大阪の地下鉄になくてはならない「発車標(行先案内機)」。
様々な事情から、珍しく社として統一されておらず、路線ごとに様々な形態が見られます。
この装置について「発車標」「行先案内機」などの表記揺れがありますが、大阪市交通局内では「旅客案内表示装置」と呼んでいました。
ここではそんな個性豊かな大阪メトロの発車標を、細かく路線・種類別に紹介していきます。
あまり詳しく書かれている方がいないこともあり、後学のデータベースとなるよう9000文字近く記載しました。
御堂筋線
フルカラーLED式(2021年~)
現在御堂筋線で採用されているのが、2021年から採用されているフルカラーLEDモデル。御堂筋線としては第5世代モデルになります。
2021年2月15日に江坂駅1番線で設置を開始した後、2024年2月20日に最後まで残っていたあびこ駅の交換を持って、御堂筋線全駅での供用を開始しました。
ドット数も非常に多くなり、極めて精細な表示が可能になりました。ご覧のように、30000系の側面が描けるほどになっています。
相互直通運転先の北大阪急行へ乗り入れる場合は、駅番号が白地表記になります。
駅ごとにサイズはカスタムされており、本町では天地方向が狭いこともあってか、三段目の啓発標示が省略されています。
更に天井が低い天王寺では、行先・列車接近表示を別とする分割対応も登場。環境によって臨機応変に対応しています。
また、導入当初は発車時刻が表示されていませんでしたが、2022年12月10日の始発から内部の信号システム更新に伴い導入されました。
【第5世代発車標 設置スケジュール】
江坂(2021.12)
東三国(2023.7)・西中島南方(2022.11)・中津(2023.10)・梅田(2023.7)・心斎橋(2022.12)・動物園前(2023.4)・長居(2023.10)・新金岡(2023.11)・なかもず(2023.11)・新大阪(2023.12)・北花田(2023.12)・昭和町(2023.12)・大国町(2024.1)・なんば(2024.1)・本町・天王寺・淀屋橋、西田辺(2024.2)、あびこ(2024.2.20)
3色LED式(1999年~2024年)
1999年から登場したのが、3色LED式の発車標です。
平成期間に長らく御堂筋線で活躍していたことや、谷町線・四つ橋線・堺筋線にも導入された経緯から、見慣れた方も多いのではないでしょうか。
先述した2024年のあびこ駅をもって、御堂筋線から消滅しました。
いつ頃からどの駅へ設置されていたのかは不明ですが、1999年時点では以下の駅で設置が完了していたとの証言があります。
東三国・新大阪・梅田・難波・天王寺・新金岡・なかもず
この3色LED発車標は、設置される場所によって様々なバリエーションが見られました。
例えば、天地方向が狭かった天王寺駅西改札側では、行先のみを表示したタイプが設置されていました。
また、なんば駅では業務用?とおぼしき非常に小さな発車標も1999年10月頃から設置されていました。
【変則モデルの採用駅】
天王寺(西改札側)
なんば(業務用?、南南改札側)
淀屋橋(北改札側)
プラズマ式(1987年~1999年)
撮影:えぃばる様
現在は消滅しているプラズマ式の旅客案内表示機。昭和62年(1987年)の御堂筋線中百舌鳥延伸にあたって登場したタイプです。
原則的に御堂筋線のみの採用に留まり、駅を共用する四つ橋線(大国町駅)以外では採用されなかったようです。
行灯式(1987年以前)
大阪市営地下鉄でのスタンダードであった行灯式。
歴史の長い御堂筋線では3モデルが採用されていました。
3代目:サインシステム準拠の高コントラストモデル<上記写真>
2代目:白地黒文字の薄コントラストモデル<参考>
初代:表記なしの初代モデル
3代目に関しては、大阪市営地下鉄50周年ソング「地底のランナー」のジャケットに登場しています。
しかし、現行のサインシステム制定が1977年で、この後のプラズマディスプレイ式の登場が1987年なので、登場していた期間は10年弱の短いものだったと推測されます。
初代の発車標は、御堂筋線はもとより大阪市営地下鉄でも初めて登場した発車標です。1949年に西田辺駅に設置されました。
続いて、1953年には行先表示機も登場。現在でこそ一体型の発車標ですが、最初は別々の装置でした。
確かに、次に来る電車の行先を読み取るよりは、既存の信号システムを用いて列車接近表示機を作るほうが簡単そうですね。
【御堂筋線 発車標の歴史】
・フルカラーLED式(2021年~)株式会社新陽社製
・3色LED式(1996年~2022年)株式会社京三製作所製
・プラズマディスプレイ式(1987年~1996年?)
