

撮影日:2006-08-10

 

千日前線・中央線・今里筋線で使用されているのはLCD(液晶ディスプレイ)タイプです。写真は朝潮橋駅で試験されていたプロトタイプ。スクロールなどはせず、固定表示でした。

2006年8月10日から試験が行われていたようで、現在とは表示スタイルやデザインがやや異なります。

 

こちらが本格的に採用されたタイプ。2007年2月5日より運用を開始し、11年間このデザインで稼働していました。

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日本語フォントは新ゴ?でしょうか。英字はHelvetica。メーカーは日本信号製で形式はFD3463です。

デザイン製作は銀座交通デザイン社によるもののようです。

2006年 大阪市営地下鉄中央線で鉄道表示デザインに参入

出典:『銀座交通デザイン社について』
https://ginza.design/ja/aboutus.html

 

2018年2月1日より、枠内デザインがマイナーチェンジされました。駅番号を大きく表記し、あわせて「行 先」が追加されています。

 

2020年3月11日頃からは、長田駅にて新たに薄型のディスプレイへとリニューアルを開始。基板はそのまま使用され続けています。

 

千日前線

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2005年に導入された千日前線のLCDディスプレイ。全駅が仕様が同一で、京三製作所製です。

始発駅のみ、発車駅の時刻を表示します。日本語フォントは大阪市交通局デフォルト書体であるMBゴシック?でしょうか。英字はHelveticaです。

モニタの大きさは37インチの液晶ディスプレイを採用。制御部分には組み込み式OS(Windows?)を採用しています。

表示内容にも気を配っており、例えば「運転を見合わせる」という表現はやや専門的でわかりにくいことから、「電車の運転を停止している」というわかりやすい表現に切り替えています。

 

今里筋線

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開業当初から使用されている今里筋線のものです。千日前線・中央線は従来通り列車と垂直方向に置かれているのに対し、こちらは平行に置かれています。

日本語フォントはMBゴシック、英字はFrutigerのようです。メーカーは三菱電機製。

登場から10年以上が経過し、近年では文字焼けが著しくわかるようになってきていました。

 

2019年8月末からは新しい薄型デザインのものへと換装されはじめています。こちらも同じく三菱電機製。

 

異常時

事故や遅延があった場合、今里筋線では黄色地で大々的に記載されます

その後、事故内容と英語表記、

ついでハングル表記になります。

 

まとめ

大阪メトロの発車標には様々な種類がありますが、今回ご紹介したLCD式だと、各路線によってデザインを変えることが容易でバラエティに富みますね。

こういったところにも着目すると面白いかもしれません。

 

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参考文献

大阪市交通局
http://www.city.osaka.lg.jp/hodoshiryo/kotsu/0000137968.html

京三製作所
http://www.kyosan.co.jp/product/product02-19.html

『大阪市交通局 千日前線旅客案内表示装置』(京三サーキュラー Vol.56 No.3、2005年)

 

※文章中の写真の著作権は著作者に帰属します。無断転載は固くお断りします。 

Photo,Writer: Series207  2014/09/19




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