
以前もちらっと書きましたが、近畿日本鉄道を含む5社は夢洲におけるIR開業を見据え、折りたたみ式の第三軌条集電機の試作品を完成させたと発表しました。
開発したのは近畿日本鉄道、およびグループ会社である近畿車輛の他、Schunk Transit Systems GmbH、シュンク・カーボン・テクノロジー・ジャパン株式会社、および株式会社ニシヤマの5社です。
特急運行も実現するか
近鉄けいはんな線と大阪メトロ中央線は、車両下側にある集電靴(しゅうでんか)から電気を採る第三軌条式が採用されています。
一方、近鉄奈良線などその他路線は屋根上のパンタグラフから電気を採る架線集電式が採用されています。
構造の差異による影響で両者の電車は直接的に乗り入れることは出来ませんが、今回の試作品が正式採用となれば、奈良線とけいはんな線・大阪メトロ線への直通が可能になるというものです。
近鉄は、2019年に夢洲と奈良方面とを直通させる新型車両を開発していると発表しており、3年で実現に近づいた形となります。
出典:特許情報プラットフォーム「特開2021-118656」
2021年8月に近畿車輛がこの特許を出願しており仕様が判明していましたが、今回改めて正式にリリースされた形となります。
こういった第三軌条の収納装置は、国際的には英国のユーロスターなどで実現していますが、国内では近畿車輛と近鉄が初めてとなります。
厳密にいうと日本初の「第三軌条・架線併用式」車両は、鉄道院が1912年に導入したEC40形機関車があります。
ただ、この車両はかなり特殊なもので、ラックレールと呼ばれるロープウェイのような歯に車輪を噛ませながら、15km.g程度でのゆっくりと走行するタイプの鉄道で、今回のような普通鉄道とはまた異なったかなり限定的で特殊な規格になります。
関連リンク
参考文献
近畿日本鉄道「夢洲直通列車向けの集電装置の開発について」2022年5月23日