・3代 行灯式(1977年頃以降~1987年頃)
・2代 行灯式(時期不明。新規設置は1977年頃まで)
・初代 行灯式(1949年~時期不明)
谷町線
3色LEDモデル(1999年~)
谷町線で採用されている発車標は、1999年から採用されている3色LEDモデルです。
2025年現在、谷町線全線においてこのモデルが使用されています。
御堂筋線と同じく、谷町線でも導入駅によってサイズの違いが見られます。
写真は阿倍野駅のモデルで、天地方向が低い空間事情にあわせて横長いモデルが採用されています。
【変則モデルの採用駅】
阿倍野
谷町六丁目
谷町四丁目(初代モデル)
南森町
こちらは小型タイプ。三段目にある啓発表記部分が省略されています。
谷町六丁目などの一部駅では、導入空間が狭いことから幅狭タイプも採用されています。
LEDモデルが先行導入された谷町四丁目駅では、四つ橋線と同型の大型モデルが採用されています。
筐体の銘板。2001年10月に製造されたことが記載されています。
行灯式(1996年以前~2000年代)
2000年頃まで採用されていたタイプ。
【谷町線 発車標の歴史】
・3色LED式(1996年~)株式会社京三製作所製
・2代 行灯式(1996年以前~2000年代)
・初代 行灯式(時期不明)
四つ橋線
LCD式(2024年~)
2024年12月から登場した、最新のLCDディスプレイモデル。株式会社星光製です。
2025年1月現在、大国町駅のみにおいて先行的に採用されています。
【仕様銘板】
型式:LCD-450101W
製造番号:H24007-Y16-2-2
電圧:AC100V 60Hz
製造年月:2024年11月
製造者:株式会社星光
3色LEDモデル(1996年~)
1996年に製造された3色LED式の発車標。同年9月頃から設置されていきました。
導入当時は四つ橋線の車両編成数が5両と6両で混在していたこともあり、行先右側に両数表記が行われていました。
御堂筋線・谷町線にあるものと比較して、大型な筐体となっています。
御堂筋線と同じく、四つ橋線でも導入駅によってサイズの違いが見られます。
玉出駅の南改札側は天地方向が低いこともあり、三段目にある啓発表記部分が省略された小型タイプが採用されています。
【表示性能】
型番:F05904
表示素子
和文表示用:96mm角、3色 24×24ドットLED
英文表示用:40x80mm角、3色 16×16ドットLED
製造:株式会社京三製作所
プラズマ式
現在は消滅しているプラズマ式の旅客案内表示機。
御堂筋線だけの採用かと思われていましたが、発掘された文献から四つ橋線大国町駅でも採用されていたことが明らかになっています。
行灯式(時期不明)
撮影:七鶴様
他線と同じく、黎明期には行灯式の発車標が用いられていました(写真右奥)。
行灯式にも、上記写真に写る薄コントラストタイプと、サインシステムに準拠したコントラストが強いモデルがありました。<参考リンク>
【四つ橋線 発車標の歴史】
・LCD式発車標(2024年~)株式会社星光製
・3色LED式発車標(1996年~)株式会社京三製作所製
・プラズマ式発車標(大国町のみ、時期不明)
・2代 行灯式発車標(サインシステム準拠モデル、時期不明)
・初代 行灯式発車標(コントラストが薄い、時期不明)
中央線
LCD式(2025年~)
2025年に開業した夢洲駅で用いられている、横長タイプ。四つ橋線と同じ星光製が用いられています。
列車接近表示には400系車両のアイコンを採用。23系が採用されていた四つ橋線とは差別化されていますね。
型式:LCD-420101W
電圧:AC100V 60Hz
製造年月:2024年3月
株式会社星光
LCD液晶ディスプレイ式(2007年~)
