日本初のリニア地下鉄といえば、長堀鶴見緑地線の70系ですね。一方で、1年後に生まれた弟分ともいえるのが東京都営地下鉄の12-000形です。
両者は1歳違いの年子で、開発期間まで遡ると殆ど同じタイミングで生まれました。
彼らがきっかけで、リニア地下鉄は仙台(東西線)から福岡(七隈線)まで日本中に広がりました。いわばリニア地下鉄のパイオニア・先導役がこの2形式なのです。
そんなリニア地下鉄も、生まれて30年が経過しました。
バブル前夜に生まれた未来の地下鉄の試験車は、現在どうなっているのでしょうか。
大阪
大阪の70系試験車は、リニューアル工事を受けて現在でも元気に長堀鶴見緑地線を走っています。
リニアモーター地下鉄の試験車として生まれたのが「7051・7151」の2両。1988年3月に試験車として落成。
鶴見緑地線の開業時に現在の「7061・7161」へと改番された経緯があります。
つまり、現在「7051・7151」として現在長堀鶴見緑地線を走っている車両は2代目なんです。
現在の70系11編成 | 現在の70系01編成 | |
1988年 |
7151
– 7051
|
未竣工 |
現在 |
7161
– 7061
– 7261
– 7111
|
7151
– 7051
– 7251
– 7101
|
一方、ロータリーモータ試験車として登場したのが「7691・7391」の2両。こちらも1988年3月に落成。
先の車両と同じく、7691号車が7113(70系13編成先頭車)へ、7391号車が7262(70系12編成中間車)へと改番されています。
どちらも70系最古参車両ですが、現在も長堀鶴見緑地線を元気に走行中です。
余談ですが、試験時は塗装がされずシルバーボディでした。
量産車製造の際にシルバーのままで製造されることも検討されたようですが、花博へのアクセス路線としてのイメージ(シルバーだとやや冷たいイメージになる)を重視して、アイボリーカラーへ塗装がなされました。
東京
一方、東京はどうでしょうか。
豊島区にある千早フラワー公園にやってきました。西武線椎名町駅から徒歩15分程度です。
このあたりに車両がいるそうなのですが…
いました。東京の12-000形初期車は公園に保存され、静かな余生を過ごしていました。
ボディ自体は先に挙げた70系よりも早い1986年に竣工していますが、もともとリニア地下鉄として作られたわけではなく、あくまで小型地下鉄の実験車としての登場でした
1988年4月以前にリニア地下鉄へと改造。正確な時期はわかっていませんが、ほぼ70系と同時期と見られます。
相方の12-002号車。両先頭車で2両の組成を組んでいました。
それにしても屋根がついているとはいえ、足回りは段々と傷んできています…
現在は車内に入れるようで、空調設備が後付されるなど日常利用でも快適に過ごせるようになっていました。
ただ、私が赴いた際にはコロナウイルスの関係で閉鎖されていました…。残念…。
試験車を活かした量産車両12-000形は、現在も大江戸線で活躍しています。
保存されている12-001・002号車とはかなりスタイルが異なり、丸みを帯びたデザインへと変化。8両編成で東京の地下を駆け回っています。
現在公園で保存されている12-001・002号車も当初は営業列車へ組み込む予定だったようですが、何らかの理由でそれが叶わず…。
地下鉄ファンとしては、12-001・002号車が大江戸線が走る勇姿も是非見てみたいものです。
制作協力
第三軌条様(なにわの地下鉄管理者)