200系01編成の試運転中風景。2016年8月 撮影:Osaka-Subway.com
大阪市交通局/大阪市高速電気軌道200系車両は、2016年6月29日より営業運転を開始した新交通システム「ニュートラム」用の新型車両です。
従来使用されてきたニュートラム100A系の代替車両として、1991年以来25年ぶりに登場しました。
解説
200系はコンセプトとして「車内居住性・ 快適性の向上」、「車両イメージの一新」、「安全性・ 信頼性の向上」、「省エネ・省コスト化」を掲げると共に、南港を元気に走り回り楽しそうな子供をイメージした外観デザインを採用。
さらに大阪市交通局の車両としては異例の、同一形式において編成によって異なる車体色となり、車内化粧板カラーは南港の自然(桜と公園)をイメージした2種類のカラーリングを採用し、実に可愛らしく楽しい車両となっています。
また、床面高さを30mm下げ、従来車100A系より、ホームと車両の段差を50mmから20mmに縮小しました。
コンセプト
車内居住性・ 快適性の向上
・座席配置を工夫することで、通路幅を拡大。
・街の景観を楽しめるように、大型窓を採用。
・客室照明をLED間接照明にすることで柔らかい雰囲気を醸し出し、優しい光で足元を照らす。
・新たな空調システムを採用し、快適な室内環境を実現。
・床面高さをホーム高さに近づけることで、乗降時の段差を縮小。
・乗降口上部に多言語表示のLCD行先案内表示器を設置し、目的地などを分かりやすく表示。
車両イメージの一新
・何度でも乗りたくなるようなデザインの一つとして、フルーツや花・植物をモチーフにした7色のカラーリングを採用。
・14編成についてはOsaka Metroの誕生を記念し、インパクトのあるゴールドを採用。
・室内デザインに桜と公園の2つのイメージをとりいれることで、愛される南港ポートタウンの自然を表現。
・車内に情報発信装置を設置し、南港の魅力を発信。
安全性・ 信頼性の向上
・車両と地上設備間の情報伝達方式をデジタル化することで、安全運行の信頼性を向上。
・車両の各種機器からの情報をソフト処理することで、保安装置の安定性を向上。
・モニタリング機能を充実させ、日々の安全走行が確認できる仕組みを強化。
省エネ・省コスト化
・省エネ機器を採用し、従来車両から約40%の消費電力を削減
外観デザインのプロトタイプ
ニュートラムとしては全く新しい外観デザインになりましたが、このデザインにはかなり苦労したとの逸話が公式Youtube内で言及されています。
初期のデザイン案。
最後まで基本コンセプト案として残ったという2案。「カッコいい・クール系デザイン」か「可愛らしいデザイン」かで悩んだと担当者が証言しています。
出典:公式Youtubeより
デビューまでの流れ
第1編成(青)は2015年6月12日、交通局公式Webサイトで登場が発表。
2015年8月に南港検車場へ搬入、編成組成後2015年11月頃から南港検車場内での試運転、及び夜間本線での試運転を開始。2016年3月30日に事前応募制で南港検車場内で試乗会を開催。
2016年5月頃から昼間本線試運転を開始するなど、おおよそ半年もの習熟試運転を実施した後、その後2016年6月29日にデビューしました。
2次車以降の小変化
撮影:Osaka-Subway.com
2次車となる第2編成(黄色)からは、前面窓枠が下方向へやや拡大されるマイナーチェンジを受けています。
車内についても、2次車(02~07F)は座席下照明が横向きに付けられているのに対し… (画像は05F) 撮影:Osaka-Subway.com
3次車(08~12F)については下向きにつけられるなど少し印象が変わっています。 撮影:Osaka-Subway.com
ゴールドカラーとなった200-14Fについては、座席に稲穂のマークが入れられています。 撮影:Osaka-Subway.com
量産化改造
撮影:Osaka-Subway.com
試作車(プロトタイプ)として登場した01編成は、2017年1月24日の16時頃から新潟トランシスへ再度搬出され、量産化改造が行われました。
契約金額は614万円で、工事施工内容は以下の通り。
・非常停止ボタンの回路構成を、リレー接点(間接制御)からスイッチ接点(直接制御)へと変更
・除湿装置空気配管をメタルホースへと変更
