ようおこしトイレの話、今一度まとめ直しておかないといけないかなぁ
— Osaka-Subway.com/鉄道プレス (@OsakaSubwaycom) April 13, 2019
2011年頃から始まった、大阪メトロのようおこしトイレ。
長年放置され、古い・暗い・汚いというイメージだったトイレが、地下鉄全駅において美しくリフレッシュされています。
この「ようおこしトイレ」、橋下さんが度々言及していることから政治的な対立に取り上げられがち。
「それはデマ」「これは本当」と政治アカウントのせいで情報が錯綜するので、鉄道ファン目線、大阪メトロファン目線から、平等にどちらの言い分が正しいのか?をここにまとめました。
ようおこしとは?
「ようおこしとは?」とよく聞かれます。
これ、一般的には使わないまでも意味は普通に通じると思ってたのですが、案外そうでもないようです。
「ようおこし」とは、「よくぞ来てくださいました」の意味です。
ようおこし
↓
よう おこしくださいました
↓
よくぞ 来てくださいました
つまり、歓迎の意を示しています。
上方演芸資料館でもこの言葉の意味が触れられています。
ただ、これが「大阪に来てくれたことを歓迎する」意味なのか、それとも「綺麗なトイレに来てくれたことを歓迎する」意味なのかは定かではありません。
35年の放置から始まったトイレ
場所にもよりますが当サイトの観測範囲でいうと、駒川中野駅のトイレは1980年の開業以来一度もリニューアルすることなく35年間放置されてきており、他駅についても同様のケースが見られます。
以下に記事としてまとめてありますので、こちらからどうぞ
ロービジョンの方にも見えやすい配慮あるデザイン
首をつっているみたい…と揶揄された「ようおこしトイレ」ですが、実はこれはロービジョン(弱視者)の方に配慮した、非常に公共性の高いデザインなのです。
以下に記事としてまとめてありますので、こちらからどうぞ
平松市長が構想し、橋下市長が実行した
先鞭をつけた平松市長

大阪地下鉄のトイレリニューアル案については、平松元大阪市長(任期:2007年[平成19年]12月19日~2011年[平成23年]12月18日)が構想し、実際に予算をつけられたのがはじまりです。
退陣する直前の2011年3月に制定された「大阪市営交通事業の今後の施策展開について」という文献に言及があります。
・御堂筋線「新大阪駅」「梅田駅」「なんば駅」「天王寺駅」のトイレ改修
(平成25年度完成予定)
・御堂筋線「本町駅」のホーム壁、天井、トイレ等全面的な微装化
(平成25年度完成予定)事業費 3,188百万円(筆者注:31億8800万円)
(平成23~27年度)出典:大阪市交通局「大阪市営交通事業の今後の施策展開について」、平成23年3月
この時点では、まず御堂筋線主要5駅についてのリニューアルを計画。天王寺駅(御堂筋線南改札口)は実際に予算が執行され、新しいトイレへと進化しました。
事業費として31億円が出されていますが、これが実際に全額執行されたかどうかは計画途中で平松さんが市長選挙に落選してしまったことや、後述する橋下さんの行動した予算案と重複するので、判断しかねるところです。
一気に普及拡大させた橋下市長

平松市長の構想を受け継いでこの計画を「ようおこしトイレ」として拡大・発展させ、一気に全駅へと広げたのが橋下市長(任期:2011年[平成23年]12月19日~ 2015年[平成27年]12月18日)です。
2012年12月に制定した「地下鉄事業・バス事業民営化基本方針(素案)」内に、目指すものとして以下のような言及があります。
新しいコンセプト『ホスピタリティコミュニケーション』のもと、「おもてなしの心」をトイレを通じてお届けします
出典:「大阪市地下鉄事業・バス事業民営化基本方針(素案)が目指すもの」
清潔感のある快適なトイレへの改善
予算額については次の通り。
・リノベーション(大きさや配置変更等の改善)や、リモデル(内装の全面的な模様替え)等を実施
[予算額1,955百万円(筆者注:19億5500万円)]
平成24年度からトイレのリモデル・リニューアルに取り組んできたが、平成27年度に40駅実施することにより、今里筋線を除く地下鉄全112駅において、清潔感のある快適なトイレへの改善が完了する。
[予算額 918百万円(筆者注:9億1800万円)]
ウォッシュレットは2015年から先行的に設置
ざっと調べたら2015年の御堂筋線淀屋橋駅のトイレにウォシュレットがあったっぽいです。
— N.(はるさん) (@haru9629) April 17, 2019
2018年度からは、ウォッシュレットの導入も進んでいます。
てっきり民営化のおかげで、公営では必須だった入札をせずともよくなって動きやすくなったものと考えていたんですが、淀屋橋では先行的にウォッシュレットが取り付けられているようです。
「リニューアルを3割でやめた」という謎のデマ
一部において、大阪地下鉄のトイレリニューアルを3割でやめたという謎の説が、政治的に偏った思想の方から明確な根拠もなくbotのように流され続けていますが、これは大ウソです。
上記予算案が全て執行された後の2016年時点では、92駅100ヶ所が既にリニューアルされています。
御堂筋線:17駅20箇所
谷町線:22駅24箇所
四つ橋線:10駅11箇所
中央線:7駅7箇所
千日前線:14駅15箇所
堺筋線:9駅10箇所
長堀鶴見緑地線:13駅13箇所合計:92駅・100箇所
出典:Osaka Metro公式「駅トイレリニューアル情報」
https://subway.osakametro.co.jp/guide/toilet_renewal/20130107_ekitoiret-koji.php
実際に計上してみると、むしろリニューアルしていない駅が3割で、しかも開業からまだ10年程度しか経過しておらずリニューアルの必要性が薄い今里筋線10駅を外すとリニューアル率は76%に向上します。
また、大阪メトロのトイレは同一駅でも複数箇所があるので、以下記事内ではトイレの数でも計上してデータを出しています
総評
冒頭でも書きましたが、今回のようおこしトイレは橋下さんが取り上げたこともあり、政治的な問題を議論するいわゆる「政治アカウント」の方が取り上げることが多くなっています。
それ自体は結構なことで、時たま私のサイトも取り上げて頂いてありがたいんですが、
政治的なバイアスがかかってウソをついたり、それを問いただしても根拠がない…というのは、大阪メトロ自体をけなすものとして私としては看過できません。
これからも鉄道ファン・大阪メトロファンとして、大阪メトロをけなすような言動にはこうしてしっかりと「それは違う」という記事を書いて広めていこうと思います。