2025年現在、中央線で採用されているのがLCD液晶ディスプレイ式モデルです。
2007年2月5日より運用を開始。既に20年近くの採用実績を誇りますが、いくつかアップデートが行われています。
【仕様銘板】
型式:FD3463
電圧:AC100V 60Hz
製造年月:
製造者:株式会社日本信号
①テストモデル
2006年8月10日から、朝潮橋駅にテストモデルが登場。各種表示試験などが行われていました。
スクロールなどはせず、固定での表示でした。
②運用開始
2007年2月から本格的に運用を開始。
当初はゴツめの筐体カバーが取り付けられ、ベゼル部分も太い重厚な印象のモデルでした。
ベゼル とは
枠の意味。液晶を保持するための枠のことで、薄いほど高コストになるが見た目が洗練される。
製造技術の発達で段々と安価になりつつある。
屋外駅へ設置される筐体は、風雪防止の観点からか引き続きゴツめの筐体カバーが採用されています。
上部には、鳥の糞害防止よけが設置されえています。
筐体の銘板。2006年11月に製造されたことが記載されています。
③表示内容のアップデート
2018年2月1日より、表示内容がアップデートされました。
駅番号を大きく表記し、あわせて「行 先」が追加されています。
・行先の表示を追加
・行先の駅番号を漢字表記の右へ移動
・フォント幅の調整
④液晶の取替
更に、2020年3月からは液晶自体が薄型の新しいモデルへとリニューアルされました。
従来モデル。ベゼル部分が薄くなり、軽快な印象となったのがわかりますね。
最終電車の表示。
発車時刻表記は2025年1月現在、始発駅のみで行われており、中間駅では非表示になっています。
3色LEDモデル
開業時から2007年3月23日まで、コスモスクエア駅のみ3色LEDモデルが用いられていました。
当時管轄していた「大阪港トランスポートシステム」という別会社が発注したこともあり、行灯式が標準だった中央線においては異色の存在でした。
3月24日より、他の中央線と同じLCDタイプへと更新されました。
行灯式
2007年2月4日まで運用されていた行灯式。
行灯式発車標として最後まで残っていたのが中央線でした。
行先によって表示位置が異なっていました。
【中央線 発車標の歴史】
・LCD式発車標(2007年1月~)日本信号株式会社製
・行灯式発車標(コントラストが濃い、~2007年)、株式会社京三製作所製
・行灯式発車標(コントラストが薄い、時期不明)
千日前線
LCD液晶ディスプレイ式(2005年~)
千日前線で採用されている発車標は、2005年から採用されているLCD液晶ディスプレイモデルです。
大阪市営地下鉄では初めてのLCD式となりました。
2025年現在、千日前線全線においてこのモデルが使用されています。
【仕様銘板】
型式:FD3463
液晶:37インチ 液晶ディスプレイ
電圧:AC100V 60Hz
製造年月:
製造者:株式会社京三製作所
初めてのLCD式を採用するにあたり、設置にあたって様々な試験が行われました。
まずどのモデルを採用するかという点においては、
・LED
・液晶ディスプレイ(LCD)
・プラズマディスプレイ(PDP)
・CRT
の4候補から選定されました。
また、液晶の大きさも
20・30・37・40インチ
から選定し、視認性・維持管理性・特性をチェック。
この結果、「37インチの液晶ディスプレイが最も妥当である」という結論に至りました。
千日前線は全線が地下駅であることから、視認性悪化の原因となる強い外光が当たるリスクがなく、またバリアフリー的な観点や、乗客の国際化に対応しやすいことも理由でした。
2代 行灯式(1981年~2005年)
撮影:七鶴様
