大阪の地下鉄、行先案内機(発車標・旅客案内表示装置)の歴史③

大阪の地下鉄、行先案内機(発車標・旅客案内表示装置)の歴史③

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大阪の地下鉄になくてはならない、この行先案内機。これだけを取っても様々な形態が見られます。

発車標・行先案内機など表記揺れがありますが、大阪市交通局内では「旅客案内表示装置」と呼んでいるようです。

実際に大阪市交通局内Webサイトでも「旅客案内表示装置」との表記が見られ、また、大手メーカーである京三製作所も同様に旅客案内装置と掲載しています。

ここでは、そんな個性豊かで大阪市営地下鉄の風景を作り上げる、旅客案内表示装置を細かく種類別に、マニアックに紹介していきます。笑

 

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長堀鶴見緑地線タイプ

初代

1990年の開業時に登場したタイプ。京橋~鶴見緑地間にて取り付けられました。

ミニ地下鉄で天井が低いことからか、圧迫感を考慮して行先案内と次列車表記が別の独立タイプになっています。

 

後に登場するモデルとは以下の点で少し仕様が異なります。

・「次の電車」表示がプリント済
・側面には熱排出用のファンを装着

 

初代マイナーチェンジ版

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後期に開業した大阪ビジネスパーク~大正と、門真南につけられていたタイプ。製造は1996年3月。

 

日本信号製で、メーカー品番は「FD32630

2009年に京橋駅のものはリフレッシュ更新(もしくは交換)を受け、輝度が明るくなりました。

 

2代目

2018年10月、2代目となる発車標が稼働を開始しました。フルカラーLED仕様で、駅番号や4ヶ国語表記が出来るようになった、今時ならではのモデルです。

製造は星光が担当、製造は平成30年2月となっています。

大正駅から設置され、瞬く間に全駅へと広まりました。

 

 

 

堺筋線

初代

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堺筋線で採用されていた発車標。四つ橋線と共にはじめてLED式を採用した初期路線の一つです。

おそらく直通先である阪急に対応するため(様々な種別がある)に早期に導入されたものと思われます。

 

出典:「パンタグラフ No.45 1993秋 」大阪大学鉄道研究会,79p
出典:「パンタグラフ No.45 1993秋 」大阪大学鉄道研究会,79p

また、6両と8両が混在していた当時は両数表示も行なわれていたようです。

 

尚、天下茶屋駅では3つのホームがあることから、改札部分にはこのような表示機が設置されていました。

時刻と行先の間に若干余白があるのは、両数表示を行っていたことによるものです。

 

2代目

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2012年に、フルカラータイプへとリニューアルされました。製造は京三製作所製。

フォントが新ゴになり、4カ国表記が出来るようになりましたが、その影響で視認性は低下しています。

採用当初は現在とは微妙に表記が異なっていました。またLCDタイプでなく、LEDタイプが再び採用された理由として、次のように書かれています。

 

近年は表示の自由度から液晶ディスプレイ方式の表示器が採用されることが多い中、耐環境性能や保守性などからLED方式が採用されました。

出典:http://www.kyosan.co.jp/product/product08-34.html

 

近鉄けいはんな線タイプ

DSC070372006年の近鉄けいはんな線開業に伴い、荒本~学研奈良登美ヶ丘で設置されたタイプです。

それまでは反転フラップ式の行先案内だけが表示されるタイプでした。原則的には大阪市営地下鉄御堂筋線で採用されているものと同じ仕様になっている模様です。

 

ニュートラム

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ニュートラムのものは、かつて反転フラップ式のものでしたが、2012年にフルカラーLEDタイプへリニューアルされました。日立製作所製。

機器整備中の新旧共演。

 

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「機器調整中」時の表示。 撮影:@OMS32610F

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リニューアル前はこのように反転フラップ式のものを採用していました。フォントには南港ポートタウンサン計画に基づき、ナールを使用していました。

参考: 「ニュートラム新型案内表示機 稼働開始(12.11.25掲載)」- Hima-Sta Plus

 

コスモスクエア駅に設置されていたものはLED式でした。

 

撮影日:2005.11.16

OTS区間であるコスモスクエア・トレードセンター前、および延伸で発車標が必要になった中ふ頭駅では、このようなLEDタイプも取り付けられていました。

また、フェリーターミナル駅にもこのタイプのものが設置されていました。塩害で機器がやられてしまったのでしょうか…。

 

 

御堂筋線

5代目

2021年2月より、江坂駅で採用が始まった5代目モデル。製造担当は新陽社です。

基本的な位置や仕様は長堀鶴見緑地線と同じですが、3段表記になり最下部には啓発表示がスクロールします。

非常にLEDが細かいようで、30000系のイラストレーションが実車のようになっているのがポイントです。

撮影:SAS様

機器調整中時の表示。緑色のLED表示になっているようです 2022-10-17 撮影:SAS様

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。3回に分けてお伝えしてきた、大阪地下鉄の「行先案内機(発車標・旅客案内表示装置

普段は地味な役割ですが、各路線ごとにフォントや筺体の大きさなど微妙に違うと共に、その路線の個性を生み出していますね。

「いらち」な大阪人にとって、次来る電車が今どこにいるのかを表示するこの表示機は、欠かせない存在です(笑)

乗車される際は、是非一度よくご覧になってみてくださいね。

 

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※文章中の写真の著作権は著作者に帰属します。無断転載は固くお断りします。


Photo:Series207,OMS32610F
Writer: Series207  2014/10/02
Rewrite:2021/02/17




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