大阪市高速電気軌道は、現在開発に力を入れている南北軸の御堂筋線と、大阪・関西万博のアクセス路線である東西軸の中央線における全9駅のリニューアルデザインを発表しました!
どこの駅?
今回の対象となるのは以下の駅です。
御堂筋線:淀屋橋駅、本町駅、大国町駅、天王寺駅
中央線:大阪港駅、弁天町駅、本町駅、谷町四丁目駅、森ノ宮駅
の合計9駅です
各駅の紹介
大国町駅「地下構造が美しい駅」
御堂筋線と四つ橋線の4線が一つの空間で行き交うというOsaka Metro でもここだけにしかない駅であり、それらを支える地下構造の美しさを強調したデザインとしています。
列車が走る軌道の天井は、美しさをより際立たせるライティングで魅力的な空間に仕上げます。出典:Osaka Metro 1)
今回個人的にもっとも注目しているのが大国町駅です。
駅ホーム自体は地下構造の美しさを強調したデザイン…としています。
現在の大国町駅のデザインはこんな感じ。
柱や壁面は適宜改修しているようですが、屋根についてはツギハギのような状態であまり美しいとはいえませんね。
本 番 は こ こ か ら 。
駅南側にあるコンコースには、車両の模型や歴史に関する展示スペースを設置。
更に新しく窓がくり抜かれ、展示スペースから実際に車両を見ることが出来るという素晴らしい構造になりました。
車両の模型は現在本社内に展示しているものを移設するのでしょうか。
イメージ図から読み取ったサイズ感的には、そのような雰囲気を感じます。
淀屋橋駅「アーチ構造の象徴」
古くから政治・経済の中心地として大阪を支えてきたこのエリアの伝統と格式を、重厚感のある石材やモノトーン基調で表現し、現状のシャンデリアを記憶のモニュメントとして踏襲しつつ、これまでの資産をモダンに再生します。
出典:Osaka Metro 1)
淀屋橋駅は、モダンなモノトーンデザインに。
以前の微妙な案だったデザインから大きく脱却し、スタイリッシュに生まれ変わりました。
ちなみに、今までついていたシャンデリアはそのまま据え置かれるようです。
この写真を見てもらうとわかるように、現在の駅照明だけでは暗くて光量不足が否めなかったので、今回のように屋根や壁面に取り付けられた補助電灯は極めて有効ですね。
本町駅「インターセクション」
ダブルアーチの天井形状と柱の造形を活かしながら、高級感のある素材と最新の照明計画により、モダンとクラシックが共存するデザインとしました。
出典:Osaka Metro 1)
本町駅は構造をそのままに、照明などを追加したシンプルなリニューアル案になりました。
駅デザインは現行とあまり変わりありませんが、実際に見ると化ける可能性もあるので注目ですね…。
御堂筋線と同じく高級感のある仕上げ素材と、最新の照明計画を採用します。
なお、御堂筋線と中央線をつなぐ通路や階段などの動線は、万博開催中や会期前後の交通量の変化なども加味しながら、より使いやすい駅となるよう徐々に改装を進めていきます。出典:Osaka Metro 1)
中央線本町駅も、現行のデザインはそのままに照明を追加した形です。
上から間接照明で照らすと柱の路線カラーも映えますね。そしてイメージ図には噂の新車「400系」の姿も…!