1981年の千日前線 南巽延伸時から、他線と同じく濃コントラストの行灯式発車標が採用されていました。
結果的に、このモデルは御堂筋線・谷町線・四つ橋線・中央線・千日前線の5路線で活躍していたことになります。
【千日前線 発車標の歴史】
・LCD式発車標(2005年~)
・2代 行灯式発車標(コントラストが濃い、1981年~2005年)
・初代 行灯式発車標(コントラストが薄い)
堺筋線
フルカラーLED式(2012年~)
2025年現在、堺筋線で採用されているのがフルカラーLED式モデルです。株式会社京三製作所製。
2012年より運用を開始。既に千日前線・中央線でもLCDモデルが採用されていましたが、敢えてLEDモデルになった理由としては
近年は表示の自由度から液晶ディスプレイ方式の表示器が採用されることが多い中、耐環境性能や保守性などからLED方式が採用されました。
出典:http://www.kyosan.co.jp/product/product08-34.html
という事情が示されていました。
始発駅である天下茶屋駅のみ、発車時刻が示されています。その他駅については発車時刻表記はありません。
この他、天下茶屋駅だけ用意されている発車標があります。まずはエスカレーターでホームに降りてきた時に設置されている発車標。
天下茶屋駅は2・3番線のどちらからも恒常的に出発があること、また種別もあることから私鉄ライクな発車標が用意されています。
こちらは改札すぐにある発車標。先程のものと同じモデルのようです。
登場から13年が経過しますが、一部では焼付きのような現象が起きています。
これは焼付きではなく、青色・白色の長時間使用による樹脂が黄変することが理由にあるそうです。<参考文献><参考ポスト>
耐用年数はおおよそ5年半程度のようです。
初代表記
登場当初から2017年までは、駅番号の表示がありませんでした。
駅番号の表記にあたっては試行錯誤が行われていたようで、2017年1月15日から一時的に白抜き文字での表示も行われていました。
3色LEDモデル(1993年~2012年)
堺筋線では天下茶屋延伸時の1993年3月4日から、3色LEDモデルが採用されていました。
おそらく直通先である阪急に対応するため(様々な種別がある)に早期に導入されたものと思われます。
動作の様子。
導入当時は堺筋線の車両編成数が6両と8両で混在していたこともあり、行先右側に両数表記が行われていました。
この他、天下茶屋駅では3つのホームがあることから誤乗防止の為、改札部分に3段式の表示機が設置されていました。
ロール式(1969年~時期不明)
堺筋線では、大阪市営地下鉄としては珍しいロール式発車標が開業時から用いられていました。
これは相互直通運転時に阪急側から要望されたのが理由です。
完全な希望通りではなく、行先部分にのみロール式を採用し、列車接近表示は他線と同じく行灯式が採用されていたようです。
【堺筋線 発車標の歴史】
・フルカラーLED式発車標(2012年~)、株式会社京三製作所製
・3色LED式発車標(2代目、1991年?~2012年)、株式会社京三製作所製
・ロール式発車標(初代)
長堀鶴見緑地線
フルカラーLED式(2018年~)
2025年現在、長堀鶴見緑地線で採用されているのがフルカラーLED式モデルです。
株式会社星光製で、製造月は平成30年2月となっています。
2018年10月、大正駅において長堀鶴見緑地線としては2代目となるこのモデルが運用を開始しました。
全駅において、発車時刻表記に対応しています。
3色LED式(1990年~2018年)
1990年の鶴見緑地線開業時から採用されていたのが、3色LEDモデルです。
博覧会への輸送路線として開業した性格とも相まって、当時としては非常に近未来的なモデルでした。
