北大阪急行の千里中央~箕面間延伸において必要となる増備分10両3列車について、元々は箕面市が所有する計画があったことが同市の議事録から判明しました。
車両は現在投入されている9000形「ポールスターⅡ」で、税抜の製造費用は57億2000万円です。
(北川委員)車両も購入されるんですよね。車両も、これ、整備するということは、これはもう市有になるということですか。
(箕面市地域創造部)委員おっしゃるとおりです。箕面市の所有になります。
今回、車両につきましては、今までは交付金ではないので鉄道の車両には補助金が入らなかったんですね。それで、今回、交付金で、それも車両に国費を入れるということで、これは全国的にも大変珍しい内容になってます。
それで、これはバスとかと同じように市が所有をして無償で貸すということで、結局、それが鉄道事業者の固定資産としての負担軽減とかにもつながってまいりますし、国費を導入できるという部分にもなってきますので、これは国費導入しながら市が持つということを選択したというところでございます(中略)(北川委員)あとの車両の部分は市が、これどれぐらいの車両、保有するんですか。
(箕面市地域創造部) 現在、1編成10両で3編成を予定しております。以上です。
出典:箕面市議事録「平成26年3月 北大阪急行南北線延伸事業化特別委員会 03月14日-02号」
何故保有?
箕面市が保有することで、鉄道事業者の固定資産税が減税されるメリットがあります。
交付金が電車車両にかけられることとなり、箕面市が保有、北大阪急行へ無償貸出という形が採られようとしていました。大阪市内に箕面市の電車がやってくることになっていたのですね。
なお箕面市が保有するので、これまでの9000形とは異なったカラーリングの車両が誕生していた可能性があります。
同様の事例として、堺市が阪堺電気軌道の車両を持つ1001形「堺トラム」があります。
こちらも3列車の費用を堺市が受け持ち、従来カラーとは異なった「堺らしい」色を纏った電車が導入されました。
なお、名義上は箕面市の保有ですが、各種メンテナンス・修繕費などは北大阪急行が受け持つ計画でした。
2016年3月に箕面市、大阪府、阪急電鉄、北大阪急行の4者で締結した「北大阪急行線の延伸に関する基本協定書第17条第1項」で、新たに運行上必要となる車両は本市が保有することを基本とする旨が規定されていました。
しかし
近年までこの計画だったのですが、2021年6月になって事態が一変します。
「北大阪急行南北線延伸特別委員会」において、事業費圧縮を図るために車両の所有を箕面市から北大阪急行電鉄に変更する方針が示されました。
(車両の所有者変更)
第 14 条 平成 28 年 3 月 30 日付けで締結した「北大阪急行線の延伸に関する基本協定書」第 17 条第 1 項に規定する車両の保有を甲から乙に変更することについて、甲は引き続き乙に協議を要請する。乙は、係る要請に対して、検討するものとする。箕面市「第58号議案 業務委託契約締結の件(北大阪急行線延伸事業に係る車両の調達業務」
車両を箕面市が持った場合は消費税を箕面市が全額負担することになりますが、北大阪急行保有にした場合は仕入れ控除が計上されるので、5.7億円の消費税の納税が不要となり車両投入額の圧縮が可能になります。
現在のところはまだ議会で通っていないので本決定ではなく、所有者が箕面市になるのか北大阪急行になるのかはっきりしていませんが、合意そのものは取り付けているとのこと。
このまま既定路線でいけば、本来の「鉄道会社が電車を保有する」という形に戻ることになります。
関連リンク
参考文献
箕面市「第58号議案 業務委託契約締結の件(北大阪急行線延伸事業に係る車両の調達業務」
箕面市「北大阪急行線車両等広告掲載事業について」