
現在、投入に向けて準備が進められている、大阪メトロとして初めての新車「40000系」。
情報が初めて出たのは2018年ですが、断片的な情報が何度か出ただけで、あまり詳しい内容はわかっていません。
そこで、当サイトがマニアックな出処から入手した断片的な情報から読み取れる、現在わかっている40000系の情報をまとめてみました。
わかっていること
形式名称は400系
新しくデビューする車両の形式名はこれまで「40000系」とされていましたが、「400系」であることが明らかになっています。
この情報は、400系の戸閉装置製造への質問文書類から読み取れます。
「4」の形式名を冠するのは、戦時中の御堂筋線に登場した「400形」以来、80年ぶりになります。
(仮称時の書類)
大阪市高速電気軌道株式会社(以下「当社」という)では中央線に次世代地下鉄として 新形式車両(仮称 40000 系車両)を導入する計画である。
仮称 40000 系車両は当社として初めての新形式車両となることから、車両の外観や内装のデザインを検討するにあたり様々なアイデアや意見を取り入れるため社内に部門横断的なデザインプロジェクトチームを立ち上げる予定である。
デザインプロジェクトでは、地下空間の一体開発のもと”未来都市“を共通コンセプト として、東西の基軸路線である中央線の未来の姿を想像し、車両のコンセプトを定めたうえで、車両の外観形状等のエクステリア、車内設備や配置等の車内インテリアのデザイン 案を年度内に纏める予定である。
出典:大阪市高速電気軌道「新形式車両における外観・内装デザインの企画設計の業務委託 募集要項(公募型プロポーザル) 」
http://www.osakametro.co.jp/library/ct/nyuusatsu/2010801_syaryou_design/yoko.pdf
中央線へ投入・30編成を準備

40000系の投入路線は中央線であるとはっきり明示されています。これは沿線の夢洲にて2025年に大阪万博が開催されることが理由で、その前年の2024年に夢洲まで中央線が延伸されます。
40000系は、全30編成が準備されます。
これは、2018年12月に発表された「地下空間の大規模改革及び夢洲開発への参画について」という文献の中にある「地下空間の開発費用について(2018年度~2024年度の合計額)」の欄内、「中央線30列車・295億円」という文言から確認できます。
大阪メトロの鉄道事業本部長である中村 和浩氏が鉄道ピクトリアル誌に語ったところよると、「中央線の車両は全て新形式車両に置き換える」とのことです。
投入予算は6両・30編成で295億円ですから、1車両あたりに直すと約1.63億円。これは都営浅草線に導入された5500形とほぼ同規模になります。
参考
車両 | 価格 |
大阪市交通局30000系(谷町線用) | 1億4,830万円/両 |
名古屋市交通局N1000形(東山線用) | 1億1,241万円/両 |
名古屋市交通局N3000形(鶴舞線用) | 1億2,272万円/両 |
神戸市交通局 6000形(西神山手線用) | 1億3,416万円/両 |
東京都交通局5500形(浅草線用) | 1億6,600万円/両 |
東京都交通局6500形(三田線用) | 1億2,800万円/両 |
仙台市交通局 2000系(東西線用) | 1億3,809万円/両 |
福岡市交通局 1000系(空港線用) | 1億4,000万円/両 |
福岡市交通局 2000系(空港線用) | 1億8,000万円/両 |
福岡市交通局 3000系(七隈線用) | 1億6,000万円/両 |
30編成というのは、現在の中央線全電車(20編成)の総数を大幅に上回り、夢洲延伸分(1-2編成程度)を加味してもまだ大きく余剰となる総数です。
これは、万博開催に伴う一時的な輸送需要の激増が予想されることが理由でしょう。
ただ、万博閉幕後は明らかに需要過多であることから、谷町線や四つ橋線など両数が同じ他路線へ転属する可能性があります。
1970年の千里万博でも、北大阪急行側は余剰車両を大阪市交通局へ売却した前例があります。
デビューは2022年度を予定
40000系のデビューは、2022年度(2022年4月~23年3月)を予定しています。
つまり、車両の搬入自体はもう少し前の2021年度末頃に行われる可能性が非常に高いです。
これまでの流れでいうと、まず量産先行車のプロトタイプとなる1編成を竣工。念入りに試運転させた後にドサッと量産車両を導入するという流れになります。
谷町線30000系の際は2008年に01編成が竣工した後、2010年に02・03・04編成が一気に竣工しています。
流石に万博までに全30編成が出揃うとは考えにくいですが、多くてもおおよそ10編成程度が万博輸送に供用する形となるでしょうか。
車内設備
車内設備については
・大型液晶ディスプレイの設置
・Wi-Fiの設置
・時間帯によって変わる車内照明
・空気清浄機の設置
が設置されます。
いずれも既に御堂筋線30000系で採用が始まっており、本格的に40000系にも搭載されるものと見られます。
この他、
・外国人が画面操作で使えるコンシェルジュ的なサービス
を実施したいと、先述の中村鉄道事業本部長が述べられています。
可能性があること
所属は夢洲車庫?
現在中央線の車両は森之宮検車場内にある車庫がベースとなっていますが、夢洲にも車庫を作る計画があることから夢洲車庫(仮)所属になる可能性があります。
他路線にも導入?
先述したように、投入本数30本という数字は中央線では明らかに過剰で持て余します。
1970年の千里万博では大量投入された30系車両で旧型車両を全て一掃していますが、中央線の場合は全20編成を一掃してもまだ余りが出る状態です。
このことから、他路線へ転属する車両も出てくる可能性があります。
旧型車両は廃止?
経年40年を迎え、前回の中間更新時にあまり手を加えられていない20系は廃車が始まるものと見られます。
一方24系についてはリフレッシュ更新工事をあわせて行っていることから、中央線のまま存続させるか、あるいは他路線へ転属させる可能性があります。
車両メンテナンス的には全て同じ形式で固めたほうが融通が効くので、中央線は40000系で統一されるものと見られます。
関連リンク
参考文献
大阪市高速電気軌道株式会社「地下空間の大規模改革と夢洲駅周辺の開発への参画について」
大阪市高速電気軌道「新形式車両における外観・内装デザインの企画設計の業務委託 募集要項(公募型プロポーザル) 」