大阪市営地下鉄によく乗っていた人が、札幌市営地下鉄の大通駅へ降り立った時……誰もが同じことを思うでしょう。
サインシステム、似過ぎじゃない???
と…
見て下さいこの驚きの相似っぷり。
たまたま緑・赤(橙)・青の3色が同じ方向で並んでいることもあって、既視感が具現化された瞬間でした。
ということで今日は、そんな両者のサインの歴史を振り返ります。
札幌地下鉄サインの歴史
この札幌市営地下鉄サインが登場したのは、こちらのブログさんによると1982年の東西線新さっぽろ延伸頃とのこと。
和文に見出しゴMB31,英文にはUniversが採用されています。
1985年にはこれをベースとした「地下鉄案内標識設置要領」というマニュアルが制定され、3年後の1988年に東豊線にて体系的なサインマニュアルとして用いられたとのことでした。
ア 乗車系・乗換案内標識は、南北線グリーン、東西線はオレンジ、東豊線はブルーで表示すること
イ 降車系案内標識は、黄色で表示すること。
ウ 構内案内標識は、白色で表示すること。
エ 電照標識は、原則として黒色をベースとすること。出典:札幌市「地下鉄案内標識設置要領」
この時に和文がゴシック4550へと切り替わりました。
書体にはゴシック4550(とヘルベチカ)が採用されており、視認性の良さが特徴です。
また、札幌の場合はピクトグラムの電車にちゃんと自局車両が描かれており、非常に凝ったデザインになっています。
このサインでは南北線に2000形、東西線に6000形が描かれています。
また、時代を経て設置されたサインでは電車もちゃんとその世代のものへ変わるのがユニークなところ。
ただ何故か電車が東豊線の7000形になっていて、両線では用いられていませんが……
大阪地下鉄サインの歴史
一方、大阪市営地下鉄でこのタイプのサイン(本町サイン)が登場したのは、札幌よりも5年早い1977年のことでした。
3路線が行き交い、ややこしすぎる本町駅の出口表記をわかりやすくすべく、このサインシステムが採り入れられていきました。
尚、札幌では見出しゴMB31→ゴシック4550と書体が代わりましたが、大阪では反対にゴシック4550がテストモデルに留まり、1980年代から「見出しゴMB31」が採用されたマイナーアップデートを受けています。
民営化した現在ではこのタイプのサインは用いられておらず、「ヒラギノ角ゴ+Parisine」の新型デザインが採用されています。
札幌市交通局の担当者が大阪を参考にした…のかはわかりませんが、結果的には近いサインシステムが出来上がり、今日も多くの大阪もじ鉄が札幌で謎の違和感を抱えていることでしょう…
2者を比較
札幌 | 大阪 | |
---|---|---|
1982年 | 登場年 | 1977年 |
見出しゴMB31+Univers ▼ ゴシック4550+Helvetica |
フォント | ゴシック4550+Helvetica ▼ 見出しゴMB31+Helvetica |
黒地+路線カラー | 色 | 黒地+路線カラー |
関連リンク
参考文献
- もみじの研究ノート「札幌市営地下鉄のサイン 5 東豊線開業時のサイン」
- 札幌市「地下鉄案内標識設置要領」、昭和60年