大阪市都市交通局は、大阪シティバス並びに親会社である大阪メトロと協力して、AIオンデマンド交通の社会実験を行う予定です。
いわば「MaaS」と呼ばれるシステムの内の一つであり、2021年3月から約1年間、生野区・平野区においてハイエースのようなワンボックスカーを用いて、実証実験を行います。
大阪市では、AIオンデマンド交通の検討を進めるため、民間事業者による社会実験の事業提案を募集しました。この度、応募された事業提案のうち案が調ったものを公表することとし、あわせて、提案内容に関して交通事業者から意見を求めます。
既存のバス停とあわせて、オンデマンドバス用のバス停も300m程度の間隔で整備。きめ細やかな需要にあわせてAIがルートを自動判断し、バスが運行されます。
MaaS(マース)とは
Mobility as a Serviceの頭4つから取った言葉です。
自動車以外の交通手段を丸々一つのサービスとしてパッケージにし、インターネットを活用して快適な移動手段を提供しようとする概念のことです。
例えば、これまで時刻表は会社ごと・路線ごとにしか提供されず、逐一調べる必要がありました。
しかし近年はスマホの普及で出発地→到着地までの運賃・路線・料金が一括でわかるようになりましたよね。
これもMaaSの一つです。
AIオンデマンド型交通とは
事前に電話・スマホで予約して運行される、「ラストワンマイル」と呼ばれる交通システムの一つです。
事前予約で運行経路・運行ダイヤをAIが決めてバスが走るので、従来のバスのような「人がいないのにそのバス停を通る」という無駄が省かれます。
バスの仕様
車両:8人乗りワンボックスカー(ハイエースのような車体)、6両を配備
運賃:大人210円、子供110円
予約方法:スマートフォン、電話連絡
生野区
大池橋を基準に東西2つのエリアに分かれています。青色が既存のバス停、緑色がオンデマンドバス専用のバス停です。
また生野区ではないですが、今里・杭全などへも交通のターミナル機能として立ち寄る設定になっているようです。
平野区
平野区はややいびつな形で、北側にある「9号系統デマンドエリア」と、南側にある「14号系統」「16・33号系統」「2・61号系統」の4つに分かれます。
こちらはJR平野、および地下鉄平野が交通のターミナル機能としてバス停が設定されます。
これまでのバスとの違い
例えば、現行のバスでは「市役所や病院へ行くのにバスは必要だけど、いつも人がいるわけじゃないので非効率」というデメリットがありました。
運賃収入が得られず、不採算事業となり最悪の場合撤退してバス路線そのものがなくなってしまいます。
かつて存在したコミュニティバスである赤バスもいわばこの思想で作られたバスでしたが、収支率は10%以下で多額の赤字を叩き出す・平均乗客数も4名と散々たる結果となり、2013年3月限りで運行を終了しました。
今回のAIバスはそれらのデメリットを回避し、交通におけるラストワンマイルを実現しようとする動きです。
ラストワンマイルとは
例えば、生野区の舎利寺から1km程度のところに家があったとします。新大阪駅から家に帰る際、このような交通手段を取ると思われます。
ラストワンマイルの例
新大阪駅
↓
(千日前線)
↓
北巽駅
↓
(13号系統のバス)
↓
舎利寺
↓
(徒歩・1km)
↓
家
舎利寺バス停から1km程度歩く必要があり、交通手段のインフラが整備されているとは言い難い状態。
しかも13号系統は1時間に1・2本程度しか走っておらず、終バスも22時台とかなり早く終わってしまいます。
結局タクシーや自転車・バイク・車に頼りがちな状態になり「大阪都市部に住んでいるのに移動手段に困る」という状態が出てきます。
これを埋めようとする動きが、Maasにおけるラストワンマイルです。
マイルとは距離の単位のことで、1マイルで約1.6km程度を表します。
果たして、今回のAIオンデマンド交通は、大阪の暮らしをどのように変えてくれるのでしょうか。
理論としては薄々理解しつつありますが、実際に触れる「MaaS(レベル2)」は初めてなので、私も期待しています!