【御堂筋線】発車標、70年の歴史を振り返る

【御堂筋線】発車標、70年の歴史を振り返る

江坂駅に登場した、令和初となる御堂筋線の新型発車標(行先案内表示機)。当サイトの記事やYoutubeチャンネルでも非常に話題となっています。

発車標に関心を持たれる方って結構多いのではないでしょうか? かくいう私も興味を持ったうちの一人でした。

良い機会ですし、今日はそんな御堂筋線の発車標の歴史を振り返ってみようと思います。

 

 

第1-2世代「行灯式」

 

出典:大阪市交通局「大阪市地下鉄建設70年のあゆみ」

最も初期に登場したのは、この「行灯(あんどん)式」の発車標です。

 

出典:大阪市交通局「大阪市地下鉄建設70年のあゆみ」

1949年(昭和24年)にまず列車接近表示機が、遅れること4年後の1953年(昭和28年)には行先案内機が設置されました。

現在でこそ両者はひっついて当たり前のものとなっていますが、当初は別々で登場したものでした。

 

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白背景に白熱灯を入れて照らすのが第一世代、黒背景の中に蛍光灯を入れて照らすのが第二世代モデルです。

デザインや照明に変更はありながらも、基本的な仕組みは40年間変わりませんでした。

 

 

第3世代「プラズマ式」

撮影:えぃばる様

プラズマ自照式で表示されていた第三世代モデル。1987年(昭和62年)の御堂筋線中百舌鳥延伸時に全駅へ取り付けられたものです。

長らく基本的な仕組みが変わらなかった発車標ですが、初めて電子回路を用いたプラズマで表示するという形態になりました。

現在主流であるLED式のきっかけとなったモデルで、既に表示内容は現在と似たようなスタイルになっています。

 

ただ、色はオレンジ色単色表示で、素子が劣化したのか末期には赤色になっていました。御堂筋線と四つ橋線のみに取り付けられたのみで終わり、他路線には波及しませんでした。

理由は定かではありませんが、後から登場するLED式と比べて熱放射が大きかったと記述している資料があります。1)

 

 

第4世代 LEDタイプ

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1999年から登場した第4世代の3色LEDモデル。京三製作所製です。

御堂筋線だけでなく、大阪市営地下鉄各路線に取り付けられすっかりおなじみのモデルとなりました。

設置はどの駅から行われたのかは定かではありませんが、1999年には既に東三国・新大阪・梅田・難波・天王寺・新金岡・中百舌鳥の各駅へ設置されていたようです。

 

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このタイプは、天王寺駅などスペースが狭い場所でもサイズのカスタムが可能で、これまで発車標が取り付けられなかった部分にも設置を可能にするなど、バラエティに富んだモデルとなっています。

 

 

第5世代 フルカラーLEDタイプ

そして、2021年2月より新たに登場したのがこの第五世代モデル。大阪メトロとしては初めての新陽社製になりました。

先代と同じLEDを用いたタイプですが、色はフルカラー発色でドット数も非常に多くなり、極めて精細な表示が可能になりました。

2月15日に江坂駅1番線へ、続くと翌2月16日には2番線へ設置が完了しました。

 

LEDとは思えない鮮やかさで、30000系車両などイラスト表現も可能になっています。

 

前モデル時代にはそもそも概念がなかった、駅番号の表示もバッチリ。

御堂筋線内行きは赤背景に白文字、北急線行きは白背景に赤文字で表示するなど細かいところまでこだわった表示内容となっています。

 

 

今回は御堂筋線のものだけをご紹介しましたが、中央線や長堀鶴見緑地線、堺筋線などではこれらとは少し異なった発車標もあります。

是非以下のリンクからご覧になってみてくださいね。

 

関連リンク

 

 

大阪の地下鉄、行先案内機(発車標・旅客案内表示装置)の歴史① 行灯・LCD・プラズマ式編

大阪の地下鉄、行先案内機(発車標・旅客案内表示装置)の歴史② LED式編

大阪の地下鉄、行先案内機(発車標・旅客案内表示装置)の歴史③

 

参考文献

  1. 都市問題研究 第43巻 第9号(通巻489号)「地下鉄駅の環境改善と乗客サービス」、多田英司、1991年9月

 




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