現在のマルハン・ドンキホーテ新世界店がある場所は、かつて大阪市交通局が「霞町車庫」として所有していた土地です。
ここは「フェステイバルゲート」の失敗でも有名な場所ですが、実はここには元々高さ130mのタワーマンションが建設される計画がありました。
30年先取りしたタワマン計画
当時の文献を見てみましょう。
大阪・新世界にある霞町市電車庫跡地(浪速区)の土地信託方式による開発計画で、大阪市交通局は三日、「バブル経済の崩壊で。当初の計画が難しくなった」として事業の大幅変更を発表した。通天閣(高さ百三メートル)を見下ろす百三十メートルの超高層住宅ビルをやめ、温泉付きのレジャー施設(四十五メートル)にし、文化施設も削って遊園地を拡充、事業費は半分以下になる(中略)
東半分に予定していた住宅(三百戸)主体の三十六階建てビルをやめ、温泉を掘ってクアハウスなどの娯楽施設(急階建て)にする
出典:読売新聞朝刊「新世界の車庫跡地開発計画 バブル消え大幅縮小 36階住宅は娯楽施設に/大阪」、1994年8月4日
「通天閣を見下ろす130mの超高層住宅ビル」とありますね。
イケイケだったバブル時代には、遊園地(フェスティバルゲート)の他、ビジネス学校・多目的シアターも併設される予定であったそうです。
130mといえば、現在上本町に建設中のタワーマンション「メトライズタワー上本町(99.98m)」に近い規模。
メトライズタワーは今年度完成予定ですが、その30年前からこんな構想があったなんてびっくりですね(結局は実現しませんでしたが)
車庫跡地はなかなか決まらず…
この霞町車庫跡地は、1995年に「博物館構想」があったり、今回の高層住宅計画があったりと二転三転し、なかなか本決定に至りませんでした。
その背景には「日本一治安が悪い」と言われた西成・あいりん地区があることは間違いないでしょう。
当時の市議会でも
霞町車庫跡地の開発は、地域の長年の要望であったわけです。長年放置されておりました。資材置き場になったり、いろんな問題がございました
出典:大阪市会「平成2年3月定例会常任委員会(計画消防・通常予算)」、仲谷誠夫委員
と言及されていて、なかなか決まらなかったことが伺えます。
現在この区画は星野リゾートが出来るなどかなり改善されてきており、有志が作った「日本の治安悪いランキング」でも西成は既にトップから外れるなど、変化が起き始めています。
結局は民間に売却→パチンコ屋(とドンキ)というあまり芳しくない結果に落ち着いてしまいましたが、もう少し治安が早期に改善していれば、魅力的なテナントがこの地に出来たかもしれませんね。
関連リンク
参考文献
読売新聞朝刊「新世界の車庫跡地開発計画 バブル消え大幅縮小 36階住宅は娯楽施設に/大阪」、1994年8月4日