・除雪装置減圧弁配管部をプラグ栓からカプラ栓へ
・除雪装置の電磁弁が製造中止となった為、代替品に変更
200系編成画像集
2016年投入
200-03F(ピーチ) 撮影:Osaka-Subway.com
200-04F (メロン) 撮影:Osaka-Subway.com
200-05F(オレンジ) 撮影:Osaka-Subway.com
200-06F(グレープ) 撮影:Osaka-Subway.com
200-07F(アップル) 撮影:Osaka-Subway.com
07編成と12編成は同じ赤系統の色ですが、それぞれ「アップル」と「さざんか」という微妙な違いがあります。
2017年投入
塗装に一部マイナーチェンジが見られます。
また、10・11・12Fについてはニュートラムマークが搬入時から非掲出となり、民営化以後から「Moving M」マークが掲出されています。
200-08F(あじさい) 撮影:Osaka-Subway.com
200-11F(竹) 。この時期に投入された車両は、民営化による社紋変更を見据えて前面のロゴ配置部分が空白で営業を開始しました。 撮影:Osaka-Subway.com
200-12F(さざんか) 撮影:Osaka-Subway.com
2018年投入
200-14Fについては大阪メトロ誕生を記念したゴールドカラーになっています。
また、200-13Fは100系13編成(100-13F)に起こした住之江公園駅での衝突事故の影響からか、飛ばしナンバーとなっています。
200-14F(稲穂)。大阪メトロ誕生を記念して1本だけこの色となりました。 撮影:Osaka-Subway.com
200-14F(稲穂)の陸送搬入時。 撮影:もぐら様
200-17F。大阪総合ザイン専門学校の学生さんが考案したラッピングとなっています 撮影:Osaka-Subway.com
2019年投入
この編成からは、何かしらの動物柄デザインにすることを発表しています。
200-19F(パンダ)。
200-20F(レッサーパンダ柄)。
主要諸元表
形 式 | 201(Mc) | 200(M) | 202(M) | 205(Mc) |
車体構造 | 計量ステンレス | |||
車 種 | M1 | M2 | M3 | M6 |
自 重 | 10.8t | 10.5t | 10.5t | 10.8t |
定 員 | 40 | 43 | 43 | 40 |
編成定員(着席数) | 12 | 14 | 14 | 12 |
車体長 | 7,600mm | |||
車体幅 | 2,290mm | |||
車高 | 3,170mm | |||
制御方式 | 3相電圧型 PWM コンバータ/インバータ制御(C/I) IGBT素子,2レベル制御 | |||
主電動機 (三相かご形誘導電動機 110kW) |
○ | ● | ● | ○ |
歯車比 | 41.6≒6.833 | |||
運転台 | ワンハンドル(P3、N1、B6、EB1) | |||
営業最高速度 | 55km/h | |||
設計最高速度 | 60km/h | |||
加速度 | 3.5km/h/s | |||
減速度 | 4.0km/h/s(常用最大) 5.0km/h/s(非常時) | |||
集電方式/電圧 | 剛体3線式側面接触式 / 三相交流550V | |||
集電装置 | PT6501-A-R(東洋電機 社製) | |||
(設置台車) | ○ | ● | ● | ○ |
所属 | 南港検車場 |
参考文献
『報道発表資料 Osaka Metro営業開始記念「ニュートラム200系ゴールド車両出発イベント」の参加者を募集します』大阪市、2018年3月1日
http://www.city.osaka.lg.jp/hodoshiryo/toshikotsu/0000428658.html
『「大阪メトロ」民営化に合わせ、ニュートラムにゴールド200系導入』マイナビニュース、2018年3月8日
https://news.mynavi.jp/article/20180308-596538/
電気車研究会「鉄道ピクトリアル 8月号臨時増刊、特集 大阪市高速電気軌道(Osaka Metro)」
大阪市交通局『中量軌道用車両設計変更認可申請書』-平成30年2月27日
調査協力