かつて、70系「リニアモーターカー・ロータリーモーターカー」の試験線として、南港咲洲に「南港試験線」がありました。
大阪市営地下鉄や長堀鶴見緑地線の歴史を紐解くと必ず出てくるこの試験線。いったいどの辺にあったのか、皆さんは御存知でしょうか。
ネットを探しても今ひとつ「ここ!」という情報がなかったことや、「もしかしたらニュートラムの電車は70系が見える位置にあったのでは…?」と考えていたこともあり、今日はちょっとマニアックな、この試験線の存在を追いかけていきます。
コスモスクエアを見る
場所は咲洲(コスモスクエア)にある…と先述しましたね。ということで当時の航空写真を覗いてみましょう。
3つの島がありますが、上にあるのが咲洲になります。ただ、まだ未完成です。
試験線は、赤線で示したこの位置にありました。ちょうど右側にループ線が見えるのがおわかりになるでしょうか。
遠目で見ていたニュートラム
わかりにくいので、ニュートラムの路線図を追記してみましょうか。
中ふ頭駅がこの位置で、試験線は当時まだ未開業だったトレードセンター前駅あたりにあったようです。コスモスクエア駅に至ってはまだ海で土地すらないですね…。不思議な感じです。
海岸線はまだトレードセンター前周辺までしかなく、70系はこの北端を走っていたようです。
つまり、この当時ニュートラムを走っていた100系は「70系を遠目で見えていた可能性がある」という事になりますね…!!
跡地を歩く
南港試験線の跡地を歩いてきました。トレードセンター前駅から東へ進みます。
おそらく、この道路部分が試験線であったものと思われます。(萌黄色線)
現地には当時の跡などは何もなく、かつて更地だったこの場所にもマンションが立ち始めています。
終端のループ線と思われる場所にやってきました。右手は大阪エンタテイメントデザイン専門学校になります。
ちょうどこのあたりをぐるっと回って帰ってきていたのでしょうか。
最後に、当時の終着駅である中ふ頭駅から北端を見てみます。
現在は歩道橋でトレードセンター前駅が見えませんが、距離的には十分目線が届くレベル。やはりニュートラム車両は70系を見ていたのでしょう。
当時走っていたのは?
実は、当時の試験車両は現在も長堀鶴見緑地線にて走り続けています。その車両は以下の4両。
編成名 | 竣工日 | 製造 | 備考 |
---|---|---|---|
7111F | 1990.1.31 | 日本車輌 | 7061・7161号車は 元リニアモーター試験車 |
中間更新済 |
4号車
7111 – 3号車
7261 – 2号車
7061 – 1号車
7161
|
||
7112F | 1990.1.31 | アルナ車両 | 7262号車は 元ロータリー試験車 |
中間更新済 |
4号車
7112 – 3号車
7262 – 2号車
7062 – 1号車
7162
|
||
7113F | 1990.1.31 | 近畿車輌 | 7113号車は 元ロータリー試験車 |
中間更新済 |
4号車
7113 – 3号車
7263 – 2号車
7063 – 1号車
7163
|
1つの車両ではなく、3編成にそれぞれ組み込まれて走行しています。
リニアモーターカー
編成名 | 竣工日 | 製造 | |
---|---|---|---|
リニアモーターカー | 日本車輌 | ||
試験車時 |
7051
– 7151
|
||
量産化時 |
7061
– 7161
|
このうち、現在7111Fの一部となっている2両は「リニアモーターカー」として試験された車両。
ロータリーモーターカー
編成名 | 竣工日 | 製造 | |
---|---|---|---|
ロータリーモーターカー | 日本車輌 | ||
試験車時 |
7391
– 7691
|
||
量産化時 |
7262
7113
|
7112Fの中間車、7113Fの先頭車の2両はロータリーモーターカーとしての試験車両でした。
当時計画では、量産車もこのアルミ地むき出し色でデビューさせる計画だったようです。
しかし、1990年に行われる「花と緑の博覧会」へのメインルートアクセス路線となることから、大阪市営地下鉄としても当路線のイメージアップが求められた結果、急遽アイボリー色塗装が採用された経緯があります。