おかげさまで、前回ご紹介した「接近メロディの謎についての記事」が音鉄さんを中心に大変なご好評を頂いており、サイト管理者冥利に尽きます。
ここ数日、音鉄な記事を多く書いていますが、是非発メロで続編を…!という声も頂いたのでで、今日は出発合図音…すなわち発車メロディを取り上げます。
メロディのコンセプト
接近メロディと同様に、発車メロディにも様々なコンセプトを決められていたようです。当時の文献を見ていると、次のような説明があります。
・素人でも区別しやすく、他の情報音と調和するもの
・多くの人が良くないと感じる音は採用しない
・駆け込み乗車防止の為、長さは5秒で統一する
・音環境のアメニティに貢献できるもの
これらのコンセプトのもと、現在のメロディが作られました。
初登場は1990年の鶴見緑地線
まずは1990年。鶴見緑地線において、あの美しく特徴的な発車メロディが導入されました。
これは現在のものとは異なります。現在のものがいつから採用され始めたのかは不明です。
・門真南、横堤方面行き(1番線)
・大正方面行き(2番線)
ハモりぶりに鳥肌
余談ですが、この長堀鶴見緑地線の発車メロディは上下線同時に鳴動すると鳥肌が立つほど美しいハモリメロディになります。
大げさかもしれませんが、私がこのハモリメロディを松屋町駅で偶然初めて聞いた時はハッと驚くと共に心を揺さぶられ、鳥肌が立った記憶があります。
今回は再現してみましたので、是非皆さんも鳥肌を立てて聞いてみてください。笑
・上下線同時発車時
汎用メロディは堺筋線から
さて、鶴見緑地線以外の汎用発車メロディの採用については、1993年3月の堺筋線(動物園前~天下茶屋間)延伸時が最初になります。
他の路線に先駆け放送装置の一新を行った堺筋線全駅において、まずこの発車メロディの採用が始まりました。
先日ご紹介した接近メロディと違って、こちらは当初から上下線別の発車メロディが採用されています。
・南、東方面行きメロディ(1番線)
・北、西方面行きメロディ(2番線)
当時駅構内で発行されていたパンフレットに、このメロディの楽譜がありましたので、引用してご紹介します。
出典:『地下鉄信号音』(大阪市交通局、1993年3月)
上り線はなんと6連符x6という、発メロ弾いてみた勢にはなかなか難易度の高い譜面……下り線は易しい…かな?
発メロ採用の歴史年表
・鶴見緑地線:1990年3月(開業時より)
・堺筋線:1993年3月4日
・四つ橋線:1995年中
・御堂筋線:1999年12月10日
・谷町線:2004年8月28日
・今里筋線:2006年12月24日(開業時より)
・中央線:2007年1月10日(本町・堺筋本町・谷町四丁目・森ノ宮・長田)
2007年1月12日(コスモスクエア・大阪港・阿波座)
2007年3月24日(残りの全駅)
ちなみに、発車メロディが採用されるまでの発車時においてはベルが流されていました。
メロディの採用年数にはかなり幅があります。谷町線では2004年、中央線では2007年まで使用されていたこのベルは、主要駅のみにて流されていました。メロディ化により、全駅に導入されることとなったのです。
また、千日前線については使用開始時期がわからず終いでした。いつ頃から使用されたのかをご存知の方、もしいらっしゃいましたらご教示頂けませんでしょうか。
「音をデザインする」、そんな土壌が出来上がってきた
大阪市営地下鉄に発車メロディが導入されるようになったきっかけは、鶴見緑地線(現在は長堀鶴見緑地線)の京橋-鶴見緑地間の開業なのだそうです。
1990年に鶴見緑地で「EXPO 90’ 花と緑の博覧会」が行われた際、世界中からお客さんが来るこの路線は、当時最新鋭の「リニアで走る、自動制御された地下鉄」という近未来なイメージを持たれた路線でした。
そんな鶴見緑地線にふさわしいようなメロディを…ということがきっかけで、導入されたのがはじまりなのだそうです。
花博終了後は他路線と統一化される算段であったようですが、その好評ぶりに「変えるに変えれなかった」と2020年6月23日 毎日放送「ナゼトキ」内で証言されています。
MBSで大阪メトロの発メロ特集がやっている( ˙-˙ ) pic.twitter.com/jRP4y0uwZo
— Osaka-Subway.com/鉄道プレス (@OsakaSubwaycom) June 23, 2020
また前述したように、現在長堀鶴見緑地線で導入されているメロディとはまた違ったものでした。 それがこちらです。
ご覧頂けない場合はこちらをご覧ください
(ご教示頂いた超新型さん(http://tanimachi.mad.buttobi.net/)、ありがとうございます!)
アナウンスの声
また、メロディとセットで流れるアナウンスの声については、以下のリンクよりまとめていますのでこちらもあわせてどうぞ。
まとめ
さて、3日間に渡ってご紹介してきたOsaka Metroのサウンドについての検証記事、いかがでしたでしょうか。
もともとは現在力を入れているYoutubeの動画向けに調べたことだったのですが、調査をしていくうちにあまりにも面白い事実が多数見つかったのでシェアしたい想いが堪えきれなくなってしまい、一足先にOsaka-Subway.com内にてご紹介した次第です。笑
当サイトは4月30日で13周年を迎えます。これからも皆様のご期待に添えるような面白い記事や動画を創っていきますので、何卒宜しくお願いします(^ω^)
関連リンク
(現在作っているなかでは最新の動画です。是非御覧くださいませ…!)
参考文献
『大阪市営地下鉄構内における信号音の改善』(1993年、豊崎宏・近藤文雄)
『なにわの地下鉄』(http://naniwa-subway.net、第三軌条)
『Sound of Station』http://melody.pos.to/
この記事は207GMP:『あの発メロの謎』から追記したものです
http://series207.oiran.org/article/2.html
Photo,Writer : Series207 2012/12/4
Rewrite:2018/04/29