【仕様銘板】
型式:FD32648B(京橋駅)、FD3435A、FD32630
電圧:AC100V 60Hz
製造年月:
製造者:株式会社日本信号
列車接近表示は別の筐体を採用しています。
これは長堀鶴見緑地線がミニ地下鉄規格で、全体的に隧道の天地方向が低いことが理由にあります。
LED部分の劣化を鑑み、2009年に京橋駅のみLED素子が更新されました。
この措置は他の駅へ波及せず、京橋駅だけに留まっています。
初代仕様
この3色LEDモデルですが、1990年の鶴見緑地線 京橋~鶴見緑地間開業時に設置されたモデルと、1996年以降の延伸時に設置されたモデルとで微妙に異なります。
大きく異なるのが、列車接近表示(次の列車表示)の筐体です。このモデルでは、「次の列車」が印刷された固定表示になっています。
1990年に開業した京橋~鶴見緑地間の各駅で設置されていました。
また、側面には熱排出用のファンが付いています。
【長堀鶴見緑地線 発車標の歴史】
・フルカラーLED式発車標(2018年~)株式会社星光製
・3色LED式発車標(1997年~2018年)、日本信号株式会社製
・3色LED式発車標(京橋~鶴見緑地間で設置 1990年~2018年)、日本信号株式会社製
今里筋線
LCD液晶ディスプレイモデル(2006年~)
今里筋線で採用されている発車標は、開業時の2006年から採用されている、40型LCD液晶ディスプレイモデルです。
三菱電機株式会社製の「DSM-40L8」が用いられています。
液晶の劣化を受けて、中央線と同じく液晶部分だけ、新しく液晶に2019年8月頃から取り替えられています。
初代モデル
開業時のモデル。ベゼルが太くなっていますね。
また、液晶の更新前までは液晶の焼付きも頻繁に起こっていました。
【今里筋線 発車標の歴史】
・LCD式発車標(液晶のみ更新、2019年~)
・LCD式発車標(2006年~)
ニュートラム
フルカラーLED式(2012年~)
ニュートラム(南港ポートタウン線)で採用されている発車標は、2012年から採用されているフルカラーLED式モデルです。
ニュートラム誕生時の経緯から、株式会社日立製作所製となっています。
ニュートラムは、日立製作所、新潟鐵工所、ナブテスコなどが導入したシステムで、関係企業しか仕様がわからないこともあり、長らく同社関係のJVによる随意契約が行われています。
設置は2012年1月下旬より住之江公園駅から行われ、3月まで「調整中」表記となっていました。満を持して3月下旬から一斉に稼働を開始しています。
発車時刻表記は始発駅のみ対応しており、中間駅は無表示となっています。
OTS仕様 3色LEDモデル(1997年~2012年)
コスモスクエア駅・トレードセンター駅においては、1997年の開業時から2012年3月下旬まで3色LEDモデルが採用されていました。
中央線と同様に、上記2駅では当時管轄していた「大阪港トランスポートシステム」という別会社が発注したことが理由です。
動作の様子。駅到着時の点滅が早めです。
大阪市交通局仕様 3色LEDモデル(2000年~2012年)
ニュートラムのコスモスクエア延伸で新たに発車標が必要になった中ふ頭駅と、フェリーターミナル、南港東、平林の4駅では、2000年頃から3色LEDタイプに更新されました。
OTS仕様とは異なり、列車接近表示はバックライト式でした。
動作の様子。中ふ頭駅では「入庫」の表示があったようです。
反転フラップ式(1981年~2012年)
開業時から用いられていたのが、反転フラップ式モデルです。
他の鉄道事業者ではよく見かけるタイプですが、大阪市交通局では唯一の採用でした。
使用されるフォントは、街一体でのサイン計画である「南港ポートタウンサン計画」に基づき、これまた大阪市交通局としては珍しい写研製「ナール」を使用していました。
