3号・4号連絡線トンネルについて【設備完全解説】

3号・4号連絡線トンネルについて【設備完全解説】

四つ橋線(3号線)と中央線(4号線)を結ぶべく、2015年に新しく作られた連絡線トンネルがあります。

先日放送された「鉄オタ選手権」でも少し出てきましたね。そう、中央線の阿波座~四つ橋線の本町とを繋ぐトンネルです。

これは「車両工事機能の一元化計画」として、森之宮検車場にあった機能を緑木検車場へ統合する為に作られたものです。

 

トンネルの概要

正式名:高速電気軌道第3・4号線 車両回送用連絡線
総延長:491m
軌道本数:単線
接続部:3号線本町:四ツ橋間上り線側壁~4号線阿波座:本町間上り線側壁
工法:開削工法、既存線接続部はウォータージェット工法

 

大阪市交通局の地下鉄は御堂筋線・四つ橋線グループ谷町線・中央線・千日前線グループとで分かれており、グループ同士での回送はトンネルを通じて行えるものの、グループ外で移動させる手段はトレーラー輸送しかありませんでした。

御堂筋線と四つ橋線は大国町で、谷町線と中央線は谷町四丁目で、中央線と千日前線は阿波座でそれぞれ連絡しています。

この両グループをまたぐ移動は30系の転属時には頻繁にあったものの、10系は御堂筋線のみ、20系は谷町線・中央線のみの車両となるなど近年はグループで車両型式の固定化が進んでいました。

 

 

しかし

・森之宮検車場が1969年(昭和44年)の建設で老朽化が激しく、建て替え時期が迫っていること
・1999年(平成11年)の鉄道事業法改正で検査周期が伸び、緑木検車場にやや余力があること

から、森之宮検車場の検車機能を緑木検車場へと統合することを計画。

そうなると谷町線・中央線・千日前線の車両を緑木検車場まで持っていく必要があることから、6両編成の車両が移動出来、なおかつ両グループで最も距離が近くなる本町~阿波座間に単線491mの連絡線トンネルを掘削することになりました。

 

工事

工事は、大阪の企業である錢高組が随意契約(3号線本町駅23号出入口設置その他工事)を結んで請け負いました。

施工は大本組・名工建設とJVを組んで実施しています。

 

工期は2010年3月17日~2015年3月31日まで。

たった500mないトンネルを掘るのに随分時間がかかる印象ですが、これは営業中の線路を邪魔することなく工事を行うべく、わずか1時間50分しか作業時間がなかった為です。

工事時間について

0時50分作業開始

(この間、1時間50分だけが作業時間)

2時40分片付け開始

3時15分完全退去

仮に始発終電の短縮ができれば、もっと短い工期で工事出来たことでしょう。

 

トンネル建設中の様子。隧道は完成していますが、線路がなく金網で塞がれています。

この部分においてウォータージェット工法が用いられたのだそうです。

 

ウォータージェット工法とは

超高圧ポンプを使い、マッハの水圧で土壁を削り取っていく工法。掘削・切断・洗浄の3点を同時に行えるメリットがあります。
錢高組によると、地下鉄軌道内の掘削工事では初めての事例としています。

 

 

完成後

こうして2015年2月には隧道工事が完成。

11月には線路の設置工事や電気工事も終わり、試運転を経て連絡線の供用がスタートしました。

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試運転時には25系が四つ橋線に登場。今でこそ当たり前の光景ですが、この当時は実に衝撃的でした…。

 

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翌年2016年の緑木検車場公開には、これを記念してか第三軌条5路線の地下鉄が大阪市交通局の歴史上初めて車庫に勢揃いし、参加者を沸かせていました。

私も長らく大阪市営地下鉄を見てきていますが、まさか5路線の車両が横並びになるなんて夢にも思っていませんでした。

さよなら森之宮検車場

また森之宮検車場の検車機能が終了し、最後の出場となった20系38編成には記念ヘッドマークが取り付けられました。

 

 

関連リンク

四つ橋線と中央線をつなぐ新トンネルが完成

 

参考文献

錢高組技報 No.40『営業線との接続部の施工 一高速電気軌道第3・4号線車両回送用連絡線設置工事一』中川達也(錢高組大阪支社)

 




書いた本



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