またイメージ図にはありませんが、御堂筋線と中央線の乗換通路についても何らかの変化が加えられるようです。
天王寺駅「柱の美、格子の美、光の美」
人が行き交い、鉄道が行き交うターミナル駅を象徴する天井のグリッド。
その印象的なグリッドと連続する柱の美しさを照明の灯りで際立たせながら、よりクリーンな空間としました。
照明の当て方や素材感で、立体感のある柔らかな空間に仕上げます。出典:Osaka Metro 1)
天王寺駅の大きな特徴としては、長年親しまれてきたシャンデリアを撤去したことでしょうか。
天井自体にスポット照明を埋め込み、柱には開業当時の照明を模したようなレトロなデザインの照明も取り付けられるようです。
こちらが開業当時の天王寺駅。
現在の天王寺駅。
ちなみによく誤解されますが、現在取り付けられているシャンデリアは開業当時のものではなく戦後に設置された2代目です。
大阪港駅「海」
唯一、海を臨む地上駅としてその臨場感を活かし、エンターテインメント性、観光地としての特性をわかりやすく演出するため、デザインコンセプトを「海」とし、大海原を泳ぐ大型の海洋生物をイメージして駅舎のデザインに活かしました。
ホーム屋根には膜構造の透過性や質感を活かしながら、曲線を効果的に用い、駅空間の魅力を演出します。出典:Osaka Metro 1)
大胆な構造変更を受けるのが。中央線の大阪港駅。
最寄りには大阪民御用達である水族館「海遊館」が立地し、更にコスモスクエア方に進むと海の下へ潜るなど、元々海と近い駅でした。
今回のリニューアル案ではそれらを最大限に活かし、海洋生物の大きな骨組みのようなデザインになりました。
ただ、前回発表のコンセプト案からは大きく後退し、悪く言えば「つまらなくなった」ようにも見えます。
前回発表時は「空中に浮いた旅する船」をコンセプトに掲げ、船内をイメージしたような丸窓に板張りの構内にするなど極めて意欲的なデザインでした。
海を臨むことができる立地条件を活かして、ホーム西側に新たに展望デッキを設けます。
先端にはパラソルやクジラの潮をイメージしたシンボルを設置することで、海をより近くに感じていただけるような展望スペースを計画しています。出典:Osaka Metro 1)
また以前の構想時からあるように、夕焼けが見える西側には展望デッキを設置。
新大阪駅のようなトレインビュースポットとしても機能するようですね。400系との近未来感がすごい。
弁天町駅「ステーション アート」
万博やIRをひかえ、当駅で乗り換えされるお客さまの増加に伴い、明るく使いやすい駅としました。
また、大型デジタルサイネージを取り入れる事で、照明や映像による演出を行い、アートを体感できる空間に駅を昇華させます。出典:Osaka Metro 1)
今回の発表案の中では今ひとつピンとこないデザインになった弁天町駅。柱・屋根は昨今のトレンドでもある黒塗りとなっており、壁面にワイドデジタルサイネージっぽいモニタが見えます。
イメージ図も心なしかぼやっとしており、詳細は今後詰めることになるのでしょうか
谷町四丁目「ジャポネスク」
歴史的にも精神的にも大阪のシンボルである大阪城。
その大阪城に最も近接する駅として、和を柱や壁のグラフィックとして表現し、次世代への新たな美として世界へ発信する駅をテーマとしました。出典:Osaka Metro 1)
森ノ宮「フォレスト」
市民が憩いくつろげる自然のある大阪城公園に隣接した立地を活かし、柱などの随所に木の枝の表現を取り入れています。
家族連れやインバウンドの方々など、すべての人々が集い親しむ、開かれた森のような駅を目指します。出典:Osaka Metro 1)
西のコンコースには、今回のリニューアル工事で役目を終える御堂筋線のシャンデリアなどの歴史的価値のあるものを展示するスペースを設けます。大阪城の東部地区では新大学の開校をはじめとしたまちづくりが計画されており、また、国際的な観光拠点である大阪城公園に駅が隣接していることから、 幅広い世代・様々な人々に利用していただき、Osaka Metro の歴史を広く知っていただければと考えています。
出典:Osaka Metro 1)
森ノ宮駅西側通路には、今回のリニューアル工事で外されるシャンデリア各種が保存されるとのこと。
イメージ図では「淀屋橋駅(2代目)」「天王寺駅(初代)」「心斎橋駅」のものが垣間見えますね。
駅リニューアル進行中
今回のリニューアル工事で完成する各駅、果たしてどうなりますでしょうか。
実際に施工された「めっちゃいい!」となるのか「…あれ?」となるのか、楽しみですね。
既に施工済みの中津は非常に美しい駅へと変貌を遂げましたし、
心斎橋駅についても現在リニューアル工事を施工中で、こちらもだいぶ良い雰囲気になっているのを見るとワクワクが止まりません!
そして大国町!!!大国町駅のリニューアル工事を私は楽しみに楽しみにしております。
関連リンク
参考文献
Osaka Metro『安全・安心の追求とワクワクする「地下空間の大規模改革」 9駅のリニューアルデザインが決定しました』