動作の様子。
各線別のまとめ
2025年現在
路線名 | 方式 | メーカー/採用年次 |
---|---|---|
御堂筋線 | フルカラーLED式 | 新陽社 2021年 |
谷町線 | フルカラーLED式 | 京三製作所 1996年 |
四つ橋線 | LCD液晶ディスプレイ式 | 星光 2024年 |
中央線 | LCD液晶ディスプレイ式 | 日本信号 2007年 |
千日前線 | LCD液晶ディスプレイ式 | 京三製作所 2005年 |
堺筋線 | フルカラーLED式 | 京三製作所 2012年 |
長堀鶴見緑地線 | フルカラーLED式 | 星光 2018年 |
今里筋線 | LCD液晶ディスプレイ式 | 三菱電機 2006年 |
ニュートラム | フルカラーLED式 | 日立製作所 2012年 |
どのタイプを導入するかは一長一短があります。
LED | LCD (液晶ディスプレイ) |
PDP (プラズマ式) |
CRT (ブラウン管) |
|
---|---|---|---|---|
視認性 | 視野角60度 外光が強いと見えない |
視野角80度 外光が強いと見えにくい |
視野角80度 外光が強いと見えにくい ワイド表示が可能で見やすい |
視野角80度 外光が強いと見えにくい 任意の文字・画像も表示可能 |
劣化 | 使用後900時間で90% 使用後1000時間で70%に輝度が下がる 色ムラ・まだら模様が出来る |
使用後10万時間までは劣化しない コントラストが落ちる |
焼付がおきやすい 静止画で1万時間、動画で3万時間で輝度が半減 CRTより輝度が落ちる |
焼付がおきやすい ブラウン管のコントラスト劣化がある |
寿命 | 5万時間 | 6万時間 但し、バックライト交換で半永久的 |
静止画1万時間 動画で3万時間 |
静止画1万時間 動画で3万時間 |
薄さ | 薄い | 薄い(60mm) | 普通(80mm) | 厚い |
表示色 | 3色、もしくはフルカラー | フルカラー | フルカラー | フルカラー |
消費電力 | おおよそ560W | 200W | 600W | 17インチで160W 21インチで240W |
保守性 | モジュール単位で交換できる | ディスプレイごと交換 | ディスプレイごと交換 | 本体の交換 埃を吸着するので月1程度画面拭きが必要 |
その他 | 画像が表示できない 発熱が大きい |
画像も表示可能 最大40インチまで |
画像も表示可能 最大50インチまで 短寿命 |
画像も表示可能 最大50インチまで 製造終了により入手しづらい |
関連リンク
参考文献
- 大阪市交通局 建設技術本部 技術部 電気管理事務所 堀内勉弥『大阪市交通局 千日前線旅客案内表示装置の更新』,鉄道と電気技術 2005.8 VOL.16 No.8
- Waybach machine「 旅客案内システム(鉄道・バス)」,株式会社京三製作所,2025年1月4日閲覧
- 株式会社京三製作所『大阪市交通局 千日前線旅客案内表示装置』(京三サーキュラー Vol.56 No.3、2005年)
- 株式会社京三製作所『大阪市交通局御堂筋線行先接近表示器更新』(京三サーキュラー Vol.50 No.3、1999年)
- 株式会社京三製作所 信号第6技術部『大阪市交通局3号線行先接近表示装置 』(京三サーキュラー Vol.48 No.1、1997年)
- 樺島 義孝,伊藤 武,宮崎 博『大阪市交通局6号線運行管理システム・行先接近表示装置』(京三サーキュラー Vol.44 No.6、1993年)
- なにわの地下鉄「コスモスクエア駅」、2025年1月4日閲覧