「船場汁」ってご存知でしょうか。
江戸時代に天下一の商業都市だった大阪・上方の中で、その骨格を成していた船場。そこの丁稚商人達が食べていたのが、この「船場汁」です。
船場汁とは、「塩鯖(さば)の頭や中骨と短冊に切った大根を入れて作った潮汁(うしおじる)」のことを指し、「大阪の船場商人が作った所からの名ともいう」とあります。
かつて商都大阪の中心であり奉公人を多く抱えていた船場の商家の食生活は、「朝粥や昼一菜に夕茶漬け」といわれる、つましいものでした。日常は野菜本位のお惣菜で、月に2回だけ魚がつきました。その塩鯖や塩鮭を食べた後の頭やアラを出汁にして短冊にした大根を煮たのが船場汁で、いわば廃物利用の食物です。(塩鯖一本で十人前のおかずになる、などとして魚を全部使っている例もありますが、これも頭から中骨まで使い切る無駄のない料理です)。出典:大阪市立図書館『大阪に関するよくある質問』
https://www.oml.city.osaka.lg.jp/index.php?key=muhoc4w3m-8993
船場とは、現在の御堂筋線本町~堺筋線堺筋本町駅あたりのエリアを指す地域名。
「大阪弁」の規範となる地域で、戦前までは船場言葉というワードがあったほど。まさに大阪の中の大阪というエリアでした。
普段余り食べ物に関心はないのですが、歴史が絡むとなれば話は別。実際に出しているお店があるので食べてみました。
丁稚商人の味
場所は船場…もとい、御堂筋線の本町駅近くにある船場センタービル。
中央線の真上を占拠する巨大なこのビルの地下にある、「船場かつら亭」さんにて船場汁が提供されています。
こちらが、その船場汁です。大根や人参と、魚のアラ(頭)を煮込んで出来る汁物料理です。
このお店ではネギと豚肉が載って具だくさん。歴史上の船場汁よりもちょっぴり豪華に仕上がっています。
だしには先述した魚のアラの他、昆布が用いられてじんわりと効くだしがうまい。旨味たっぷりであったまります。
そしてこれ、結構お腹が膨れるんですよ。
汁ということもあるんでしょうけど、魚の脂?の効用でしょうか。
歴史文献上ではもっぱら焼いた鯖を用いていたようですが、かつら亭さんでは代わりに焼き鮭が用いられていました。
ちなみに「船場汁」と頼むと、定食?のような形で出てきました。
これだけついてお値段は480円と非常にお買い得ですが、さすがに量が多すぎました…。
船場かつら亭さんは、御堂筋線・中央線本町駅の地下連絡口からすぐの場所(9号館・地下2階)です。
どういうわけかGoogleマップで調べると、本館が堺筋本町駅側に出てきてます。
しかも「閉業」となっているのですが、そちらは間違いで「別館」と調べると出る方が正しい場所となります。
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