昔の地下鉄の写真って「なんか暗いなぁ」って思いません?
これカメラの性能が悪いのではなく、蛍光灯がない時代なのでガチで暗いんですよね写真は1号難波駅ですが、照度はわずか36Lxしかありません
これがどれぐらいかというと、夜の街灯に照らされる程度の明るさです pic.twitter.com/5s7Na6OhQZ— Osaka-Subway.com/鉄道プレス (@OsakaSubwaycom) August 14, 2020
「昔の地下鉄の写真ってなんか暗いなって思いませんか?」
全体的に露出不足で暗く写っていて、「昭和初期の写真だからカメラの性能が悪くそういう写りになっているのかな……」と。
写真を一瞥して思われる方もいらっしゃると思います。
そう思っていた時代が、私にもありました
違うんです。
これはそもそも、まだ蛍光灯がない時代なので駅構内の照明が壊滅的に暗いのです…!
この時代の駅構内の明るさを記した資料があるので、今日はその資料と共にご紹介しましょう。
当時の地下駅は暗かった…
駅名 | ホームの明るさ | 改札部の明るさ |
---|---|---|
梅田 | 24lx | 43lx(北改札)、南改札 38lx |
淀屋橋 | 22lx | 32lx |
本町 | 30lx | 55lx |
心斎橋 | 39lx | 北改札 41lx、南改札 61lx |
難波 | 36lx | 北改札、南改札 61lx |
大国町 | 32lx | 46lx |
動物案前 | 33lx | 45lx |
天王寺 | 27lx | 35lx |
全体的に改札部の方が明るくホーム部は暗い数値となっていますが、これは徐々に暗くさせて利用者の目を慣らす為の策なのだそうです。
明るさの単位は、lx(ルクス)と呼ばれるもので、おおよその目安はこんな感じになります。
月明かり…1lx
ローソクの光(20cmの距離)…10lx
夜の街灯の下…50lx
蛍光灯の事務所…1,000lx
お昼の太陽光下…32,000lx
つまりこの当時地下鉄駅の殆どは、街灯の下程度の明るさしかなかったことになります。
NHK朝ドラ「ごちそうさん」では地下鉄のシーンが出てきますが、戦時中で電気を間引いていることもあり、かなり暗い様子が描かれています。
阪神電鉄の場合
近隣にある阪神電鉄のケースも紹介されていたので、あわせてこちらも取り上げます。
駅名 | ホームの明るさ | 改札部の明るさ |
---|---|---|
大阪(梅田) | 65lx | 東改札 90lx / 西改札 55lx |
三宮 | 50lx | 80lx |
元町 | 60lx | 80lx / 100lx |
梅田駅で65lxを記録するなど、大阪市営地下鉄と比べて全体的にやや明るい駅であったことがわかります。
大阪の地下鉄だけが暗かったのでしょうか…?
東京高速鉄道の場合
同じ地下鉄である東京の地下鉄を見てみましょう。
駅名 | ホームの明るさ | 改札部の明るさ |
---|---|---|
赤坂見附 | 17lx | – |
神宮前 | 26lx | – |
外苑前(改札口) | – | 17lx |
おおう…17lx…… これまで見てきた中では最も暗い数字ですね。
これと比べると大阪の地下鉄はまだ標準的な値、阪神電鉄は驚異的な明るさであったことが窺えます。
LED化が進む今
いかがでしたでしょうか。
蛍光灯がない時代の地下駅というのは、本当に暗かったんですねぇ。
ちなみに大阪市営地下鉄の駅で初めて蛍光灯が採用されたのは、昭和27年の難波駅が初めてのケースです。
現在ではLED照明が普及しはじめ、更に明るい駅へと変貌を始めています。
関連リンク
参考文献
「地下鉄の照明調査報告」照明学会、1940年 24 巻 1 号 22-31_2
「やさしいあかりの基礎知識 <JIS照度基準>」
https://www.akaricenter.com/mame/pdf/jis-shoudo.pdf